『メールブルーの旅人』とは何ぞや
『メールブルーの旅人』は、人類が滅んだ遠い未来を描いた物語。
作者は、こだまり先生(@rekodapeta)です。
1人生き残ったハカセは、引き篭もりの研究者。
最後にやっておきたいことを果たすためにAI搭載人型探査機・クマノミを開発し、広大な情報の海(メールブルー)に向かわせ、たった1つのお宝を探し求めます。
クマノミは、いくつもの情報世界(チャンネル)を訪問し、さまざまな物を見つけ、さまざまな人と出会うことに。
独特の世界観とハカセとクマノミのイラストを見て、「なんだこれは?」と思い、まんがタイムきららキャラット2022年3月号を購入しました。
『メールブルーの旅人』1話の内容
1話では、クマノミが「隔離」をモデルにした情報世界を訪れました。
「隔離」をモデルにした情報世界の住人であるアン(UNe)と出会います。
アンは、普段どのように過ごしているかに加え、「隔離」をモデルにした情報世界についてハカセとクマノミに話します。
『メールブルーの旅人』1話の感想
読んでいて、気になることが多く、続き読みたいな・作品の世界観について知りたいなと感じた。
刺さる方には刺さる作品だと思う。
『メールブルーの旅人』のような作品、好きという方は多そうですね。
ハカセとクマノミのやり取りにクスッとしつつも、2人の信頼関係は尊いなと感じました。
旅を終えたクマノミを見るハカセの目が優しかった…
主要キャラクターの目的を分かりやすくしつつも、考える要素をいくつも散りばめていて、読み応えのある作品に化けそう。
いろいろ考えるのが楽しい・作品の世界観について想像を膨らませていくのが好きといった方におすすめできるんじゃないかなと。
自分は、作品の設定や世界観について想像を膨らませていくのが楽しかったですね。
1話のゲストであるアンも丁寧に描かれていて、一期一会を大事にしているのが分かる。
一期一会の出会いも旅の醍醐味のひとつだ。
後、クマノミのハカセを想うところが読んでいて、良いなと感じた。
アンと話していた時、ハカセのことが本当に大好きなんだなと。
『メールブルーの旅人』1話の解説
『メールブルーの旅人』1話の細かな部分について解説していこうと思います。
話をおさらいしたい方は一度チェックしてください。
タイトル
『メールブルーの旅人』は、情報の海を旅する旅人という意味ですね。
タイトルには、フランス語が用いられています。
メール(mer)はフランス語で海、ブルー(bleue)はフランス語で青い、エトランゼ(étranger)はフランス語で異邦人、外国から来た旅行者。
青い海の旅人と訳すことができます。
インターネットは、海のように広く、深いことを踏まえたら、おしゃれなタイトルだと思います。
ハカセ
ハカセは、作品の主人公の1人。
最後にやっておきたいことを果たすためにクマノミを生み出し、情報の海を旅させています。
研究に夢中になっていたら、人がいなくなっていたとか。
何かひとつのことにのめり込むタイプの人ですね。
センスに溢れたTシャツを着こなします。
1話では、デブリと書かれたTシャツを着ていました。
デブリは、破片のこと。
ロケットの部品や故障した人工衛星などのゴミを指すスペースデブリのことを指しているのでしょう。
そのファッションセンスは、『けいおん!』の唯ちゃんを彷彿させます。
複数人で遊ぶと心が死ぬというヤバいところも。
クマノミ
クマノミは、ハカセに開発されたAI搭載人型探査機。
もう1人の主人公です。
ハカセのために情報の海に接続(ダイブ)します。
情報世界での経験を通し、クマノミは成長していきます。
ハカセのツッコミ担当。
感情表現が豊かで物語に厚みを与えてくれるのがポイントです。
ハカセとクマノミとの百合とクマノミとゲストとのやり取りを軸に物語を追っていくことになります。
情報の海にある情報世界を旅することができるものの、一定時間を過ぎると、強制帰還させられます。
行ける情報世界は、ランダムとのこと。
一度行った情報世界にまた行けるとは限らないとのことです。
クマノミは、海水魚の一種。
縞模様が特徴的です。
作中におけるクマノミを見てみると、オレンジ・肌色・黒と縞模様を感じさせます。
情報の海
情報の海は、『メールブルーの旅人』の舞台。
さまざまな情報世界が存在しており、ハカセとクマノミは、数ある世界の中からたった1つのお宝を見つけようとします。
大まかなイメージ図は、こんな感じです。
膨大な数の情報世界があるので、目的を達成するのが難しそう。
情報の海を見て、思ったことはインターネットが頭に浮かびました。
インターネットは、サーフェイスウェブとディープウェブからなります。
ディープウェブの一部として、ダークウェブが存在します。
テレビやYouTubeの動画などでダークウェブがどうとかといった話を耳にしたりするのではないでしょうか?
