樫風先生、ヲカエリナサイ
私はこの時をどれだけ待っていたか…そう、ずっと待っていた…
樫風先生が百合姫に帰ってくるのを!!!
『キミが吠えるための歌を、』1巻の感想について語っていくことに。
『キミが吠えるための歌を、』とは
『キミが吠えるための歌を、』は幼い見た目とハスキー声に悩む大神晴がボカロP・ユーリとして活動を続ける鳴宮優雨と出会い、プロになるためにユニットを組む青春音楽ストーリー。
メジャーデビューを夢見る歌が大好きな晴。だけど、ハスキー声をバカにされ、人前で声を出すのが怖くなっていた…晴に歌の才能を見出し、晴の想いを正面から受け止めた優雨は晴に手を伸ばす。
未来への虹を駆け上がる晴と優雨は魂の叫び(ソング)を響かせる!
推しポイントは以下の通り。
- 音楽が好きだけど大きな悩みを抱えた少女達による魂の叫び(ソング)
- メジャーデビューを目指していく中で確実に縮まる晴と優雨の距離
- 読み手を楽しませる豊かな感情表現の数々
- 晴と優雨が目指す頂の先に待っているであろう数々の山
『キミが吠えるための歌を、』1巻の感想
心の枷を引き千切り、全力で歌を響かせる晴をとにかく見てくれ!!
時にカッコよく!時にはセクシー!時に活き活きとしていて!
晴のパフォーマンス1つ1つにこだわりが詰まっている。
最初のステージを披露した晴は渇望しているような感じだったのに対し、歌がどうして好きなのか優雨に問われた際の晴はどこまでも広がる世界の主人公といった感じだった。
体を立体的に描くだけでなく、プロップ・背景を細かく描くことで晴と優雨の存在感が際立っていた。
晴と優雨によるステージをもっと見たいと思わせてくれる。
偶然から始まった晴と優雨の関係。メジャーデビューに向けて一歩ずつ前に進む度、晴と優雨の距離感が確実に縮まっていくところも良い!
優雨に不束者ですがと晴が言っていたけど、告白としか…
互いに弱いところを知り、それを受け止める晴と優雨の百合が尊い。高校3年間という限られた時間の中で全力で青春してる。
自らの悩みに葛藤する晴や優雨を見ていると、胸を締め付けられますね…
歌が好きなのに、全力で歌えないことは単純に辛いし。母親に見てもらえないことも辛い。
晴の歌が大好きな気持ちも優雨の母親の大好きな気持ちもしっかり伝わってくる。
大好きだからこそ、晴と優雨は音楽に全力を注げるんだろうな。
後、感情表現も豊かになって、キャラクターの想いがより分かりやすくなっていたと思う。
樫風先生は音楽が大好きだということがよく分かる百合漫画に仕上がっている。
『キミが吠えるための歌を、』1巻の特典
メロンブックス
メロンブックスで購入した際、リーフレットが付いてきた。リーフレットについて語りたいことがあるので、少し深掘りすることに。
内容
リーフレットの表紙は晴が優雨を追いかけている様子が描かれている。ポップな感じの晴と優雨が可愛い。晴が歌詞を書き温めているノートがモチーフなのかな。
リーフレットには、晴と優雨のプロフィールを収録!
晴と優雨の誕生日から趣向、バックボーンについて知ることができる。
『ロンリーガールに逆らえない』の場合、カバー裏にキャラクターのプロフィールが記載されてましたね。リーフレットでは、おまけ漫画を楽しめる。
『今日はカノジョがいないから』5巻のメロンブックス特典のリーフレットにも、キャラクターのプロフィールが記載されている。
プロフィールを知るメリット
晴と優雨のプロフィールを通し、物語をより楽しめるようになるのがメリット。
そして、晴と優雨の誕生日をお祝いできる!
