Long long ago…
いきなりですが、グリム童話ってご存知でしょうか?
おそらく、小さい頃に慣れ親しんだという方もいれば、大人になって今も慣れ親しんでいる方もいると思います。
三国志やアーサー王伝説などと同様にいろいろな作品のモデルに採用されており、今後も何かしらの形で触れることになるでしょう。
ちなみに自分が触れているグリム童話をモチーフにしている主な作品として、
・『スカーレット』
・『赫のグリモア』
・『呪菓のグレーテル』
の3作品。
これらを見て、グリム童話という共通点以外に何かあるんじゃないかと衝動に駆られました。
今回は『スカーレット』『赫のグリモア』『呪菓のグレーテル』の共通点に加え、グリム童話に対して一体どのようなアプローチを行っているかについて話していきます。
興味のある方は物語の扉を一度開いてはいかがでしょうか?
~もくじ~
グリム童話って?
グリム童話はグリム兄弟が編纂したドイツの昔話を集めたもの。
ドイツにはさまざまな昔話が存在していました。
最初は大人向けの話でしたが、後に子供向けに作り直されることに。
そして、現在まで語り継がれているわけです。
グリム童話をモデルにした作品の一例として以下のものが挙げられます。
・『おとぎ銃士赤ずきん』
・『メルヘン・メドヘン』
・『月光条例』
・『グリムノーツ』
『月光条例』はグリム童話の他にも日本の童話とかもモチーフにしているのが特徴的。
今回紹介する3作品や上記の5作品の他にもグリム童話をモチーフにした作品がいくつも存在します。
グリム童話をモチーフにした作品解説
今回の本題の1つであるグリム童話をモチーフにしたは『スカーレット』『赫のグリモア』『呪菓のグレーテル』の解説を行っていこうかなと。
おそらく、初めて聞くタイトル、すでに知っているもしくは読んだタイトルもあると思うので、一度チェックしていただけると幸いです。
①『スカーレット』
『スカーレット』はコミック百合姫で連載されている作品。
作者は結野ちり先生です。
グリム童話の赤ずきんをモチーフにしています。
主人公のアイリスとフィーネがエリクサーと呼ばれる人々を人狼に変えてしまう魔薬、魔薬を作り出す真祖狼を追いかけるのが主なストーリー。
人狼になったフィーネを人に戻し、アイリスが喰らうという約束を果たすために奮闘します。
赤ずきんの他にも錬金術や百合の要素が加わっています。
②『赫のグリモア』
『赫のグリモア』は別冊少年マガジンで連載されている作品。
作者はA-10(エーテン)先生です。
こちらはグリム童話の赤ずきんをモチーフにしつつ、親指姫の要素も登場したりします。
主人公の若葉と書の魔獣のあかずきんが若葉の曾祖母である茜を亡き者にしたとされる兄弟団(フラタニティ)壊滅を図るというのが主なストーリー。
子供の頃に魔法少女に憧れた若葉とクレイジーかつハードボイルドなあかずきんのコンビが大活躍します。
次にくるマンガ大賞にもノミネートされた経験もあるので、そこで知った方もいるかもしれません。
③『呪菓のグレーテル』
『呪菓のグレーテル』はニコニコ動画別館月マガで連載されている作品。
作者は神谷ユウです。
グリム童話やアンデルセン童話の要素が組み合わさっています。
主人公のマルガがクッキーにされた兄のハンスを元に戻すために魔女を追いかけるというのが主なストーリー。
諸悪の根源である魔女は童話に登場する主人公たちをバッドエンドに誘おうとします。
ハンスがクッキーなっているのはジンジャーブレッドマンが元になっているのかなと思います。
3作品の共通点について
『スカーレット』『赫のグリモア』『呪菓のグレーテル』を比較する際、それぞれの作品が一体どのようなアプローチを行っているかに注目することに。
まず最初に気付いたのはグリム童話のストーリーをエッセンスに独自のストーリーを展開していること。
それぞれの作品のスタートとゴールは異なりますが、ストーリーの骨組みになっているという点は共通しています。
