【感想・考察】『わたしはサキュバスとキスをした』1巻~バミューダトライアングルラブな百合~

人間であり続けようとするサキュバスの女の子とその子を愛するキュートな女の子とサキュバスとしての生き方を伝えようとする女の子の三角関係を描いた『わたしはサキュバスとキスをした』。

読み進めていくと、かなり奥深い作品であることに気付きました。

今回は『わたしはサキュバスとキスをした』1巻の感想と考察に加え、作品の魅力について紹介します。

それでは、行きますよ?

Are you ready?


基本情報

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タイトル『わたしはサキュバスとキスをした』1巻
作者白玉もち(@shira_tama_2gou
掲載誌コミック電撃だいおうじ
出版社KADOKAWA
収録話数1~7話
発売日2021年4月26日
ISBN-104049137631
ISBN-13978-4049137637
コミックウォーカーhttps://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM06201888010000_68/
ニコニコ静画https://seiga.nicovideo.jp/comic/49903
配信【ブックウォーカー】etc

『わたしはサキュバスとキスをした』1巻の内容

『わたしはサキュバスとキスをした』は、サキュバスの雪子が人間であり続けようとする様子を描いた百合漫画。
幼馴染のフウとサキュバスのこのみとの複雑な三角関係がそれぞれに大きな影響を与えます。

1巻では、このみの転校から雪子がサキュバスとしての生き方の練習を行う様子が収録されています。
雪子・フウ・このみの想いが交錯することで物語は新たなステージを迎えることに。

『わたしはサキュバスとキスをした』1巻の感想

キスがドロリとしていて、濃厚な百合がそこに広がっていた。

雪子達の繊細な一面が丁寧に描かれていて、読み応え十分だったと思う。

強い百合が堪能できるだけでなく、考察し甲斐のある要素がいくつも散りばめれており、奥深い作品に仕上がっているんじゃないかなと。

雪子の人間でありたいという想いとサキュバスであるという事実に悩む雪子がどう変化していくかが本当楽しみ。
雪子・フウ・このみの三角関係の向かう先やいかに。

雪子の人間としての顔とサキュバスの顔・フウのシャークな感じ・このみのねっとりとした絡み。
どれも魅力的だ。

ポテンシャルが高く、今後に期待ができる1冊だった。

それにしても、好きな人の前では、クールになんて振る舞えるわけないんだよ!と全力でシャウトしたい。

一度かじりつかれたら、最後。
蜘蛛の糸に絡まった蝶のように逃げられない。

『わたしはサキュバスとキスをした』の魅力

『わたしはサキュバスとキスをした』は、いくつもの魅力が存在します。

自分が思う『わたしはサキュバスとキスをした』の魅力は、以下の通り。

  • 雪子・フウ・このみの複雑に絡み合う三角関係
  • 雪子がサキュバスと人間の狭間で葛藤する様子
  • フウのシャークのような独占欲
  • このみがサキュバスとしての生き方を雪子に教えるところ

他にも、ここが魅力など、人によっていろいろ感じるかもしれません。
何かありましたら、コメント頂けると幸いです。

雪子・フウ・このみの複雑に絡み合う三角関係

雪子・フウ・このみの三角関係は、『わたしはサキュバスとキスをした』の核を担っています。
雪子がフウを思いやるところやフウが雪子を独り占めしたいところ、このみが雪子とフウをかき回すところとそれぞれの個性がぶつかり合うことで濃厚な百合が表れます。

この百合は、バミューダトライアングルよりも深いのかもしれません。

雪子がサキュバスと人間の狭間で葛藤する様子

雪子がサキュバスと人間の狭間で葛藤する様子も見どころのひとつです。

フウと一緒に生きるためにどのような選択をするのか。

フウのシャークのような独占欲

フウの雪子に対する独占欲も物語をさらに熱くさせます。
一度、拗れると想像以上のパワーを発揮。

サメのような獰猛さを兼ね備えたキュートな女の子と言えるでしょう。

まさしく、シャークオントゥース!