『ロンリーガールに逆らえない』に登場する彩花と空の誕生日をお祝いしたことがある。
プロフィールはキャラクターに関するフレーバーテキストのようなものだ。カードゲームに造詣がある方に馴染みのある単語だと思うけど、雰囲気づくりに用いられるテキスト。
キャラクターの誕生日や趣向などを知ることにより、キャラクターに対するイメージが膨らむ。また、物語を伝えられるのもプロフィールのメリットだ。
プロフィールでキャラクターの個性を発信することで推しを見つけやすくなるし。『ラブライブ!』シリーズのような推しがいるかどうかが重要になってくる作品はプロフィールをある程度充実させているような気がする。
キャラクターの個性を出すためには、プロフィールと物語が大事だということが分かった。逆に物語の個性を出すためには、キャラクターが大事ということも。
アイコン
リーフレットの裏はこのようになっている。狼のアイコンは、晴と優雨のコンビを表すシンボルマークといったところか。
心の枷が外れた晴は狼のように激しい叫び(ソング)を響かせていた。
晴のアイコンは太陽なのに対し、優雨のアイコンは傘。太陽と雨を表している。
こういったアイコンもキャラクターのパーソナリティを表現する方法の1つ。チームの個性も表現できる。
『ラブライブ!』シリーズは各キャラクターにイメージカラーとアイコンが用意されていますね。
狼のアイコンを見ていると、『ラブライブ!スーパースター!!』のきな子ちゃんのアイコンを思い出したのはここだけの話。きな子ちゃんのアイコンはキツネだ。キツネなのはきな子ちゃんの好きな動物がキタキツネだからでしょう。
美雪やRURIKOは一体どのようなアイコンなのか気になるところ。早く、美雪とRURIKOのことを知りたい。
メロンブックス(有償特典)
メロンブックスの有償特典は晴と優雨のアクリルフィギュア。
晴が音楽の世界に来るよう手を差し伸べているみたい。晴の笑顔は優しくて良いですね。見ていて、心が温かくなる。
対する優雨は相棒のキーボードを抱えて、クールな雰囲気を醸し出している。優雨は本当にカッコいい…
キュート&クールな名コンビといったところだ。
『ロンリーガールに逆らえない』6巻をメロンブックスで購入した際に付いてきた有償特典のアクリルフィギュアと並べてみることに。
『キミが吠えるための歌を、』の場合、晴と優雨がくっついているのに対し、彩花と空は別々になっている。
『キミが吠えるための歌を、』1巻のアクリルフィギュアは晴と優雨の名前が書かれたアクリルスタンドがあるのに対し、『ロンリーガールに逆らえない』6巻のアクリルフィギュアは彩花と空に贈られたプレゼントのアクリルスタンドがある。
『ロンリーガールに逆らえない』6巻のアクリルフィギュアは横幅が広い。
こうして見ると、いろいろな違いがあるのを実感する。
メロンブックス(『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』との同時購入特典)
メロンブックスで『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』を同時購入すると、クリアファイルが付いてきた。
表面は晴と優雨の初ステージ。晴が心の枷を引き千切り、自らの想いを優雨に響かせていましたね。自分の声を出したいと感じる晴の表情がヤバい…
歌いたいと渇望している。そんな表情。
鎖と南京錠を握る晴のおててにこだわりが詰まっている。鎖と南京錠の質感を感じることができると思うんだ。おててにこだわる樫風先生ならではの演出といったところか。
晴の歌声に興奮を覚える優雨も描かれている。
描き文字も優雨の心情をしっかり表現されているのが特徴的。
裏はこのようになっている。
『ロンリーガールに逆らえない』に登場する彩花・空・和奏・結菜・穂波・千鶴が描かれている。全員可愛い…
『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』に収録されている『ロンリーガールに逆らえない more!』の表紙ですね。
樫風先生は作中にSDキャラを描くことがある。SDキャラは、キャラクターのリアクションや状況などをより分かりやすく伝えているのが特徴。
『キミが吠えるための歌を、』で晴が宇宙猫状態になったのを見て、表現の幅が『ロンリーガールに逆らえない』の頃に比べて広がったと思う。
穂波と千鶴のグッズは少なく、今回のクリアファイルはとても貴重ですね。リーフレットや推しちゃれのBIGフレームマグネットぐらいだ。
コミティアや推しちゃれを見ても、主に発売されるのは彩花・空・和奏・結菜のグッズ。彩花も空も和奏も好きだけど、穂波と千鶴のグッズが少ないのは寂しいなと思っていたのはここだけの話だ。穂波と千鶴も彩花と空の関係を発展させた立役者達だと私は感じている。
表面と裏面を並べてみると、こんな感じ。
2作の百合漫画を楽しめるグッズは正直嬉しい。
ちなみに、メロンブックスで『ロンリーガールに逆らえない』のクリアファイルがフェアや同時購入特典でもらえた時がありましたね。
アニメイト
アニメイトで購入した際、イラストカードが付いてきた。
1つのスタンドマイクをシェアしている晴と優雨。どんな歌をデュエットしているのか。
狼を思わせる晴の歯が印象的だ。優雨もクールな感じがする。
絆創膏を貼っているせいか、晴と優雨は負けず嫌いなのかなと感じさせる。悩みは抱えているけど、本当は認められたいという想いが晴と優雨の心に宿っているし。
晴が付けているヘアピンの色は赤と青。離れていても、優雨を感じられるようにしたいと思っているのかな?
