【感想・考察】『最果てのともだち』18話~仰げば尊し~

上を見上げたら、青い空が広がっていた―

『最果てのともだち』18話の感想を紹介します。


基本情報

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まんがタイムきららフォワード 2022年 11 月号 [雑誌]

タイトル『最果てのともだち』18話
サブタイトル旅立ちの日に
作者雪宮ありさ(@yukimiya_7sb)
掲載誌まんがタイムきららフォワード2022年11月号
出版社芳文社
発売日2022年9月24日
ISBN4910082711120
サイズB5

『最果てのともだち』18話の内容

『最果てのともだち』18話はアサヒ・キヨ・先生・ユウの卒業式。

キヨと先生との別れ。
中学生になったアサヒはユウと一緒に同じ道を歩いていく。

『最果てのともだち』18話の感想

キヨと先生とのお別れは辛いけど、できる限りのハッピーエンドだったなと感じた。
辛いこともたくさんあったけど、素敵な出会いやいろいろな経験を通して、アサヒは強くなったんだなと。

キヨと先生とのお別れは胸にしみるな…

だけど、希望に満ち溢れた卒業式が描かれていたと思う。
離れていても、きっと繋がっているんだろうなと。

『最果てのともだち』18話を読んでいて、ふと気になったことが何点かある。
今から、どこが気になったかについて触れていくので、気になる方は参考にしてください。

サブタイトルについて

『最果てのともだち』18話のサブタイトルにも用いられている「旅立ちの日に」。
卒業式に使われることが多い曲としても知られている。

卒業式を迎えたアサヒの旅立ちを彷彿させる。
キヨと先生が現世に別れを告げ、成仏する様子を表現しているのも印象的だ。
「旅立ちの日に」の歌詞もアサヒ達にふさわしい。

キヨの望み

キヨがもう少しだけ廃校で思い出を作った後、「小学校を卒業したい」と言っていたのが印象に残る。

「小学校を卒業したい」という吹き出しだけ強調することでキヨとの別れの時が近づいていると感じさせていたのかな。

最後の授業

アサヒ達の卒業に加え、先生が教え子達を送り出すのも見どころなのではないかなと。

先生は生前、教え子達を送り出していない。
だけど、最終話で先生ができなかったことを実現することができました。
成仏できず、現世に留まる理由を挙げるとしたら、最後まで授業を全うし、教え子を送り出せなかったことだろう。
キヨの心を癒すというのも理由のひとつだと思うけど…

教師でいられたのに加え、それらの心残りが無くなったからこそ、アサヒ・キヨ・ユウに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えたのだと解釈している。

最終話で描かれていた先生はとても綺麗だった。

アサヒ達が成長していく様子を間近で見ていて、単純に嬉しかったんだろうな。

先生の教師でいさせてくれてありがとうという言葉を見ると、教える側の人間と教わる側の人間がいないと授業は成立しないというのを実感する。
できる限りのことをアサヒ達に教えたのかなと思う。

アサヒとユウが廃校の黒板に書いた言葉は、アサヒ達の卒業制作といった感じがする。
これも授業の一環だ。

役目を終えた廃校

キヨと先生が清々しい笑顔で現世を去った後、寂しさが一気にこみ上げる。
卒業式当日って卒業する実感が沸かないなと感じた経験があった。
キヨと先生が光の向こうに行った時のアサヒときたら…

アサヒ達が卒業し、教えられる限りのことを教えた先生が去ったことで廃校の役目は終えた。
廃校がその後、どうなったかは描かれていなかったけど、恐らく取り壊されたのではないかと解釈している。
キヨがいなくなり、取り壊す者を阻む壁が無くなったし。

全国各地に廃墟や心霊スポットと呼ばれる場所が存在している。
中には、取り壊される廃墟も。
一例を挙げるとしたら、メディアにも取り上げられたこともある沖縄の中城高原ホテルとか。
時間の経過とともに数多くの廃墟が無くなっているんだろうなと。(事故の危険性もあるし…

アサヒとユウを除いて、廃校は忘れ去られていくんだろうなと感じた。
もし、取り壊されたとしたら、一体何が建っているんだろうか。
廃校が取り壊されていくのを見て、アサヒとユウは涙したのかなとか想像を膨らませていた自分がいる。
例え、無くなったとしてもアサヒとユウが廃校があったことを覚えていれば、キヨと再会できると信じたいな。

後、廃校だけでなく、ユウの霊感も無くなっているような気がした。
キヨと先生がいなくなり、持ち前の霊感を使う場面も無くなっているだろうし。
霊感が無くてもアサヒを守ることができる。

アサヒの髪型

中学生になったアサヒの髪型はキヨと先生を感じさせる。

髪をセットする度、キヨと先生を思い出しているんだろうな。

Twitter上に投稿された花束を持つアサヒとキヨ

Twitter上で読者にお別れするアサヒ達のイラストが投稿されていました。

https://twitter.com/yukimiya_7sb/status/1573507852849000449

アサヒとキヨが花束を持っていたのが印象的。
花束に使われていた花について少し考えることに。

アサヒの花束に使われていた花の花言葉は以下の通り。

  • ゼラニウム:真の友情・あなたがいて幸せ
  • ガーベラ:希望
  • カーネーション:感謝
  • フタリシズカ:いつまでも一緒に
  • シオン:追憶・君を忘れない

キヨやユウとの友情、ずっと一緒といった言葉が連想される。
希望の光に向かって前進するとか。
雪宮先生が今まで作品を読み続けた読者に対して感謝の気持ちを形に表していると感じなくもだな。
そう感じた理由が「あなたがいて幸せ」という花言葉を持つゼラニウムと「感謝」の花言葉を持つカーネーションが描かれていたからだ。
作品は作者とそれを楽しむ人がいて初めて成り立つもの。
そんな気持ちが読者にお別れするアサヒ達のイラストに込められているのかなと。

一方、キヨの花束に使われていた花の花言葉は以下の通り。

  • 白バラ:相思相愛
  • シロツメクサ:幸福
  • アングレカム:いつまでもあなたと一緒
  • ワスレナグサ:私を忘れないで

アサヒと一緒に過ごせたことが幸せだった・アサヒとキヨは互いを想い合っているというのを感じさせる。
それと同時にアサヒとキヨが活躍した『最果てのともだち』という作品をいつまでも忘れないで欲しいという雪宮先生の願いが込められているのではないかと解釈している。
『最果てのともだち』のことを忘れないでいたいなと感じた自分がここに。
キヨの持つ花束も読者に向けたメッセージといったところだろう。

1人でも覚えている人がいる限り、作品は生きている。
少なくとも自分はそう思っていますね。

最後に

『最果てのともだち』18話は小学校を卒業し、希望の光へ向かうアサヒ達が描かれていました。
今後、アサヒ達はどのような道を歩むのか。

どこか寂しく感じてしまう自分がここにいます。
素敵な百合漫画を生み出した雪宮先生とアサヒ達が活躍する場を設けた編集部の方達に心からのありがとうを送りたい。

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