『今日はカノジョがいないから』3巻の感想・考察を紹介します。
基本情報
タイトル | 『今日はカノジョがいないから』3巻 |
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作者 | 岩見樹代子(@okome103) |
掲載誌 | コミック百合姫(@yh_magazine) |
出版社 | 一迅社 |
収録話数 | 11~15話・あとがき |
主な内容 |
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発売日 | 2023年2月16日 |
ISBN-10 | 4758024995 |
ISBN-13 | 978-4758024990 |
サイズ | B6(1.5x12.8x18.2cm) |
『今日はカノジョがいないから』3巻の感想
表紙
浴室で七瀬に迫られ、悩まし気な表情を浮かべるゆに。
鏡には、風羽子に迫られているゆにの姿が映っていた…
どちらも背徳感溢れていて素晴らしい。
風羽子に迫られているゆには、七瀬と七瀬に迫られている自分自身を見ているのかな?
自分には、七瀬という大切な彼女がいるのにイケないことをしているという想いで頭の中を埋め尽くされているような印象を受ける。
七瀬に迫られているゆにの方も鏡の向こうから風羽子と風羽子に迫られている自分自身に見られていると感じていたのだろうか。
どちらにせよ、ゆにが浮気していることには変わりない。
七瀬を失いたくない。だけど、風羽子とも離れたくない。
ホント、ゆにって欲張りだなとしか言いようがないですね。
風羽子に迫られているゆにがより煽情的になっているのは距離が縮まっているせいなのだろうか。
七瀬という者がありながら、一体誰に連絡していたのやら。
裏に別に普通だよと書かれていたけど、ゆににとっては普通なのかもしれないけど、大衆はどう判断するのか。
作品のタイトルに偽りなしといった感じの表紙に仕上がっている。
対になっている表紙と言えば良いのか。
3巻の店舗特典も対になっていると感じさせるものばかりだ。
本編
ゆにのどうしようもなさ・風羽子のゆにを優しい毒で包み込むところ・七瀬の不信と絶望という谷底に突き落とされる瞬間を収録した1冊だと思う。
ゆにが風羽子と熱くて濃厚な夜を過ごした後、修羅場・修羅場・修羅場。
修羅場の連続が待ち受けていて、どの修羅場も一体どうなってしまうんだ?これ??と感じさせる。
前作の『ルミナス=ブルー』の時もそうだったけど、複雑な人間関係とそれに伴う繊細な心理描写が秀逸だなと実感する。
本当に好きな人に大切にされたいけど、思い通りにいかないという想い。
そんな想いを解消してくれるのはどうしようもないくらいに魅力的な風羽子。
最も、風羽子はどうして自分じゃなくて七瀬なんだという想いで一杯なんでしょうけど。
感情と感情のぶつかり合い、想いと想いが錯綜することで重厚な物語に昇華される。
物や背景、吹き出しを活かした演出も秀逸でキャラクターの魅力を一段と掘り下げているような感じがした。
岩見先生って本当に演出を考えるのが上手いなとしみじみ思う。
表情1つ取ってもいろいろ考えさせられる。
1話1話考えを張り巡らせていくのが本当に楽しい。
秘密が知られてはいけない人に知られる恐ろしさとそれに伴う修羅場は読み手の心をガッチリ掴み取る。
今までの日常が少しずつ崩壊し、修羅場が巻き起こり、新たな日常が作り直されるような印象を受けた。
ゆにの孤独・風羽子の孤独・七瀬の周りが見えていなくて知らず知らずのうちに孤独になっていたことで今のような状態になったのだと解釈している。
ゆに達を見ていると、人間って孤独だなと感じてしまう。
読み応え十分なので、まだ読んでいない方は是非是非手に取って欲しい。