髪飾りでキャラクターの個性を表現している。
晴は歌い手なのに対し、優雨は作曲担当。
ゲーマーズ
ゲーマーズでの購入特典は描き下ろしミニ色紙だ。
ピースサインをしている晴と優雨の2ショットが描かれている。晴の笑顔はとっても可愛いし、優雨はクールな感じがする。
喜久屋書店・COMICZIN・こみらの!参加店・WonderGOO
喜久屋書店・COMICZIN・こみらの!参加店・WonderGOOの特典は描き下ろしペーパー。COMICZINとWonderGOOはカードになっている。
ストリートファッションに身を包んだ晴と優雨の2ショットが特徴的だ。晴はカッコ可愛いし、優雨もとってもおしゃれ。お腹出てるし!
普段はキュートだけど、ステージに立つと観客の心をノックアウトさせるクールな狼に大変身!!
まんが王
まんが王では、描き下ろしイラストカードが付いてきた。
ケモっ子になった晴と優雨がかわゆい…
晴は狼の耳と尻尾なのに対し、優雨は猫耳。黒い尻尾もキュート。
晴と優雨は音楽を楽しんでいるのかな?
ディープピンクの背景がとってもおしゃれ。
まんが王(有償特典)
まんが王の有償特典はアクリルスタンド。
表紙に用いられていたイラストですね。ディープピンクの音波があしらわれているのが特徴的。作中でも音波の描写を何度か目にする。
晴と優雨が見つめ合っている感じが良い…
台の部分にプリズムが散りばめられている。作品タイトルの英語表記もある。
メロンブックスの有償特典と並べてみることに。
メロンブックスの有償特典は晴と優雨の全身が描かれている。まんが王の有償特典は1シーンをクローズアップさせた感じがより強くなる。
どちらもおしゃれで良いですね!
『キミが吠えるための歌を、』に関する深掘り
『キミが吠えるための歌を、』についてもう少し深掘りすることに。
音楽漫画の難しさについて考える
以前、樫風先生はゆあま先生の配信でアイドルを題材にした漫画を描きたいと言っていた。
『ロンリーガールに逆らえない』の推しちゃれの景品だった描き下ろしデザインのアクリルスタンドからその名残を感じさせる。
同人活動・YouTube上での配信・X(旧Twitter)における投稿・Pixvを見ると、樫風先生は『ラブライブ!』『ラブライブ!サンシャイン!!』『ラブライブ!スーパースター!!』『マクロスΔ』『学園アイドルマスター』『機動戦士ガンダムSEED』『推しの子』『ONE PIECE FILM RED』といった音楽を題材にした創作物に造詣があるのが分かる。また、ボーカロイド楽曲にも慣れ親しんでいた。
『機動戦士ガンダムSEED』『ONE PIECE FILM RED』を取り上げたのは歌姫が登場するため。
『hololive × HoneyWorks(ホロハニ)』の音楽プロジェクトにおいて、『シス×ラブ』のコンセプトアートも担当している。
『ロンリーガールに逆らえない』の連載終了後から約1年9ヵ月あまりの時を経て、『キミが吠えるための歌を、』が連載開始となった。
正直、『ロンリーガールに逆らえない』の連載終了から『キミが吠えるための歌を、』の連載開始まで長い時間をかけているなと感じたのは確か。ここは人によって考え方が異なるかもしれない。
そこで私は音楽漫画の難しさについて自分なりに考えることに。
難しい理由として、以下のようなものが思い浮かんだ。
難しい部分が他にもありそう…
アニメ・ゲームと異なる点は何と言っても、漫画だと聴覚に直接訴えることができない点が難しい部分ではないかと考えている。聴覚に訴えられない分、キャラクターのアクション・歌詞・ステージの描写・描き文字・エフェクト・観客のセリフ・プロップなどでステージ上に流れている音楽を想像させることになると思う。
音の役割として、以下のものが挙げられる。
