【ゆる感想】『夜のクラゲは泳げない』2話における花音・めい・OPについて思うこと


『夜のクラゲは泳げない』2話の内容

サブタイトル:メイの推しごと


めいがJELEEの作曲を担当することが決定した話。


『夜のクラゲは泳げない』2話の魅力
  • めいの花音に対する愛
  • 推しからのエールを力に変えるめいの演奏
  • まひるがJELEEちゃんが可愛い

『夜のクラゲは泳げない』2話の感想

めいの花音に対する愛が重過ぎる…


解釈違いって『魔法少女にあこがれて』のマジアベーゼかな???


花音のジャージの匂いをかぐめい、ヤバ過ぎるでしょ…推しに対する愛がいろいろな意味で溢れていたな…


かのんの制服姿にテンションを上げる花音もめいに対して何も言えない気が。


JELEEちゃんのイラストを描いたかのんに「愛してる!」と言って花音ハグしてたし…


花音とめいの推しに対する愛情あふるる回だったと思う。


ここから先は物語の内容をもう少し掘り下げていこうと思う。


高梨・キム・アヌーク・めい

『夜のクラゲは泳げない』2話における主人公は高梨・キム・アヌーク・めい。めいはサンフラワードールズのセンター・橘ののかとして活動していた花音のファンだった。



花音と出会う前のめいと花音と出会った後のめいについて掘り下げられていたのが印象に残る。


花音と出会う前のめいはピアノに行き詰っていたばかりか周囲からいじめを受けていた。家では「なぜ、できない?」と叱責する父親。学校では、自分の席を勝手に使うクラスメイト達。孤独なめいはやり場のない感情をピアノにぶつけていた。席を勝手に使われるばかりか名前までバカにされためいを見ていると、心が軋む。


居場所がなかっためいにとって、容姿やピアノを演奏しているめいを受け入れたののかは大きな存在だったのは間違いない。だからこそ、名前を変え、髪を染め、服装も大きく変わった花音はめいに大きな衝撃を与えたわけで。


めいのののかに対する愛情は計り知れないことは『夜のクラゲは泳げない』2話を見ていれば分かること。愛情が伝わる描写として、以下のものが挙げられる。


めいの推しに対する愛情が分かる描写
  • 10万円の寄付
  • ののかをイメージして黒く染められた髪
  • ののかがデザインしたバッグ
  • ののかとの2ショットチェキ
  • サンフラワードールズのCDを各5枚ずつ買ったというメイのセリフ
  • 大好きな音楽家の写真の隣に置かれたののかの写真
  • 部屋のあちこちに置かれたののかのグッズ
  • ペンライトを振りながらののかを応援するめい
  • 花音の前で情熱的に演奏するめい
  • ののかのために作られた曲

推しはファンに大きな力を与えるというのをめいを通じて、感じ取れるのではないだろうか。ののかと出会い、髪を黒く染めためいはクラスメイトに対して毅然とした態度で振る舞っていた。ののかという推しはめいにとって大きな原動力。髪を染め、プレミア価格のグッズを買う程までにめいはののかのことを好きになっていた。だからこそ、花音が起こした不祥事はめいに大きな衝撃を与えた。推しがいなくなっためいから絶望が伝わってくる。


そして、めいの目の前にいる過去を捨てた花音。大好きだったののかから遠い姿になった花音の行為はファンであるめいにとっては裏切り行為。「橘ののかはもういない」という花音の言葉はメイの心に大きなダメージを与えるのに十分過ぎた。嘘つきという言葉を花音にぶつけるのも無理はない。スマホに保存していためいとののかの2ショット写真を削除する程に。


かつて大好きだった存在が大きく変わることは大なり小なりの影響を与える。特に、それまで居場所がどこにもない日常を過ごし続けてきためいは尚更。冒頭で現在の花音を強く否定するめいは認めないという感情をまき散らしていた。


めいの解釈では、花音は煌びやかなステージの上で黒髪をなびかせ、橘ののかとして歌って踊り続けるアイドル。アルバイトをしながら、活動資金を作ろうとしている花音の姿も認めたくなかったようだ。花音が肌の露出が多い服装を着こなすのも、めいにとっては解釈違い。まるで、推しに説教するファンを彷彿させる。


アイドルとファン。イラストレーターとファン。声優とファン。Vtuberとファン。といった具合にファンの推しに対する愛情の深さや問題行動などについて考えさせられる場面を何度も目にする。枚挙に暇がないくらい。


推し活について、1人1人思うところがあるのではないだろうか。


自分の理想や解釈を花音に押し付けようとするめいは多くの方から見れば、まひると同じような反応を取ると思う。だけど、それと同じくらいめいに共感する方もいるのかもしれない。めいの花音に対する言動に同意するか否定するかは人それぞれ。


「何者かになりたい」という想いは時に目標を達成する際の力になる。だけど、その想いは誤った方向に向くこともある。まだまだ未熟な一面を持つまひる達が抱く「何者かになりたい」という想いは常に危険を隣り合わせなのだ。「何者かになりたい」という想いは承認欲求という言葉に置き換えることもできると思う。誰かに認められたいものの、認められない。それは時に人の心の根っこを傷つける。多くの人間が抱えている承認欲求。生きていく上で「何者かになりたい」という想いや承認欲求とどう向き合っていくかも重要になってきそうだ。

承認欲求を表現する方法はさまざま。イラスト・音楽・動画投稿・ストリーマー・ダンスなど枚挙に暇がない。時には、承認欲求の暴走により、悲劇的な結末が発生するようだ。それについては詳しく触れないでおくけど。

