人狼を題材にした『白き乙女の人狼(ウェアウルフ)』。
その内容の奥深さに何度も読み返した自分がここにいます。
今回は『白き乙女の人狼(ウェアウルフ)』1話の感想を紹介します。
基本情報
タイトル | 『白き乙女の人狼』1話 |
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漫画 | アジイチ(@ajiichi_nomoto) |
原作 | 王月よう(@oshiroi_you) |
協力 | クマ(人狼HOUSE 代表)(@JinroHouse) |
掲載誌 | ストーリアダッシュ |
出版社 | 竹書房 |
公開日 | 2022年5月27日 |
配信 | http://storia.takeshobo.co.jp/manga/werewolf/ |
『白き乙女の人狼』1話の内容
よりよい花嫁を目指すことを目的とした寄宿生の女子校・私立白蕾学園。
生徒達は3年間で純潔を失うことを許されていない。
失った瞬間、全てを奪われ、学園を追放されることに…
主人公の五木灯は生徒会役員を務めつつ、七辻紫音や四谷 葵達と一緒に学園生活を謳歌していた。
だが、ある日。
動揺する学園内。
教員達は生徒会役員の中に紫音に手を出した者がいると言って、生徒会役員のメンバーに1時間以内に犯人を見つけ、身の潔白を証明するよう命じた。
見つけられなかったら、生徒会役員全員を退学させるという言葉を添えて。
大切な人のため、灯の戦いの火蓋が切って落とされた。
『白き乙女の人狼』1話の感想
複雑な恋愛関係・魅力あふれるキャラクター達・一体誰が人狼なんだと考える楽しさ・これから掘り下げられるであろう人間ドラマといくつもの魅力を兼ね備えた百合漫画だと思う。
ありかなしかで言ったら、あり。
1話を読み終え、誰が紫音を陥れたんだろうと気になって、何度も読み返している。
疑うもしくは疑われる要素が個々にあって、この子かな?あの子かなとか想像を膨らませていくのが楽しいなと。
恋の行方はもちろん、学園内で起こった事件の真実を追っていく2つの楽しさがある。
感情と感情のぶつかり合い・嘘と嘘のぶつかり合い・真実と嘘のぶつかり合いと物語を盛り上げる要素がいくつも用意されているのもイイ。
人狼が行われているパートだけでなく、日常のパートにもいろいろな意味でのドキドキが用意されていて、最初から最後まで目が離せない。
日常パートを魅力的に印象的に描くからこそ、この子は追放されて欲しくない・あの子が人狼であって欲しくないと感じさせるのだろうか。
こうして、1人1人を掘り下げていくところも先生方の腕の光る部分だと思う。
よくよく見ると、どの子も魅力的なんだよなぁと感じた自分がここにいる。
今後の展開が気になって、もっと見たいと感じさせる1話だった。
『白き乙女の人狼』1話を整理する
『白き乙女の人狼』1話で気になることがいくつかあったので、話の内容を整理することに。
3年間で失ってはいけないもの
灯達の会話の中で3年間で純潔を失ってはいけないとありました。
それによって、学園から追放されるからです。
ただ、それ以外にも失ってはいけないものがあるのではないかと感じています。
3年間で失ってはいけないものとして、信頼が挙げられるのではないかなと。
灯達の戦いは信頼のゲームという側面もあるのではないかと解釈しています。
極限状態の中で皆の信頼を勝ち取り、紫音を陥れた人間を突き止め、真実にたどり着くことが灯の目指すゴールなのでしょう。
誰が人狼か分からない・ひょっとしたら自分が追放されるのではないかという恐怖から灯達は疑心暗鬼の状況に陥っていそうです。
生き残るために誰かを騙し騙されを繰り返していく場面が頭に浮かびます。
極限状態だからと言って、自分を見失った者が脱落していきそうです。
1話で行われた話し合いは1時間という制限時間が設けられていましたが、ゲーム外でも信頼関係を作るのも大事な気がします。
ゲームが開始される前から戦いはすでに始まっている感が。
黒百合の紋章
私立白蕾学園の生徒達は、粘膜の接触があると、黒百合の紋章が浮か上がる薬を飲むことになります。
黒百合の紋章が浮かび上がった生徒は、純潔を失ったとみなされ、学園を追放されます。
1話で黒百合の紋章が浮かび上がった紫音は、一体誰と接触していたのかが疑問。
灯とのやり取りを見ていた生徒が紫音に接触し、黒百合の紋章が浮かび上がらせたのでしょう。
キスするだけで黒百合の紋章が浮かび上がるとしたら、寝ている間にこっそりやったのかなと。
葵がキスしそうになったと感じていたのを見る限り、キスだけでも浮かび上がる可能性が高そうです。
