『最果てのともだち』10話の感想と考察を紹介します。
作品をおさらいしたり、触れるきっかけになれば幸いです。
基本情報
タイトル | 『最果てのともだち』10話 |
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サブタイトル | 黎明のアサヒ |
作者 | 雪宮ありさ(@yukimiya_7sb) |
掲載誌 | まんがタイムきららフォワード2022年3月号 |
出版社 | 芳文社 |
発売日 | 2022年1月24日 |
魅力 |
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ISBN | 4910082710321 |
『最果てのともだち』10話の内容
『最果てのともだち』10話は、キヨと同じ幽霊になろうとしたアサヒは結局、飛び降りることができず、保健室で一晩を過ごす話。
保健室にいたユウがアサヒに寄り添い、仲良くなる様子が描かれていました。
辛いことはあるものの、嬉しい出来事があったアサヒは、キヨにそのことを伝えるものの、キヨはどこか気に入らない感じ。
先生に林間学校の出来事を話すアサヒを見て、ドス黒い感情を見せていた…
扉絵とサブタイトル
彼岸花が咲き誇る場所に立つアサヒが扉絵に描かれていました。
飛び切りの笑顔を見せていたのが印象的。
彼岸花の花言葉は、「あきらめ」・「悲しい思い出」・「独立」・「再会」・「情熱」などが挙げられる。
生きることをあきらめ、林間学校の悲しい思い出から逃れるために幽霊となって独立し、キヨと再会したいという想いでいっぱいというのを表していると思う。
彼岸花と聞いて、死をイメージする方が多いのではないでしょうか?
彼岸花には毒があると言われており、作中における毒はキヨの優しい言葉や幽霊になると楽になれるのではないかという誘惑なのかなと解釈している。
日頃のいじめが原因でアサヒは、限界寸前といった感じでしたね。
Twitterで雪宮先生が扉絵のイラストを投稿していました。
アサヒの背後には、朝日が描かれている。
幽霊となることで長い夜が明けた・キヨや先生、ユウとのやり取りを通して朝日が昇ったといった印象を受ける。
その反面、朝日を背景にすることでアサヒが天に昇る印象を与えているのもポイントだ。
彼岸花を周りに描くことで天に昇る印象を与えているのかもしれない。
花びらが舞っていることで、花が散る→アサヒの命の灯が消えると連想できそうですね。
下半身を薄くすることで存在が消えかかっている感じを与えている。
扉絵1枚でいろいろ想像を膨らませてくれる。
サブタイトルは、「黎明のアサヒ」。
黎明(れいめい)というのは夜明けのことだ。
林間学校の夜を乗り越えたこと・ユウとのやり取りを通して希望を持つことができたことを表現したいのかなと。
アサヒを現世に繋ぎ止めたのは
結局、アサヒは死ぬことができませんでした。
アサヒを現世に繋ぎ止めたのは、お母さんや先生。
そして、キヨですね。
自分が死ねば、お母さんが悲しんでしまう・独りぼっちになってしまうと感じ、自殺を思いとどまることに…
こうして見ると、家族の存在って大きいですね。
1人なら心折れそうだけど、家族がいるから踏ん張れると言いますか。
家族の繋がりや大切さを描いていた回だったと思う。
3話の時、アサヒがお母さんと楽しいゴールデンウィークを過ごしていましたね。
お母さんがいなかったら、もっと早い段階で死んでいた可能性も。
アサヒとお母さんのやり取りを見ていて、人間は1人では生きていけないというのを実感する。
キヨと先生も自分の夢を応援してくれたことを考えたら、教師になって自分と同じ境遇の子を救うまで死ぬわけにはいかないと感じていた部分も大きいと思う。
鏡に映ったキヨ
アサヒの手元には、シロツメクサの押し花が。
シロツメクサは、キヨを、『最果てのともだち』を象徴する花と言っても過言ではない。
鏡を見ると、いるはずのないキヨがそこにいました。
アサヒを勇気づけ、自分はアサヒの味方だと言っていたのが印象に残る。