3作品において言えることですが、グリム童話におけるダークファンタジーの側面をより強調している部分も大きな特徴と言えるでしょう。
ダークファンタジーは多くの方に愛されているジャンル。
一度は何かしらのダークファンタジーに触れた経験があると思います。
どこを拡張させているかザックリ挙げると
・『スカーレット』:赤ずきんの狼や白雪姫の魔女など
・『赫のグリモア』:赤ずきんが言いつけを守らない部分
・『呪菓のグレーテル』:グレーテルが魔女を釜に入れて焼き殺す部分など
といった部分。
冷静に3作品やグリム童話を見てみると、ブラックな要素が大きいです。
その辺がダークファンタジーにグリム童話がモチーフに採用される要因と解釈しています。
また主人公が誰かとバディを組むという点も共通点に挙げられます。
・『スカーレット』:アイリスとフィーネ(赤ずきんと猟師)
・『赫のグリモア』:若葉とあかずきん(作者と赤ずきん)
・『呪菓のグレーテル』:マルガとハンス(ヘンゼルとグレーテル)
といった具合に主人公たちは時に協力し、時に衝突し合い、困難を乗り越えるといった部分もストーリーを盛り上げる上で欠かせない要素。
これから作品を読む際は主人公たちがどう困難に乗り越えるか注目して欲しいです。
3作品が出した解答
共通点だけでなく、それぞれの作品において作者が一体どのような解答を出しているかにも注目して欲しい。
『スカーレット』『赫のグリモア』『呪菓のグレーテル』はグリム童話をただ書きなぞるだけで終わっていません。
各作品が一体どのような解答を用意していたかについて触れていきます。
①『スカーレット』
『スカーレット』の場合、
・赤ずきんと狼の役割を主人公に担わせること
・赤ずきんと猟師の間に狂気に満ちた愛を育ませること
という2つの解答が用意されていたと解釈しています。
赤ずきんの狼の立ち位置に真祖狼というキャラクターが存在しますが、それとは別に主人公のアイリスも赤ずきんと同時に狼としての役割を担っているのが特徴的。
作品で目を惹くのがアイリスとフィーネの狂気かつ甘美な愛が挙げられます。
時に優しく、時に激しく、時に狂気に満ちた2人のやり取りは作品を支える大事なエッセンス。
好きな人を喰らいたいというアイリスとそれを良しとするフィーネの関係はゾッとする時もあります。
食べたくなるくらい好きというのはこういうことかと。
②『赫のグリモア』
『赫のグリモア』の場合、
・カッコいい赤ずきんを描くこと
・自分だけの物語を主人公に作らせること
という2つの解答が用意されていたと解釈しています。
あかずきんがグリム童話における赤ずきんなのですが、言いつけを守らないという部分を拡大させてクレイジーかつハードボイルドに仕上げている点は注目して欲しい。
後は何と言っても若葉たち書の魔導士たちが魔筆と呼ばれる筆を用いて絵を描き、それを具現化させるところは『赫のグリモア』における大きな見どころ。
若葉たちは困難に立ち向かうため、さまざまな絵を描いて困難を乗り越えます。
それを見た自分は若葉たちが作者に代わって物語を描いているかのような感覚を覚えました。
前述でも触れましたが、若葉は赤ずきんをはじめとした童話を描く作家の立ち位置を担っていると言えるでしょう。
③『呪菓のグレーテル』
『呪菓のグレーテル』の場合、
・バッドエンドからスタート
・主人公たちが歴史を修正しようとする
という2つの解答が用意されていたと解釈しています。
グリム童話やアンデルセン童話に当たる作品が魔女の手によりバッドエンドに変えられるのが大きな特徴。
それを本来のハッピーエンドに修正するため、マルガたち童話の登場人物がいばら姫に出てくる糸車や裸の王様に出てくる2人の仕立て屋などと戦います。
ヘンゼルとグレーテルを軸にいろいろな童話を上手い具合にクロスオーバーさせており、作品を読み進めていくうちに自分の知っているもしくは知らない童話について触れられます。