ちなみに、黒百合の花言葉は「恋」・「呪い」・「復讐」。
恋をすると取り返しのつかない呪いがかかるですか。
復讐と聞くと、『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』に登場したブラックサレナというロボットが頭に浮かびます。
黒百合が名前の由来のロボットな上、パイロットも愛する家族を攫い、自分の味覚を奪った人間に復讐するため、戦場を駆け抜けていました。
紋章の効果を取り除く薬
紋章の効果を取り除く薬は、卒業時に飲む物です。
教師の証言によると、1つは偽薬とすり替わっていたとのこと。
人狼は紋章の効果を取り除く薬を飲むことで粘膜の接触があったとしても、黒百合の紋章が浮かび上がることはありません。
気になるのは、いつ手に入れたか。
それだけ重要な物を簡単に出し入れできる場所に保管するとは思えません。
誰でも取り出せる場所にあるとしたら、セキュリティが心配です。
もし、そうだとしたら、多くの生徒が紋章の効果を取り除く薬を手にしていたことでしょう。
紋章の効果を取り除く薬は厳重に管理されており、人狼はわずかな隙を突いて入手したのかなと。
そんな場所に近づける生徒がいるとしたら、優秀な成績を収めているであろう生徒会役員が真っ先に頭に浮かびます。
人狼は生徒達だけでなく、教師達の信頼を勝ち取るのにも長けていそうです。
人狼が灯達を陥れる理由
1話を読んでいく中で気になったもののひとつに人狼の動機は一体何かが挙げられます。
場合によっては自分が学園から追放されてしまうかもしれないことを行うのは正直、リスクが高過ぎます。
リスクを冒してまで、紫音から全てを奪った理由は一体何なのか。
生徒から全てを奪う理由を整理することに。
考えていく中でいくつかの理由が考えつきました。
- 自身の恋を成就させたいから
- 自分の地位を保ちたいから
- 学園を混乱に陥れたいから
葵・紫音それに葵に憧れる八原さくらを見ていると、恋を成就させるというのが思いつきました。
誰かと恋をし、深い関係になることで学園を追放される可能性が高まります。
また、3年間の学園生活の中で追放されることを恐れ、躊躇っていると、他の誰かに好きな人を奪われてしまう恐れも出てきます。
そういった部分を踏まえると、恋という線もゼロとは言えなさそうです。
それに、「恋は私たちから全てを奪うのよ!」と葵が意味深な発言をしていたのが印象的。
人狼は恋を成就させるために紋章の効果を取り除く薬を奪い、奪われる側から奪う側になって生徒達を次々と蹴落としているのだとしたら。
こういったことを言うと、葵が人狼なんじゃないかと勘繰ってしまいそうですが、灯と紫音のやり取りを陰から見て、見ーちゃったと言ったりするのか疑問。
葵という線は薄そうです。
話し合いの中で灯と葵が真っ先に疑いがかかりそう。
自分の地位を保ちたいからという理由が浮かんだ理由は、生徒会役員の六寺井澄の存在です。
井澄は生徒会に入るため、教養科目と課外活動を頑張って苦手な体育をカバーしていました。
井澄以外にも、生徒会に入るための努力を相当してきた生徒も中にはいるのかなと。
その辺を踏まえると、会長や副会長になるため、自分のポジションを維持するために人狼になった線もゼロではなさそうです。
生徒会長になったら、学園が特別なサポートを受けられるとかあるのか気になるところ。
井澄だけでなく、生徒会長の二宮 翠や王子 錫にも疑いの目が向きそうです。
井澄の場合、灯とぶつかったのがわざとだったとしたらと感じなくも。
事故と装いつつ、灯と葵を追放できなくもない気がします。
もし、そうなった場合、井澄も責任を取って学園を追放されるのか疑問ですが。
最後に浮かんだ理由は、学園を混乱に陥れたいから。
生徒達が戸惑い、疑心暗鬼に陥る様子や追放されて絶望する様子を楽しむために紫音を陥れた可能性もゼロではななそうです。
日常がつまらなく、非日常を楽しみたい。
灯達にとって、厄介な考え方ではないかなと。
理由が何であれ、灯を怒らせたことは確かです。
最後に
『白き乙女の人狼』は人狼と寄宿生の女子校を題材に各キャラクターの魅力ややり取りを掘り下げた百合漫画。
甘く尊い感じや感情と感情がぶつかり合う瞬間、ピリッとひりつく感じのやり取りと光るところが多く、今後の展開が楽しみです。
百合を楽しみつつ、謎解きや考察するのか好きといった方は一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
物語のことをいろいろ考えるのが本当に楽しいです。
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