この牙に逃れられる者はいないのかもしれません。

作中、サメの絵やサメと名の付く場所がいくつも登場しており、その辺りも作品を楽しむポイントですね。

このみがサキュバスとしての生き方を雪子に教えるところ

このみが雪子にサキュバスとしての生き方を教えるシーンも作品の見どころ。

濃厚な百合がいくつも登場します。
ネットリとした百合は、読者の心をガッチリ掴みます。

『わたしはサキュバスとキスをした』1巻の考察

『わたしはサキュバスとキスをした』1巻に関する考察をいくつか紹介します。

作品をおさらいする参考にして頂けたらなと。

表紙に描かれているほおずき

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『わたしはサキュバスとキスをした』1巻の表紙には、ほおずきが描かれているのが特徴的。

花言葉は、以下の通りです。

  • ごまかし
  • 偽り
  • 浮気
  • 私を誘って

小雪がサキュバスであることごまかし、偽り続けているのを表すのにふさわしい花かなと。
後は、小雪がこのみとの浮気を偽り、ごまかす様子とかもほおずきで表されている気がします。
「私を誘って」という花言葉は、サキュバスの生き方を教えて欲しいと小雪がこのみにお願いするシーンが頭に浮かびます。

ちなみに、ほおずきを漢字で「鬼灯」と書きます。
小雪とこのみの距離が近いのに対し、怒りを感じているフウを表している花と呼べるかもしれません。
普段は可愛いけど、大好きな人が取られそうになると、サメや鬼神の如く、怒りを露わにするところが。

また、予想外の衝撃で今までの関係が砕けてしまいそうな脆さもほおずきで表現されているのではないかと解釈しています。

水族館デート

小雪とこのみが水族館デートを行っているシーンが登場します。

水族館は、フウにとっても大切な場所。
小雪との思い出が詰まっています。

水族館の水槽の深さや水の重さ、そして水族館内の暗さはフウの心を表しているのかなと。
小雪に対する想いは深く、重いです。
時には、暗い一面を見せることも。

思い出に比例し、深さが増しているような感じがします。

ちなみに、作中登場した新三ノ島水族館のモデルは、新江ノ島水族館でしょう。
独特の屋根が目を引きます。

新江ノ島水族館といえば、『君と綴るうたかた』の聖地。

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屋根を見て、気付いた方もいるのではないでしょうか?

後は、百合ではないですが、『海獣の子供』や『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』でも新江ノ島水族館が登場していましたね。

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茅沢本町駅のモデルは、片瀬江ノ島駅かなと。

水族館の帰り道

水族館の帰り道も考察できるポイントのひとつです。

小雪とこのみの間に手すりがありました。

小雪とフウの間に入れるものは誰もいないということを表していると同時に小雪とこのみの間に隔たりがあるのを表しているのではないかなと。

小雪が人間として生きようとするのに対し、このみはサキュバスとして生きようとするところとか。

また、人間とサキュバスの隔たりは、薄い壁1枚といった感覚を覚えます。
その気になれば、サキュバスとして生き続けることができるといったところでしょう。

ポスターには、「毎日キスをすると健康にいい」と書かれており、それは小雪が人間としてサキュバスとして生き続けるためのヒントになっているのでしょう。

5話に登場した電柱

5話にサラソウジュと書かれた電柱が登場します。

白玉先生の過去作、『サラソウジュの花の色』から取っているとのこと。

サラソウジュは、白い花を咲かせる木です。
ジャスミンに似た香りを放つそうです。
ジャスミンは、その香織から媚薬に使われるという話があるとか。

その辺を踏まえると、サラソウジュは、『わたしはサキュバスとキスをした』を表現する植物にふさわしいと言えるでしょう。

サラソウジュは、夏椿に間違えられることがあります。
夏椿の花言葉は「はかない美しさ」。
このみは、過去に辛い経験をしており、小雪に同じ苦しみを繰り返さないように奮闘しています。
「はかない美しさ」という花言葉は、夏の朝に咲き、夕方に散るところから。
そうならないためには、このみだけでなく、フウの協力も必要な気がします。

サラソウジュは、インドボダイジュとムソウジュとともに仏教三大聖樹としても有名です。
生命の木に分類され、釈迦が入滅したことから涅槃の象徴とされたとか。
生命の木は旧約聖書に登場するセフィロトの樹や北欧神話の世界樹とかが該当します。
セフィロトの樹は、『遊戯王OCG』でセフィラやインフェルノイド、クリフォートを使っている方だとピンと来るのではないかなと。
百合だと、『蒼と壊羽の楽園少女』でセフィロトと呼ばれる単語が登場しています。

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『蒼と壊羽の楽園少女』は、旧約聖書をモチーフにした要素がいくつも登場しており、興味のある方はチェックしてはいかがでしょうか?

