【感想・考察】『君に紡ぐ傍白』2巻~遥香と菜央の百合と作中登場した希望について掘り下げる~

全ページフルカラー・キャラクター達の繊細な心理描写と百合・演劇とさまざまな強みを兼ね備えた『君に紡ぐ傍白』。

今回は『君に紡ぐ傍白』2巻の感想とポイントを紹介します。


基本情報

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タイトル『君に紡ぐ傍白』2巻
作者矢坂しゅう(@syu_612)
掲載誌ストーリアダッシュ
出版社竹書房
収録話数6~11話・番外編
発売日2021年3月30日
ISBN-104801972497
ISBN-13978-4801972490
配信【ブックウォーカー】etc

『君に紡ぐ傍白』2巻の内容

『君に紡ぐ傍白』2巻は遥香にとって予想外の再会が起きたこと・自分の気持ちを遥香に伝えられずにいた菜央がオーディションに合格して全てを話す決意をする様子が描かれていました。

憧れの人と一緒にいるため、憧れの人と歩く未来のため、菜央はオーディションに全てをかけることに。
果たして、遥香と菜央は一緒の舞台に立てるのか。

『君に紡ぐ傍白』2巻の感想

重厚かつ濃厚な百合を楽しめて、大満足な1冊だった。
1話、1話が奥深く、読み応え十分ですね。
どんなわずかな変化や描写も見逃せない。

これからどうなるの?と期待が膨らむばかりだ。
本当に面白い作品だと胸を張って言える。

同じ鍵を持つ関係・遥香から菜央に抱き着く瞬間・遥香と菜央の相合傘からの皆に隠れてキスと濃厚かつ尊い百合のラッシュにノックアウトされちゃいましたね。

遥香と菜央の相合傘からの皆に隠れてキスは『君に紡ぐ傍白』2巻の中で特に推したい。
皆に見られるかもしれないというドキドキ感・好きな人とキスするドキドキ感・好きな人とゼロ距離から生まれるドキドキ感といろいろなドキドキ感が相まって最高潮に達してしまう。
相合傘でキスした後、さらに感情が爆発して愛を深め合う姿はもうたまらん…

脳汁が出そうですね。

後、菜央が遥香にもっと自分が可愛いことを自覚するように言っていたシーンも推したい。
菜央の言う通りだというのはもう言うまでもない。
最も、遥香のカウンターが菜央のハートに直撃していましたが。

遥香と菜央が紡ぐ百合は繊細で最後まで見逃せない、そう感じる2巻だった。
早く続きが読みたい。

『君に紡ぐ傍白』2巻のポイント

『君に紡ぐ傍白』2巻は押さえておきたい部分がいくつも存在します。

個人的に押さえておきたいと感じたのはこの辺り。

  • 表紙の青い鳥
  • 同じ部屋の鍵を持つ関係
  • 6話と7話の扉絵
  • 遥香が進んで菜央に抱き着くシーン
  • 演劇の舞台に戻れない遥香
  • 遥香と菜央に憧れた夕貴
  • 相合傘からのキスシーン
  • 本当のことが言えない菜央

表紙の青い鳥

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表紙に2羽の青い鳥が描かれています。
まるで隣を歩く遥香と菜央のように。

青い鳥は幸せの象徴とされており、遥香と菜央の幸せを表しているのではないかと解釈しています。
モーリス・メーテルリンクの童話『青い鳥』から来ているそうですね。
2人の兄妹が夢の中で幸福の象徴である青い鳥を探しに行く物語とのこと。

幸せは身近なところにあると解釈され、『君に紡ぐ傍白』の場合は遥香が菜央と初めて出会ったことが青い鳥に当たるのかなと考えています。
どうして演劇が好きなのか、何のために舞台に立っていたのか。
それは遥香にまた出会うため。

辛いことはあっても幸せや希望という名の青い鳥は常に近くにあるのはもちろん、自分の下にやってくることも。
遥香は幸せや希望を捨てずにいられるかというのが2巻そして3巻以降の見どころになってきそうです。
菜央は遥香と一緒にいるため、最後の希望を捨てず、たったひとつの可能性にかける様子が描かれていましたね。

同じ部屋の鍵を持つ関係

2人で同じ部屋の鍵を持つ様子が描かれていたのも印象的です。
鍵が遥香と菜央に見えます。
『ラブライブ虹ヶ咲学園』11話で歩夢と侑のスマホが重なるシーンが頭に。

後は『一度だけでも、後悔してます。』の表紙とかも。

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同じ部屋の鍵を持つくらいに距離が縮まっているのが伝わってきます。
ただ、遥香の過去に踏み込めない点を察するに、遥香のパーソナルスペースは想像以上に広い気がします。
合鍵を渡せるまでには発展しているものの、距離がありますね。
下手に踏み込むと今の関係が壊れてしまいそうな。

この距離感がどう変わるかも『君に紡ぐ傍白』の見どころになるのかなと。
恋人同士の距離感・演者と観客の距離感・演者同士の距離感といくつもの距離感が重なることで物語に深みを与えています。

6話と7話の扉絵

6話と7話の扉絵も個人的に注目したい部分です。

6話の扉絵は白い服を着た菜央が描かれているのに対し、7話の扉絵は黒い服を着た遥香が描かれていました。
明と暗・陰と陽・光と闇といった感じがしなくも。

遥香は過去に演劇で挫折して舞台から去って行ったのに対し、菜央は遥香という希望の光に出会って舞台に立ち続けています。
6話の扉絵で菜央は1つの鍵を持っており、それは菜央に残された希望なのかなと。
その鍵を捨てずに持ち続けることで遥香を救えるのではないかと解釈しています。