『メールブルーの旅人』に登場する情報の海の構造を自分なりにイメージしてみるとこんな感じに。
1話で登場した情報世界は、サーフェイスウェブの領域で比較的初見で訪れやすい・再び訪れやすい世界なのかなと解釈しています。
情報世界の中にも、特殊な方法を知らないといけない世界も存在しているのかなと。
中には、生きて帰れるか分からない情報世界もありそうですね。
分かりにくい場所・パスワードを知っていないと入れない情報世界にハカセとクマノミが探しているお宝あるのではないかというのが自分の意見。
たった1つのお宝
たった1つのお宝を見つけることがハカセとクマノミの旅の目的。
お宝の正体は、ハカセの祖父が遺したデータのことでしょう。
遺されたデータの正体は不明です。
ハカセの言動から察するに、今までずっとやりたかったけど、できなかったことをやりたいと言っているように見えます。
祖父が遺したデータにそれを行う方法やノウハウが書かれていると踏んだのでしょう。
望みのデータが残っているのかどうか疑問ですが。
遺っていたとしても、意外な内容だったり。
1話で訪れた世界
1話でクマノミが訪れた世界は、1人1人が隔離された世界。
隔離された理由は、人が集まることで起こる問題を解決するためです。
同じ世界の住民と出会うのは違反とのこと。
問題の芽は、ひとつでも摘み取るといったところでしょうか。
住民達は、指定された場所で労働し、それに見合った支給品を受け取ります。
支給品は、輸送機で送られます。
追加労働をすれば、本のような娯楽品が支給されるとのこと。
アンによると、他の場所に行く手段がないとのこと。
例え、行ける手段があっても、すぐに見つかって、罰せられるのでしょう。
後は、移動する手段を全て没収されたのかなとか。
集まることで起こる問題というのは、いじめ・犯罪・クーデターなどが頭に浮かびました。
どれも社会を揺るがす問題です。
上のお偉いさんは、ありとあらゆる問題を無くすためには、人と人が繋がらなければ良いんじゃないかと感じ、1人1人を隔離したのでしょう。
合っているかどうかは別にして。
誰かが不穏な動きをしているのかすぐに分かることから監視社会を築いています。
アン
1話のゲストであるアン。
1人に隔離されていても本によって寂しさを乗り越えていました。
心の持ちようが変わると言っていたのが印象的です。
名前の由来は、フランス語で1を意味するアン(une)から。
表札にUNeと書かれていました。
ということは、ドゥ(deux)やトロワ(trois)という住人もいるのかなと。
表札から察するに、1人1人が隔離された世界の住人に割り振られた番号が名前にもなっているということでしょう。
似たようなモノと言ったクマノミの真意
クマノミは、本が自分と似たようなモノだと言っていました。
その理由は、本がアンを支えていたのと同様にクマノミも1人で生きるハカセを横で支え続けています。
だからこそ、似たようなモノと口にしたのでしょう。
本に対する愛情を感じ、自分が拾った本をアンに渡したのかなと。
自分達の下にあっても何の役に立たないけど、アンの下にあれば、アンの心を豊かにさせるのではないかと感じ。
本棚は、その人の人格や趣向、これまで生きてきた足跡のような印象を受けます。
たくさんの本達が早く読んで欲しい・また読んでくれるかなと待っているかのよう。
本達に心があるとしたら、クマノミが渡した本もアンの持つ本達の仲間に入りたい・アンに読んで欲しいと感じていたのかな。
物には精霊が宿ると日本古来から言われていますし。
もちろん、クマノミにも心があります。
でないと、ハカセ達に喜怒哀楽を表現することはできません。
そういうことかと言ったクマノミの真意
アンとの別れ際、クマノミが名前を聞いていました。
クマノミはそういうことかと言っていたのは、表札に書かれたUNeがアンと読むことを指していたのかなと。
表札に書かれたUNeを読めなかったのを察するに、クマノミは、フランス語が読めなかったのでしょう。
別れ際にアンの名前を知って、表札に書かれていたのはこの人の名前だったのかと納得し、ハカセの下に戻ったのではないかと解釈しています。
最後に
『メールブルーの旅人』は、奥が深い世界観と一期一会の出会い。
そして、ハカセとクマノミの百合といくつもの魅力を兼ね備えた作品です。
レギュラー化を掴めるかどうか気になるところ。
少しでも参考になれば幸いです。
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