世界樹は北欧神話など、いろいろな神話で登場します。

『マジック:ザ・ギャザリング』の「カルドハイム」と呼ばれるパックで世界樹と呼ばれるカードが収録されています。
『MTGアリーナ』をプレイもしくはテーブルトップで『マジック:ザ・ギャザリング』をプレイしている方だと「あった、あった」感じるかもしれません。
『マジック:ザ・ギャザリング』には、すべてを護るもの、母聖樹と呼ばれるカードが存在しており、釈迦が悟りを開いた場所にあったインドボダイジュが頭に。
漫画だと北欧神話を題材にした『戦×恋(ヴァルラヴ)』、ゲームだと長い歴史を持つ『ドラゴンクエストシリーズ』といろいろな作品で登場している印象が強いですね。

サキュバスとしての生命は、『わたしはサキュバスとキスをした』における重要なテーマでもあり、こういった細かな演出も作品をより魅力的なものにします。

ちなみに、サラソウジュは、東京事変の「修羅場」と呼ばれる楽曲にも登場しています。
「修羅場」は、ドラマ『大奥~華の乱~』の主題歌としても知られており、作品のストーリーや雰囲気にマッチしているのではないかなと。

こうして見ると、サラソウジュは、恋を題材にした作品に大きく絡んでいるなという印象を受けます。

5話に登場した標識

5話に登場した標識に「333」と表記されているのも特徴的です。

333は、エンジェルナンバーとして知られています。
恋愛の進展にも関わるのだとか。

小雪もフウのために選択が求められるというのを実感することができますね。

5話における生物の授業

『わたしはサキュバスとキスをした』5話で小雪達が生物の授業を受けるシーンが登場します。

授業の内容は、収斂進化について。
収斂進化は、違う種の生物が環境によって同じような進化をすることです。
サキュバスとしての命を描いているのを踏まえたら、進化についての授業も重要な場面になってくるのではないかと解釈しています。

小雪が人間であり続けようとし、最終的に人間になったとしたら、収斂進化をしたと言えるかもしれません。
人間社会という環境に適応するため、サキュバスとしての一面が無くなっていき、人間としての一面が強くなっていくような。
ただ、そうした場合、失うものも大きそうです。

種族・命・進化と『わたしはサキュバスとキスをした』は、思っている以上に奥が深い作品だなと。

雪子がサキュバスだと強く感じるところ

雪子がこのみと接していると、自分はサキュバスだと強く感じるシーンも1巻におけるポイントのひとつに挙げられます。
どれだけ人間であり続けようとしても、雪子はサキュバスであることは変わりありません。

雪子に求められているのは、サキュバスとしての生き方を知ると共に人間と共存する方法を身に付けることでしょう。
前述でも触れていますが、そのためには人間であるフウの協力が必要不可欠です。
雪子の妹、秋も雪子が生きるためのヒントを見せているような。

人間でない存在が人間であることをこだわり続けた作品の一例として、『ガンバレッド×シスターズ』という百合漫画が挙げられます。

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主人公のマリアはダンピール。
作中、人間としての一面を強く見せていました。
また、吸血鬼になった人間を最後まで人間として見続ける優しさも。

このように、人間としての一面と他の種族の一面を見せるキャラクターが活躍する作品はいくつも存在しており、どういった変化や活躍があるかも作品を追っていくポイントになってくるのかなと。

雪子がサキュバスの生き方を学ぶのは、全てはフウのため。

最後に

『わたしはサキュバスとキスをした』は、濃厚な百合が堪能できるだけでなく、緻密に練り込まれた設定や奥深い要素がいくつも落とし込まれています。

雪子達がどんな選択を行っていくのか、今後の展開に目が離せません。

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