【感想】『欠けた月とドーナッツ』3巻~温かさと繊細さと複雑さを落とし込んだ1冊~

『欠けた月とドーナッツ』3巻の感想を紹介します。
気になる方は一度チェックしてください!

おまけもあります。


基本情報

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タイトル『欠けた月とドーナッツ』3巻
作者雨水 汐(@siousuisio0057)
掲載誌コミック百合姫
出版社一迅社
収録話数11~15話・あとがき
発売日2021年9月17日
ISBN-104758022968
ISBN-13978-4758022965
配信【ブックウォーカー】etc

『欠けた月とドーナッツ』3巻の内容

『欠けた月とドーナッツ』3巻は、あさひがすばると大ゲンカしてひな子の家に泊まりに行く様子やあさひと風香が最初で最後のデートを行う様子が収録されていました。

あさひの下を離れつつあるすばる・あさひに対する想いを加速させる風香。
そして、ひな子とあさひは互いのことを意識していく。

クライマックスに向けて、徐々に歩を進めていく。

2.『欠けた月とドーナッツ』3巻の感想

ひな子とあさひの百合がじんわり来る…

作品やキャラクターから滲み出る優しさが本当に良いですね。
話の内容やひとつひとつの描写もしっかり練り込まれていて、読み応え十分の面白い1冊だった。

後、本と帯の手触りが本当に良い。
そういった部分からもこだわりを感じられるのもポイント高いと思う。

雨水先生が色々と頭を悩ませて描いたと言っていたけど、確かに考えるところが多かった気がする。

だけど、ひとつひとつの描写をじっくり考えていくのは本当に楽しい。
1話1話をじっくりと噛み締める感じ。

読めば読む程、考えれば考える程、ひな子とあさひの百合の尊さ・話の魅力がジワッとあふれ出てくる。

シチュエーションや状況は違えど、同じ気持ちを抱いた瞬間を持ってくるところがまた…

1話、1話のクオリティが高く、買って良かったと思う。

最後に

『欠けた月とドーナッツ』が次で最終巻というのは寂しいものですね…

だけど、この長い夜が明けて欲しいという気持ちも大きい。
ひな子とあさひの百合が温かいからこそ、終わりが近いという寂しさが膨らんでいくのかなと。

今後の展開も見逃せない。

おまけ

本編をもうちょっと掘り下げていこうかなと。

あさひのおまじない

あさひがひな子と同じネイルをおまじないと言っていました。

ネイルを通し、ひな子の存在を強く感じていたのかなと。
ひな子がいれば、いろいろなことを乗り越えられると感じているのでしょう。

その位、あさひの中でひな子の存在が大きくなっているのが分かります。

あさひの家出先

あさひがすばると進路のことで大ゲンカし、家出するエピソードは3巻における目玉のひとつです。

あさひには、2つのルートが存在しました。

  • ひな子の家
  • 風香の家

あさひが選択したのは、ひな子の家。
あさひがひな子の家を訪れた瞬間、風香の恋は叶わぬものに。

あさひとすばるの家に向かっていた風香はあさひの行き先を聞いて、自分の恋は実らないことを悟ったのでしょう。

ひな子の優しさは、あさひにとって心地の良いもの。
ひな子と過ごす時間に幸せを見出していたのかなと。

お酒に飲まれる風香

あさひがひな子の家に家出したことを知った風香はお酒で辛さをごまかそうとしていました。

缶から落ちるお酒の一滴は、風香の涙を表しているのかなと。

すばるが風香がいて良かったと思うと言った瞬間、風香は○○○としていました。
おそらく、涙をごまかそうとしていたのではないかと解釈しています。

何杯飲んでも、酔うことができないといった感じでしょう。

14話の扉絵

14巻の扉には、夜の住宅街を歩くあさひが描かれていました。

その近くには、止まれの標識が。
あさひの前には2つの道が用意されていました。

ちなみに、14話のサブタイトルは「分からない」です。

どうすれば、ひな子と一緒になれるのか分からない・ひな子の下に向かうためにはどちらの道を選べば良いか分からないといろいろ考えることができます。

通り慣れたはずなのに正しいルートが分からない。
ひな子のことをいろいろ考え、袋小路に迷い込んだという印象も受けます。

ひな子にはあさひが欠かせない

14話を見ていると、ひな子にはあさひが欠かせないと感じさせる描写が登場します。

あさひは、ひな子の服に付箋が付いているのを見つけ、取っていました。
こういった行動もひな子とあさひの百合をより尊いものにしているのかなと。

何気ない行動ひとつ取っても、ひな子にはあさひが欠かせないと感じさせると同時に2人の距離は限りなく接近しているのが分かります。
だけど、距離を0にするための最後の一押しがまだ見つからないといった感じです。

ちなみに、あさひは風香とのデートで着ていく服をひな子にコーディネートしてもらっていました。
このやり取りを見る限り、あさひにはひな子が欠かせない存在だというのが伝わってきます。
ひな子によってより綺麗になるあさひ。

服をコーディネートした後、あさひの背中を見送るひな子の「行かないで」が沁みます。
この場面からも、ひな子にはあさひが欠かせない存在になっているのが分かります。

最初で最後のデート

風香はデートであさひに自分を振るよう言っていたのも印象的。

デートの際、ひな子が選んだ服は綺麗と言わなかったものの、あさひが選んだネイルは綺麗と言っていました。
ひな子が選んだと言ったら、綺麗だとは言わなかったでしょう。

自分のために悩んで選んでくれたんだと感じていたのかなと。

最初で最後のデートはあさひと風香が前に進むために重要な出来事だったと解釈しています。

ちなみに、あさひが食べるパンケーキを風香の心に見立てていたのも印象的です。
少し力を入れるだけで傷つけてしまう。
人の心は、繊細なものだと実感することができます。

街灯に照らされて

風香とのデートを終え、あさひは街灯の下でひな子に会いたいと吐露していたのが印象的。

それに対し、ひな子も買い物の帰り道、あさひに会えたらなと期待していました。
ドーナッツを2個買っていたのもポイントです。

もし、偶然出会ったら、一緒に食べようと感じていたのでしょう。

ひな子が夜空を見上げると、月が雲に隠れていました。
あさひと一緒になるには、もう少し時間がかかるといった感じを受けます。

最も、明けない夜はないわけですが…

朝日が昇るのもそう遠くはないと思います。

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