カバー裏
カバー裏に描き下ろし漫画が。
大阪のホテルで風羽子が部屋を出るゆにを見て、行かないでと言えない自分に悲しい気持ちを抱く様子が描かれていた。
風羽子の本当の姿・気持ちを垣間見たような気がした。
本当は孤独でどうしようもないくらい寂しい。
ずっとずっと独りにしないでと言えなかったんだろうなと思う。
ゆにを挑発し、求めるようにしたのは独りにしないで欲しいという気持ちの表れなのかな。
優位に立っているように見えて、内心はギリギリの状態にいるとか。
カバー裏の描き下ろし漫画で見せた表情に近いのが14話で七瀬に見せた表情な気がする。
ゆにを見る度、自分だったら幸せにできるのに・何不自由させないのにと感じていたのかもしれない。
七瀬と付き合う前にゆにと接していたら、辛い想いをせずに済んだのか気になるところだ。
最も、どこの世界で生きていくにしろ、大変なのは変わりない気がしますが。
苦労や辛さの形が変わるだけで大なり小なり辛いなと感じる場面は出てくると思う。
隠された想い・表情を見て察するのって本当に難しいなと作品を読んでいて感じることだ。
大切だと感じている人の想いに気付けていないことは往々にしてあるような。
ゆには風羽子の全てに気付くことができるのだろうか。
全てを知って尚、風羽子と七瀬を自分のものにし続けるのか。
ちなみに、雪が加わることで退廃さがより増していくんじゃないかという想いが頭の片隅に…
帯
クズ百合とデカデカと書かれた帯。
ゆにや風羽子の行動が褒められるのかと聞かれたら…
どれだけ言葉を取り繕っても浮気であることに変わりない。
表紙に描かれているゆに達の様子や物語を端的に表現している帯だと思う。
他人だから、浮気を悪だと言うというのは的を得ているような感じがしなくもない。
ゆには浮気を悪いと思っていても、素直に認められないような印象を受けた。
だからこそ、七瀬と正面から向き合えないのかなと。
特典について思うこと
メロンブックスのアクリルフィギュア
メロンブックスの有償特典としてアクリルフィギュアが付いてきました。
プリンアラモードの上に乗ったバニー姿のゆにと風羽子が蠱惑的。
インパクト抜群なその姿に驚いた方もいるのではないでしょうか?
色とりどりのフルーツがゆにと風羽子をより魅力的なものにしているような。
各フルーツの花言葉は以下の通り。
果物 | 花言葉 |
---|---|
オレンジ | 花嫁の喜び・優しさ・美しさ・純粋 |
リンゴ | 選ばれた恋・優先・誘惑 |
さくらんぼ | あなたに真実の心を捧げる・小さな恋人・上品 |
ラズベリー | 愛情・嫉妬・深い後悔 |
ブラックベリー | 素朴な愛・あなたと共に・孤独・嫉妬心 |
クランベリー | 心を癒す・天真爛漫 |
いちご | あなたは私をを喜ばせる・尊重と愛情・幸福な家庭 |
キウイ | 豊富・生命力 |
メロン | 裕福・飽食・多産 |
花言葉を見ると、2人きりの状態がこれ以上ないくらい幸せだと感じさせます。
ゆにが真実の愛を風羽子に捧げ、風羽子はそれに喜びを感じると。
一方、風羽子もゆにという花嫁を喜ばせるといった感覚がですね。
14話で登場した物凄く高いジュースを思い出させます。
バニー服も大阪で見せた双子コーデを彷彿させるような。
ちなみに、パフェというスイーツは完璧なを意味するパーフェクトからその名が付けられたとか。
ゆにと風羽子の恋はパーフェクトといった印象も受けます。
大きさ比較として、『君と綴るうたかた』3巻の有償特典のアクリルフィギュアと並べてみることに。
『ロンリーガールに逆らえない』6巻の有償特典のアクリルフィギュアと並べてみるとこんな感じです。
最後は『今日はカノジョがいないから』2巻の有償特典のアクリルボード。
