まんがタイムきららキャラット2022年6月号に掲載されていた『メールブルーの旅人』4話の感想に加え、作中に登場した世界について触れていきます。
『メールブルーの旅人』4話の内容
『メールブルーの旅人』4話は、ハカセとクマノミが「画一性」の世界を探査する様子が描かれていました。
クマノミは、「画一性」の世界の住人であるワーズに体を奪われそうになったギリギリのところでハカセが救助。
自分の体を作ってくれたハカセに感謝するクマノミでした。
『メールブルーの旅人』4話の感想
連載決定し、ハカセとクマノミは一体どんな世界を目にするのかと思い、読んだわけですが、???というのが頭に浮かびました。
この世界の住人、体が…??とビックリしましたね。
『メールブルーの旅人』において、いろいろな世界を目にすることができるというのは、ひとつの魅力だと思う。
場合によっては、想像の斜め上を行く世界も。
ホラー的な要素を感じた。
今回、登場した「画一性」の世界を見て、こんな世界に行くとは予想できたか!?という言葉が出てくる。
こだまり先生の表現の豊かさが見れたのはもちろん、ハカセとクマノミの百合・信頼関係を垣間見えたのが良かったな。
クマノミの必死の叫びがハカセの心を響かせたのかなと思ったり。
いつもは世話が焼けるハカセだけど、ここぞという時に頼りになる。
思慮深いところが見れたのも良かった点かな。
後、「画一性」の世界でのやり取りを見ていて、いろいろ考える要素も多く、想像を膨らませられる点も読んでいて良いなと思った部分だ。
『メールブルーの旅人』の物語・世界観はもちろん、ハカセのやろうとしていることにいろいろ考えるのが本当に楽しい。
5話では、どんな世界が待っているのか気になるところだ。
『メールブルーの旅人』4話の解説
『メールブルーの旅人』4話で登場した世界・描写・キャラクターなどについて触れていきます。
4話で登場した世界
4話でクマノミが見つけた世界は、「画一性」の世界。
画一性は、個性や個々の事情・性質を考慮せず、全体を一様に揃えることを指します。
「画一性」の世界に住む十人曰く、人の姿がいらなくなった自由な世界とのことです。
ちなみに、「画一性」の対義語は「多様性」。
4話を見る限り、「画一性」だけでなく、「多様性」についても触れられている印象が強いです。
優劣ができるものをできる限り削り取った結果、画一性の世界の住人達は精神だけの存在に。
自由な世界と合ったものの、これが本当に自由な世界なのかという疑問が…
ハカセも精神だけを残すのは、でたらめにも程があると言っていましたし。
全てを揃えること自体に無理がある気がします。
ワーズ
ワーズは、「画一性」の世界の住人達。
吹き出しの姿をしています。
名前の由来は、言葉を意味するWord(ワード)でしょう。
誰かと会話したり、感情を表現する時、吹き出しの形や色が変化します。
優劣ができるものをできる限り削り取ろうとしても、個性を完全に削り取ることができなかった様子が描かれていました。
完全に言葉だけにしたら、相手がどのような感情を抱いているのか・本当にそう思っているかが分からない時が出ます。
コミュニケーションに支障が出るから、個々の意志・感情表現を残さざるを得なかったのでしょう。
まるで、フォルダに入っているいらないファイルを削除するかのよう。
ワーズによって、考え方が異なります。
クマノミに「画一性」の世界について説明する優しい存在もいれば、体を求めて誰かの体を乗っ取ろうとする怖い存在も。
シレーヌシステムを用いて、情報世界に行く際、各世界の特徴はもちろん、そこに住む住人達が一体どのような存在なのかも理解する必要があるのでしょう。
画一性の世界があるのを踏まえると、情報の海のアクセス権が一部の人間にしか与えられないのも納得です。
アクセス権や情報世界の知識なしに情報の海を探査するのは危険そのもの。
場合によっては、命を落とす場合もあるのではないかと解釈しています。
1話で登場した「隔離」をモデルにした情報世界も一歩間違えたら、命を落とす可能性もあったのでしょう。
住人達を厳重に隔離する位ですし。
「隔離」をモデルにした情報世界と同じくらいの怖さが「画一性」の世界にあります。
そういった部分も相まって、AI搭載人型探査機に情報の海を探査させるのかなと。
情報を持っていることでできること
ハカセは、情報の海の中なら、情報データを残すことでIF(もしも)の世界を残すことができるのではないかと口にしていました。
情報があれば、過去を再現できるとのこと。
情報データでIFの世界を生み出せるとしたら、ハカセとクマノミがずっと一緒にいられる世界とかも作れそう。
情報世界を探査し、集めたデータを基に1つの世界を作れるなら、それはそれですごいですね。
人間のいない世界とか獣人の世界とか影の世界とかもできるのか気になるところ。
最も、生み出したら、その責任も背負うことになると思いますが。
自分が生み出した世界が原因で大きな問題に発展するなんてこともゼロではないような。
滅びを回避できる未来の可能性を探していたのではないかとハカセは言っていましたが、その可能性も十分考えられそうです。
肉体が滅んでも精神だけ残れば、その場所で生き続けられると。
情報ということは、その人の情報をコンピューターに保存し、用意したボディに移植することで…
というのは、考え過ぎですね。
「画一性」の世界に存在する精神だけの存在にする技術と「保存」の概念をモデルにした世界にある保存に関する技術そしてAI搭載人型探査機を作る技術を合わせたらとか頭によぎったんですよ。
クマノミのメンテナンス
4話において、クマノミのメンテナンスをしないといけないとハカセが口にしていました。
情報の海を探査することで負担がかかるのでしょう。
生身の人間だったら、命の保証があるのかな???
それを克服するためのシレーヌシステムではないかと解釈しています。
事実、試作ボディを大量に作っていましたし。
情報の海を探査する際の負担に耐え得るためのボディを作るために試行錯誤を繰り返し、今があるのかなと。
クマノミにとって自分の体は
クマノミは、体を奪おうとするワーズ達に自分の体は、ハカセと話をするための大事なものだと発していました。
自分に知性と肉体を与えてくれたハカセに対する愛情が伝わってくる描写です。
4話におけるベストシーンではないかなと。
この体があるから、自分は自分でいられたというクマノミの考えを知ったハカセは、作者冥利に尽きると言っていたのも印象的。
心から嬉しいと感じていたのでしょう。
そんなに気に入っていたのかと聞いたりしていましたが、ハカセもワーズ達にクマノミの体を絶対に渡さないと感じていたのではないかと解釈しています。
ハカセの意見
ラストでクマノミを襲ったワーズ達を「身体のカテゴリ」という型が欲しい人と評していました。
型にハマった自分を自分らしいと感じる人もいると。
コーヒーに映るハカセの表情が印象的でした。
ハカセもまた、何かしらの型にハマっているのかなとか。
肉体がないことを望んでいるワーズは、型にハマるのが嫌な人なのかなと解釈しています。
最後に
『メールブルーの旅人』4話は、「画一性」の世界でクマノミがピンチに遭う様子に加え、クマノミが博士に対して深い感謝の気持ちを抱いている様子が描かれていました。
ハカセとクマノミの百合、尊いなと。
「画一性」だけでなく、「多様性」についても触れているのような印象も強かったです。
読んでいて、いろいろ考えていた自分がいました。
今後、ハカセとクマノミはどんな世界を目にするのか、どのような出会いをするのか、どのような主義主張を見聞きするのか気になるところ。
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