自分がついているなら、怖いものなんて何もないでしょ?と心強い一言を。
尊いなと感じた自分がここにいる。
それと同時にちょっと待てよ?と感じた面も。
大半の方が「疑問に感じることでもあるのか?」とか「おかしいところなんて何もないでしょ」と感じるかもしれない。
それでも、自分は少し違和感を感じている。
まるで、自分より怖いモノなんてないでしょ?と言っているような感覚を覚えた。
4話の時、アサヒがキヨにお母さんがどんなお弁当を作ってくれたかを問いかけるシーンがあった。
その際、「知らないわよそんなもの」と言っていたのが印象に残る。
あの時のキヨに比べたら、確かに怖いモノなんて何もない気がする。
優しい一面と怖い一面の両方を感じ取った。
もちろん、この辺は人によって違ってくると思う。
文字のフォントとか見ていると、やけに力が入っているような感じも怖いなと感じた理由のひとつだ。
保健室でのユウとのやり取り
部屋で寝れないアサヒは、保健室で寝ることに。
保健室には、幽霊のせいで部屋で寝れないユウもいた。
ユウとのやり取りも10話の見どころのひとつだったと思う。
誰とも話したくないと感じていたものの、勇気を持って昼の食器洗いのお礼を言っていました。
アサヒがお礼を言えたのは、ユウが寄り添っていたのも大きいですね。
「大丈夫だよ」・「ゆっくり話してくれていいから」というユウのセリフですが、吹き出しが透明になっていました。
これは、ユウに邪念が無いこと・純粋な気持ちでアサヒに寄り添っているというのを表しているのではないかと解釈している。
本当は吹き出しの色を白にできるけど、敢えて白にしなかった。
そんな感じがする。
心からのありがとうをユウに伝えるアサヒが単純に尊い。
対するユウも不気味な子だと思っていたことを面と向かって謝っていました。
自分の声に耳を傾けてくれる人がいて、アサヒは心の底から嬉しいと感じていたのも印象的だ。
見ていて、嬉しいというのが伝わってきましたね。
ちなみに、ユウが謝っていた時、アサヒとユウに光が差し込んでいましたが、ユウがアサヒに寄り添っていること・アサヒには希望の光があることを表現していたのではないかと解釈している。
翌朝のアサヒとユウのやり取り
翌朝、ユウがアサヒに「おはよう」と言っていたシーンも見どころのひとつに挙げられる。
アサヒに友達ができたのを実感できる。
窓から差し込んだ光をアサヒとユウに当てることでアサヒとユウが同じ場所にいることを表していた。
ユウの横にいた2人の女の子には光が当たっておらず、アサヒと同じ場所にいないこと・寄り添っていないことを表しているのではないかなと。
アサヒの学校生活に変化が出たら良いのですが…
多分、そう簡単にはいかない気も。
キヨのことで首を突っ込みそう…
ちゃんとお礼が言える良い子とユウが言っていましたが、透明の吹き出しを使っていたことから、本心で言っているのが分かる。
ユウのことを聞いたキヨの反応
林間学校を終えたアサヒは、キヨと先生の下へ。
アサヒは、キヨと先生にユウとのやり取りを嬉しそうに話していました。
先生は嬉しそうにしていましたが、キヨは不満でいっぱいという感じ。
それもそのはず。
アサヒの一番の友達というポジションを失ってしまう恐れがあるだけでなく、アサヒがもう来なくなるかもしれないという危機感も抱いていたのだと思う。
だから、陰で不満げな表情を見せていたのかなと。
ユウの存在は、キヨにとって想定外だったのでしょう。
キヨが「でも」と言った時、怒気を感じた気がする。
自分以外の子と仲良くしているなんて許さない。
誰にもアサヒを渡したくない。
ドス黒い感情がキヨに渦巻いている。
ユウがアサヒと距離を限りなくゼロに縮めた時、キヨは何かすると思う。
キヨは、アサヒが変わること・アサヒが中学に進むこと・アサヒが自分の下を卒業することを許すとは思えないんですよね。
最後に
アサヒとユウの距離が縮まったものの、それを良しとしないキヨ。
キヨがどんな行動を起こすのか気になるところです。
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