大きさをイメージできれば幸いです。
主要キャラのSNSアカウントをモチーフにした特典
メロンブックスの特典は4Pリーフレット。
浴室でのゆにと風羽子の蠱惑的な姿が描かれているのが特徴的です。
開いた時のインパクトは只々抜群。
ゆにと風羽子のSNSアカウントについても触れられています。
ゆにと風羽子の距離が確実に縮まっているのが分かります。
風羽子が撮った写真を見る限り、ゆには風羽子に自分の隙を見せられるようになったんだなと。
ちなみに、裏はこのようになっています。
ゲーマーズに付いてきたペーパーには、七瀬のSNSアカウントが。
部活での様子を写真を納めている間にゆにと風羽子が距離を縮めているんだろうなと思うとゾクゾクします。
色が付いている分、風羽子と過ごす時間が充実しているようにも見えなくもない。
最後に
七瀬や雪に浮気していることを知られてしまうゆにですが、この複雑な四角関係が一体どのような方向に向かうのか気になるところ。
1話1話、1シーン1シーンに重みがあり、読み手の心を掴んで離さないのかなと思います。
4巻以降も益々期待が高まります。
この重厚かつ甘い百合、自分は嫌いじゃない。
この記事へのコメント
shu
私見ですが、ゆにx七瀬の関係は例え風羽子の存在がなくても早晩破綻してたんじゃないでしょうか。だって七瀬の優先順位ってどこまでいっても バレー>>>>>ゆに ですもん。おそらく大学進学や実業団に入ったらもっと加速するでしょう。その度に裏垢につぶやいたり泣いたりストレス貯めるのはゆにが不憫すぎる...別に婚約や結婚してるわけじゃないし、風羽子に乗り換えて何か問題が?┐(´~`)┌
なのでアクスタや4Pリーフレットの図柄見るとほっとしますねー。早くゆにx風羽子でイチャコラしてほしいです。
そうなった時の七瀬の反応ですが、ストーカー化するとか最悪ナイフで、とかでしょうか。幸せの絶頂で風羽子がゆにを捨てるとかは絶対になしにして頂きたい!
この辺は岩見先生の変態度(褒め言葉です)が試されるところですね。
あと3人で幸せになりましたの展開もないんじゃないかな。「ルミナス=ブルー」のラストは尺の都合上無理矢理きれいにまとめたように感じました。
長々と失礼しました。
アンタレス
>shuさん
>
>はじめまして。ブログ興味深く拝見させて頂いています。
>
>私見ですが、ゆにx七瀬の関係は例え風羽子の存在がなくても早晩破綻してたんじゃないでしょうか。だって七瀬の優先順位ってどこまでいっても バレー>>>>>ゆに ですもん。おそらく大学進学や実業団に入ったらもっと加速するでしょう。その度に裏垢につぶやいたり泣いたりストレス貯めるのはゆにが不憫すぎる...別に婚約や結婚してるわけじゃないし、風羽子に乗り換えて何か問題が?┐(´~`)┌
>
>なのでアクスタや4Pリーフレットの図柄見るとほっとしますねー。早くゆにx風羽子でイチャコラしてほしいです。
>そうなった時の七瀬の反応ですが、ストーカー化するとか最悪ナイフで、とかでしょうか。幸せの絶頂で風羽子がゆにを捨てるとかは絶対になしにして頂きたい!
>この辺は岩見先生の変態度(褒め言葉です)が試されるところですね。
>
>あと3人で幸せになりましたの展開もないんじゃないかな。「ルミナス=ブルー」のラストは尺の都合上無理矢理きれいにまとめたように感じました。
>
>長々と失礼しました。
はじめまして。コメントありがとうございます。
ゆにと七瀬の関係は早晩破綻していた可能性も十分考えられると思います。
バレーに熱を入れれば入れる程、バレーに時間をかけることになるでしょうし。
ゆにが不憫なのは分かります。
『ルミナス=ブルー』の時もいろいろありましたね…
今後とも楽しんで頂けたら幸いです。