歌うだけでなく、さまざまな動作が伴いますし。後はキャラクターの感情をどう見せるかとか。
銀テープや紙吹雪といった物でライブの始まりなどを表現できる。
その1コマを見れば、心と体が躍り出すかどうかは音楽漫画を読む上で重要視している部分。音楽って全身の感覚で感じるものだと思っている。
グルメ漫画だと、食欲をそそる1コマかどうかに重きを置いていますね。もっと言えば、よだれが出るかどうか。
後は何と言っても、μ's・Aqours・Liella!・ワルキューレ・VALSHE(バルシェ)さんなど、偉大な存在も音楽漫画の難しさを引き上げている要因ではないかと私は感じている。
偉大な先人達に負けないくらいの魅力を持つキャラクターを創造することは想像以上の労苦を要することになるのだろう。
多くの人の心を掴むキャラクターの偉大さ・存在感の大きさはμ'sなどに触れてきた樫風先生がよく知っているような気がする。
この辺は理屈だけじゃない部分がある。いろいろな紆余曲折を経て、晴と優雨に巡り会えたのだから、晴と優雨の活躍をしっかりと目に焼き付けておきたい。
樫風先生に影響を与えた存在
『キミが吠えるための歌を、』が誕生するきっかけとなった存在がいる。
それがにじさんじの倉持めると。
倉持めるとの配信がきっかけで『キミが吠えるための歌を、』を連載することができたとか。ちなみに、樫風先生はにじさんじの動画に携わっている。その他にも、にじそうさくでidiosの同人誌を発売していたことも。
倉持めるとがいなかったら、『キミが吠えるための歌を、』が世に出ていたかどうか気になるところだ。晴を見てると、倉持めるとが頭によぎることもある。
ちなみに、VALSHEさんのイラストを手掛けていた白皙先生が樫風先生の名前の由来だ。これに関しては知っている方も多いかもしれない。
樫風先生が百合を描くきっかけになったのが『ラブライブ!』『やがて君になる』など。
音楽漫画における生命線となるキャラクターの個性
音楽漫画において、キャラクターは生命線。
魅力的なキャラクターがステージで歌って踊っている様子は音楽漫画を支える核の1つだ。
バンドを題材とする漫画・アニメなどの場合、キャラクターが演奏する姿も含まれますが。
『キミが吠えるための歌を、』や『ラブライブ!』シリーズなどを見ていると、キャラクターの個性を際立たせているのがよく分かる。
『キミが吠えるための歌を、』の主要キャラクターである晴と優雨の個性について一度整理することに。
晴と優雨はそれぞれ違った個性があるのがよく分かる。そんな晴と優雨が出会い、力を合わせることにより、魅力的な瞬間がいくつも生み出されていく。
晴と優雨は天候に関する名前が付けられているのを見て、晴と優雨の百合は虹のようだと感じた。
虹は雨上がりの後にできる現象。太陽の光が空気中の水滴と出会った結果、虹が生まれる。
虹のような百合。良い響きだと思う。
晴と優雨は夢を果たし、本当の意味でNo rain, no rainbowな瞬間を迎えることができるのか。
キャラクターに個性を出すために、晴と優雨に物語が用意されている。
晴の場合、ハスキー声に関するエピソードとRURIKOとの出会い。
ハスキー声はかすれた声・しゃがれた声のことだ。歌が上手く聴こえたり、セクシーに聴こえることがあるとか。ハスキー声を出すアーティストとして、アイナ・ジ・エンドや徳永英明などが挙げられる。
1話と2話をかけて、晴がハスキー声によるコンプレックスを乗り越え、メジャーデビューに向けて一歩踏み出す様子が描かれているのが特徴的だ。
優雨はユーリの名でボカロPとして活動している一面を持つ。ここだけでも強い個性を出しているけど、美雪・母親に関するエピソードで優雨の個性をより強いものにしている。