介錯先生が描いた『鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』のように童話をモチーフにした能力が登場するのも特徴の1つです。
グレーテルに当たるマルガがお菓子を武器に変えたり、眠り姫に当たるタリーアがキスした相手を眠らせるなど。
グリム童話を冷静に見てみると
グリム童話を一度冷静に見たら、思っている以上にブラックな面が多いなと思いました。
赤ずきんは最初決して良い子に描かれていないどころか酷い目に遭わせられたとはいえ、狼の命を最終的には奪ってしまうわけで。
ペロー童話などでは赤ずきんは食べられたままだったりしますし。
ヘンゼルとグレーテルも結果的には魔女の命を奪ったりと。
基本的には勧善懲悪や愛で結ばれてハッピーエンドとキレイな感じにまとめられています。
それと同じくらいブラックな側面が目を惹きます。
シンデレラの姉が目玉をほじくられるというのを知った時はさすがにビックリしました…
ブレーメンの音楽隊に出てくるロバたちも正義の味方という側面を持ちつつも本質的には泥棒と変わらなかったりします。
グリム童話をはじめ、あらゆる童話を見る際は主人公たちがハッピーエンドを迎えるという表の部分だけでなく、主人公たちのブラックな部分にも目を向けることが大事なのかなと思います。
作品の選び方
これからグリム童話をモチーフにした作品を楽しみたいなと考えている方も中に入るのではないでしょうか?
その際、自分に合った作品を見つけるためにはある程度絞っていくことが大切です。
まずは
・どの童話をモチーフにしているか
・いろいろな童話をモチーフにしているか
かで作品を絞ります。
今回紹介した作品の場合だと
・赤ずきんモチーフ:『スカーレット』『赫のグリモア』
・いろいろな童話をモチーフ:『呪菓のグレーテル』
といった具合。
赤ずきんモチーフだけでも結構出てきます。
そこからさらに、
・興味のある作者かどうか
・現在連載しているかどうか
・どの媒体で展開されているか
・電子書籍で読めるかどうか
といった感じで絞ります。
好きな作者は人それぞれですし、作品によっては紙媒体で手に入れるのが一苦労な可能性も。
また作品によっては漫画だけでなく、アニメやゲームで展開されているといった場合もあります。
ザックリ例を挙げると、
アニメ:『おとぎ銃士赤ずきん』etc
ゲーム:『グリムノーツ』etc
といった感じです。
挙げ出すとキリがありませんが、いくつか自分で条件を設定して絞ることで目当ての作品が見つけやすくなるのかなと。
ものによってはメディアミックス化を積極的に行っているものもあります。
後はダークファンタジーなのか、百合なのかどうかといった感じでチェックする作品を絞っていきます。
グリム童話に限らず、どのジャンルにおいても一体何を求めているかを2つ、3つハッキリさせるとチェックする作品をある程度絞ることができるんじゃないかなと。
絞った後は自分の肌に合うかどうかがカギになります。
3作品を一通り振り返って
『スカーレット』『赫のグリモア』『呪菓のグレーテル』はそれぞれ違ったアプローチを行いつつブラックな面を上手い具合に引き出しているのは目を惹く部分。
いずれも違った面白さがあるので、興味を持った方は一度作品を触れてみてはいかがでしょうか?
ダークファンタジーを作る際、グリム童話やアンデルセン童話などのブラックな面は土台となるのが3つのダークファンタジーを触れて改めて実感することができました。
今回紹介した3作品以外にも世界各地の童話やおとぎ話をモチーフにした作品がいくつもあるので、それらを触れてみるのももちろんありです。
この記事をきっかけにいろいろな作品に触れてみてください。
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