キャラクターの可愛さや尊さ、奥深さを感じる扉絵です。

遥香が進んで菜央に抱き着くシーン

遥香は自分から菜央にキスをしていないことを悩んでいました。
その悩みを夕貴に相談することに。

夕貴のアドバイスのおかげで遥香は自分から菜央に抱き着くことができるようになりました。
菜央に大切なことを言えない分、ハグで自分の想いをぶつけたのでしょう。
ちなみに、遥香と菜央が観に行った演劇のタイトルは「染まる街、繋がる影」とありましたが、遥香が抱き着いたことで遥香と菜央の影が繋がっていたような気も。
部屋の中も遥香と菜央の色でですね…

菜央が持っていたチケットの色合いから察するに、ファミリーマートで発券したなと感じた自分がここにいます。
セブンイレブンでチケット発見すると濃い緑の枠が特徴的だし、ローチケだと青い枠とピンクっぽい色が特徴的なのを考えたら、ファミリーマートが絞られそうです。

演劇の舞台に戻れない遥香

演劇を引退した遥香が舞台に戻れない様子が描かれていたのも見どころのひとつ。

遥香の舞台に関するやり取りとして、

  • 7話での遥香と大城先生の再会
  • 10話での菜央と零の会話
  • 11話での遥香と凪咲の会話

が挙げられます。
4話の時でも遥香と純が遥香が演劇をやっていた頃について話をしていましたね。
菜央は遥香が演劇を辞めた理由を知らないままです。

大城先生が遥香にまた芝居をやりたいなら、力になれるかもしれないと言っていたのが印象的。
理由は遥香が演劇が大好きなのを知っていたからです。
劇団の主宰になった今なら、遥香がまた舞台に立てるかもしれないと信じたのでしょう。
ひょっとしたら、大城先生はずっと遥香を探していたのかもしれません。
大城先生だけでなく、零も遥香を探していたのが伝わってきます。
遥香の演技に心を打たれた人は想像以上に多いですね。

大城先生が主宰の劇団は遥香が再び演劇の舞台に立つための希望のひとつだったのかなと。
遥香はその希望をもう一度掴むかどうかが気になるところです。
それを掴めば、菜央と同じ舞台に立てる可能性が上がる気も。

遥香と菜央に憧れた夕貴

遥香と菜央を見守る人間の1人である夕貴について掘り下げられていたのも『君に紡ぐ傍白』2巻における見どころのひとつです。

菜央の夢が叶うことを観客席で見届けるという遥香の夢・遥香と同じ舞台に立ちたいという菜央の夢と2人とも夢に向かって進んでいます。
菜央が遥香に憧れたように、夕貴は遥香と菜央に憧れを抱き、思い通りに行かなくても冒険することを決意。
遥香と菜央の影響力が大きいことを実感できますね。

ちなみに、夕貴は零を意識していたのが印象的。
夕貴と零の百合も期待できそうですね。

相合傘からのキスシーン

大学祭で遥香と菜央が相合傘からキスをするシーンも見どころのひとつ。
傘の下は2人だけの空間といったところでしょう。
もう少し首を伸ばせば唇に到達するのを踏まえたら、キスをするのも自然な気が。

大学祭から帰った後、遥香と菜央がお互いに感じ合うのも熱いですね。
ただ、今の遥香を知っているからそれで良いというのは疑問なところも。
それを乗り越えられるかどうかが重要な気がします。

本当のことが言えない菜央

遥香に憧れていたことや遥香のおかげで演劇を続けられたことが言えない菜央の辛さが11話で描かれていました。

「いつか同じ舞台で立ちたい」という希望で遥香の傍にいられる今を失う怖さを吐露していたのが印象的。
相反する2つの希望が遥香と菜央を悩ませ続けることになっており、これをどう乗り越えられるかが重要になってきます。
演者と観客あるいはファンの距離は想像以上に大きく、その距離がどうしても縮まらないといったところでしょう。

遥香が観客・ファンで居続ける限り、遥香と菜央の舞台の幕が上がらないわけで。
菜央は自分の希望を捨てるのは嫌だというのが伝わってきます。

自分を偽ったまま・自分の想いを伝えられない自分が嫌だと感じ、オーディションに受かって本当の想いを伝える決意した時の菜央は単純にカッコいいですね。

遥香と一緒の舞台に立つために今があるといった感じがします。

『君に紡ぐ傍白』2巻のブックレット&リーフレット

『君に紡ぐ傍白』2巻の購入特典がいろいろありました。

今回はゲーマーズのブックレットとメロンブックスのリーフレットを紹介します。

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ゲーマーズのブックレットは遥香が夢でカッコいい菜央と可愛い菜央にサンドされる様子を描いた漫画が収録されていました。
菜央に対する愛が伝わってきます。

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メロンブックスのリーフレットは遥香と菜央が大学で同じ授業を受けた際の様子が描かれていました。
授業中でもお互いを意識し続ける遥香と菜央が尊いです。

最後に

『君に紡ぐ傍白』2巻は読み応え十分なので、多くの方に読んで頂きたいですね。
一つ一つの描写が丁寧に描かれているのはもちろん、濃厚な百合や重厚なストーリーと見どころ満載。

今後の動向に目が離せません。

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