『その淑女は偶像となる』4巻の感想を紹介しつつ、ポイントとなる部分を掘り下げていきます。
作品をおさらいしたり、作品に触れるきっかけになれば幸いです。
これで完結か…
基本情報
タイトル | 『その淑女は偶像となる』4巻 |
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作者 | 松本陽介(@matsumoto1325) |
掲載誌 | ジャンプ+ |
出版社 | 集英社 |
収録話数 | 21~最終話・番外編 |
発売日 | 2022年4月4日 |
ISBN-10 | 4088830423 |
ISBN-13 | 978-4088830421 |
サイズ | B6(12.8x1.5x18.2cm) |
配信 |
『その淑女は偶像となる』4巻の内容
『その淑女は偶像となる』4巻は、強敵・南みみとの激突そして退屈の1週間との戦いが描かれていました。
誰かの希望となるため、桜子達はステージの上に立ち、ステージを披露します。
『その淑女は偶像となる』4巻の感想
熱いなと感じつつも、これにて幕が下りるというのは、やっぱり寂しいですね…
恐子・龍星・夏希との戦いもだな。
恐子は予選で戦っているじゃんと感じている方もいるかもしれないですが、再戦時にデッカい姿を見せるところも見たかったとかいろいろ感じるわけですよ。
そう感じさせる1冊だったと思う。
それでも、桜子達の熱い姿を満喫できて、自分は買って良かったなと。
『その淑女は偶像となる』に描かれている熱さが本当に好き。
この熱さを求めて、単行本を買っているところがある。
最後の最後まで熱い、そんな1冊だった。
『その淑女は偶像となる』4巻の考察
『その淑女は偶像となる』4巻を読んでいて、気になるところが何点かあったので、もうちょっと深掘りしていこうかなと思います。
最大の対戦相手
本戦で最大の対戦相手であるみみ、退屈の1週間とぶつかるわけですが、みみにとって桜子達は退屈の1週間以上に強敵だったのではないかなと。
かつて自分達をまとめ上げた桜子・自分の憧れでもあったあるみ・桜子とあるみについていくだけでなく自分の限界という殻を破ったまりも。
よくよく考えたら、みみが負けてもおかしくない相手だったと思います。
退屈の1週間は、ファンだけじゃなく、みみにとっても退屈なものだったのでしょう。
配信で練習場面だけを見続ける…もし、作中登場するアイドルのファンだったとしたら、それを楽しいと心から言えるのかどうか疑問です。
予想外のハプニングで面白いと感じたりすることはあるかもしれないですが、練習だけを見続けるとなるとうーんとならなくも。
みみは、配信でいろいろな顔を見せ、ファンを獲得していったのかなと解釈しています。
過酷な練習を行っているのを踏まえたら、平坦な道のりではなかったのかなと。
みみの限界以上に引きだす行為について
4巻では、みみが他のアイドルのポテンシャルを限界以上に引き出していましたが、良いことだなと感じる反面、「待てよ」と感じる部分も。
誰かのポテンシャルを引きだすということ自体は、悪いことじゃありません。
むしろ、良いことだと思います。
だけど、みみが行っている行動は、時に他のアイドル達の心を傷つけていないかと感じたりします。
そう感じた理由は、2回戦の結果です。
みみのテコ入れにより、対戦相手のアイドルは28票を獲得していました。
ただ、その数字は、対戦相手のアイドルの限界を示すものと言っても過言ではない気がします。
確かに、みみのテコ入れ無しだと、0票に沈んでいたかもしれません。
それでも、みみの行動は100%良いことなのかと言われると、疑問符が浮かびます。
アイドルによっては、自分はここまでが限界なのかと感じてしまうのではないかと感じた自分がいます。
場合によっては、自分の限界を悟り、引退してしまう可能性も。
そういったことを加味すると、みみの行動は良いなと感じつつも、残酷だなと感じてしまいます。