最も、姿は変わっても目の前でエールを送る花音はめいの推しであることに変わりなかった。JELEEの作曲を担当することになっても、めいと花音の関係はファンと推しといったところか。めいにとって、推しと友達になることは決してあり得ない。めいはスマホで花音達と一緒に写真を撮る際、少し離れていたし。ファンと推しの間には確かな距離がある。


だけど、ラストに見せたメイの表情には幸せで溢れていた。推しごとを再びできるようになった幸せを噛みしめているのだろう。

10万円の寄付

めいが寄付した10万円。まひると花音は素直に受け取るべきだったのかどうかと聞かれたら、答えはNOだ。


花音は絶対に10万円を受け取ってはいけなかった。受け取ってしまった場合、花音はめいの解釈という名の理想の下でアイドル活動を続けることになっていた可能性も十分ある。その辺を踏まえると、めいが寄付した10万円は想像以上に重い。


めいと別れた後にかっこ悪い姿を見せる花音が印象的だった…それ程までに花音はJELEEとして活動を続けていくために切羽詰まっているのがよく分かる。音楽活動を続けていく際、さまざまなお金が必要になる。アイドルとして活動していた花音はお金がないとどうしようもないというのを誰よりも理解していたわけで。そんな一面も花音の人間味を増していたように思う。


山ノ内 花音は橘ののかであり、橘ののかは山ノ内 花音だ。

ファンを大切にするとは一体どういうことか

ファンの推しに対する愛情と同様に大きくフィーチャーされていた要素がある。それはファンを大切にするとは一体どういうことかということだ。


花音はめいと再会し、ファンを大切にするとは一体どういうことなのかについて悩み続けたのだろう。今もなお橘ののかを愛し続けためいに花音は一体何ができるのか。その答えを見つけられなかったら、めいは再び孤独になり、クラスメイトからいじめられるばかりか両親に失望される毎日を送っていたに違いない。


推しがいるからこそ、めいは孤独を乗り越えられた。


『夜のクラゲは泳げない』2話はめいにとって運命の分かれ道といった印象を受ける。それはまひると花音にも同様のことが言えるけど。


ありのままのめいを認め、エールを送ることが花音の導き出した答え。ファンを大切にするとは一体何かの答えなのだ。髪を黒く染めためいを決して否定しなかった。めいが髪を黒く染めたことに花音が気付いたのは汚れためいの学生証を目にした時。まひるが食べ物をこぼすという偶然が無かったら、花音はめいとの初めての出会いを思い出すことは無かったのかもしれない。

サンフラワードールズ

花音が橘ののかとして在籍していたサンフラワードールズ。花音にスポットライトが大きく当たる時、サンフラワードールズに関する話が大きくクローズアップされるのだろう。花音が乗り越えなければならないもの。花音が学校にほとんど通っていないというセリフから察するに、花音の学校には、サンフラワードールズ内で起きた炎上騒動を知っている人間が多いのではないだろうか。だからこそ、花音は学校にほとんど通っていないわけで…


『夜のクラゲは泳げない』3話以降、花音はサンフラワードールズのセンターを務めるメロと一体何があったのかが物語における核の1つになってくるのだと解釈している。チェキ会でのめいと花音の会話からも、花音とメロの関係は良好ではなかったのを察することができる。

OP

OPを見る限り、まひる達は辛い過去と向き合い、それを乗り越えて現在を生きる様子を描くアニメといった印象。作中では、まだフィーチャーされていないけど、キウイも辛い過去を抱えているようだ。「このままで良いとは誰も思ってはいない」といった感じの歌詞がOPにあったし。このままで良いというのが分かっていないからこそ、まひる達は辛い現実の中でもがいていくと。


OPで鏡に映る花音がののかを見ている描写は過去と向き合うというのを連想させる。他にも、ベッドに座っている過去のキウイが現在のキウイを見つめる姿・ののかに出会う前のめいが現在のめいを近くで見守る姿・小学生のまひるが現在のまひるを見つめる姿と印象的な描写がいくつも登場する。


その辺りを含めると、『夜のクラゲは泳げない』において、まひる達の過去というのは欠かせないものだというのがOPでより強調されているのではないだろうか。


JELEEとしてリスタートしている花音だけど、有名になればなる程、過去の炎上騒動が浮上する。まひる達の中で重い過去を抱えているのは誰かと聞かれたら、間違いなく花音だろう。インターネットに過去の炎上騒動が残っていることを踏まえたら、元の動画を消したところで再びどこかでアップロードされる可能性がある。人によってはスクリーンショットを残しているかもしれない。花音がメロやサンフラワードールズ、橘ののかと一体どのように向き合い、どの様に乗り越えていくのかが気になる。


辛い過去に正面から向き合うことは胸が引き裂かれるくらい辛いことだ。だけど、辛い過去は決して消えることはない。逃げ続けることが悪いとは言わないけど、どう付き合っていくかでその後の人生が変わってきそうだ。


辛い過去や理想から逃げず、正面から向き合う力を与える推しやファンの存在というのは想像以上に大きいのだと思う。


まひるは花音という名のファンとキウイという名の親友に支えられているし、花音はまひるという名の推しとめいという名のファンに支えられている。めいもまた、花音とののかという名の推しに支えられている。キウイもまひるという名の親友と画面越しにいるファン達に支えられているのではないだろうか。


そんなことを考えたら、自分は好きな漫画家さん達の力になれているのかという葛藤を抱いてしまう。私もまた推しから力を頂いているし、孤独から逃れるために推しの配信や好きな作品について語り合っている場に現れる。


『夜のクラゲは泳げない』は想像以上に内容が深く、重いアニメだと実感する。表現の仕方に迷うけど、少しでもアニメを楽しむ際の参考になれば幸いだ。

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