こう感じる方は、中々いないと思いますが…
後、みみがいなくても、100%以上の力を発揮できるのかなと感じたりもします。
みみの裏の顔
みみは、ファンの前だと可愛い顔を見せていましたが、裏では想像以上の努力に励んでいました。
桜子は、ボロボロになった靴を見ていたのが印象的です。
こういった部分を見ると、みみはちょっとやそっとの努力では勝てないというのを普段から見せていたのではないかと解釈しています。
退屈の1週間を乗り切るヒントを今まで対戦相手のアイドルに見せていたけど、それに気づかなかったアイドル達。
そのヒントにたどり着けないアイドルが多かったことを含めて、退屈と称したのかもしれません。
いろいろ考えていくと、退屈という言葉は重いなと。
仕事できる云々を靴で見るみたいな話を耳にしますが、桜子のように靴を見る方ってどのくらいいるのか気になっている自分がいます。
タレントの内山信二氏は、『しくじり先生』の時にADの靴を見ていたという話をしていましたね。
本気でぶつからないと勝てないと見抜いた桜子は、流石の一言です。
2回戦でみみと対戦したアイドルもその気になれば、自力で28票を獲得できていたと思います。
昨日の敵は今日の友
『その淑女は偶像となる』4巻の見どころのひとつにこれまで戦ってきた強敵が手を差し伸べるところが挙げられます。
みみとの共闘も熱いのですが、それと同じくらい熱いのは美奈子・志乃の再登場。
美奈子が桜子達をしっかり休ませ、志乃がまりもに的確なアドバイスを送るという展開はエモいですね。
こういった描写を見ていると、対戦して終わりではなく、対戦後の繋がりも重要なのかなと解釈しています。
縦だけじゃなく、横の繋がりも重要なのでしょう。
どんな時も戦っているのではなく、時には協力して盛り上げることもアイドルに求められているのではないかと実感する部分です。
あなたの希望は何ですか?
『その淑女は偶像となる』4巻で多くのアイドルファンに「あなたの希望は何ですか?」と問いかけるシーンが存在していました。
これは、みみや龍星。
恐子に夏希そして桜子達にも問われていた質問ではないかなと。
作中登場したアイドルファンの場合は、日常を忘れてくれる熱いライブを見ること・今日や明日を乗り切るための活力が欲しいといったところでしょう。
みみの場合は、退屈の1週間に打ち勝つこと・桜子を入れた5人でステージを盛り上げること。
龍星の場合は、桜子の復帰とそれに伴うシーンの変化なのかなと。
桜子が核と龍星が言っていたのは、桜子が恐子達の時代を大きく変えてくれると信じていたからでしょう。
だからこそ、龍星にとって、桜子は欠かせない存在だったのではないかと解釈しています。
もしかしたら、桜子と一緒に変えたいと感じていた可能性も。
そして、桜子達の場合は、目の前の人達を笑顔にすることです。
そこには、みみだけでなく、龍星・恐子・夏希も含まれていたのではないかと感じています。
ラストステージ
みみを暗闇から引きずり出した桜子が仲間と一緒に披露したステージが熱いのも見どころのひとつです。
桜子達が見せた姫宮飛びで締めというのがエモいの一言に尽きます。
いろいろな作品において、作品を象徴するアクションやパワーワードが登場しますが、『その淑女は偶像となる』において象徴となるアクションやパワーワードは姫宮飛びですね。
3人でやる姫宮飛びは、1人の時よりもパワーがあって尊かったように思います。
最後に
『その淑女は偶像となる』4巻は、桜子達が強敵・みみとの共闘・対決を描いた1冊。
最後の最後まで熱い様子が描かれていました。
読切から始まったわけですが、連載決定は思いもよらないクリスマスプレゼントないしお年玉といった感じがします。
ジャンプ+では、さまざまな読切が登場しており、今後どのような読切が連載を掴み取るのか気になるところです。
この作品に出会えて良かった。
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