晴れと雨。相反する要素があることでキャラクターの対比が行いやすくなっている。白と黒・光と闇・赤と青・正義と悪・天使と悪魔・人間と人狼・優等生と不良・姉と妹・相反する2つの人格といった具合に。
『ロンリーガールに逆らえない』も優等生と不登校児の相反する存在の物語が展開されている。
アジイチ先生の『できそこないの姫君たち』『白き乙女の人狼』も相反する色をキャラクターに取り入れ、キャラクターの個性をより強くしていたと思う。『できそこないの姫君たち』の場合、藤代七姫と黒川奏。『白き乙女の人狼』の場合、赤髪の五木灯と青髪の四谷葵。
多くの作品において、キャラクターにイメージカラーが用意されているなと実感する。
推しを魅力的に見せるためのステージ
『キミが吠えるための歌を、』の見どころの1つは晴のステージ。空気を切り裂くような晴の歌声と渾身のクローが印象的だ。
優雨によって、晴は覚醒し、ステージ上の主役に大変身していた。音楽漫画・アニメでは、キャラクターの変身・覚醒を垣間見ることができる。読み手・視聴者は日常と非日常の対比を視覚・聴覚で感じ取り、日常と非日常をより印象的なものに感じ取ることができるのではないだろうか。
普段、大人しいあの子がステージに立つと、華やかな姿になるとか。普段は地味だけど、喧嘩の時に無類の強さを発揮する前田敦子が活躍する『マジすか学園』。SEEDに覚醒し、愛機を自在に操る『機動戦士ガンダムSEED』のキラ・ヤマトといった具合にさまざまな作品で変身・覚醒の要素が取り入れられている。
変身・覚醒する前後のギャップが晴の魅力を数段アップさせる。
『キミが吠えるための歌を、』2話において、晴と優雨の初ステージに向けて、たくさんの下準備が用意されていたと思う。
挙げ出すとキリがない。物語開始から初ステージまでの過程をどのように描くかにより、ここぞという時の大一番の魅力が変わってきそうですね。
ハスキー声に悩まされていた晴が自らのコンプレックスを克服し、歌が大好きな気持ちを解き放った瞬間は何とも言えない迫力があった。
ステージを魅力的なものにするためには、十分な下準備とそれに伴う物語が必要だということを実感する。『となりの吸血鬼さん』や『刀使ノ巫女』『To Heart』などに携わっていた高橋龍也氏がアイドルに物語が必要なことをX上で言及していたし。アーティスト・アイドル・声優が日本武道館などでライブを開催する際、それまでの出来事に物語性を追い求める方が多いのではないだろうか。全国ツアーとか物語性を感じさせるし。
『ラブライブ!スーパースター!!』の劇中歌である「Tiny Stars」が披露された際、入念な下準備が用意されていた。
「Tiny Stars」が披露されるまでに十分な長さの物語が用意されていただけでなく、かのんちゃんと可可ちゃんがスクールアイドルを続けられるかどうかがかかっているステージという条件が「Tiny Stars」をより魅力的なものにしていたと思う。キャラクターのバックボーンを知るためのエピソード・本番に向けた猛特訓・立ちはだかる強敵・予想外のアクシデントとステージを盛り上げるための歯車がいくつも噛み合っている。
晴の場合、あこがれのユーリでもある優雨と偶然出会った結果、優雨と2人きりの状況なら歌えるようになった。まだ、大勢の人達の前で歌えるようになったわけではない可能性がある。晴が今後どのように克服し、その上で一体どのようなステージを披露するかが2巻以降の見どころになってくると思うんだ。
優雨が美雪・母親と対峙する際、一体どのような楽曲を繰り出すのか。そこに至るまで一体どのような課題・特訓・強敵・アクシデントなどがあるのか。そこに至るまでの物語を期待したいですね。
楽曲という名のキャラクター
音楽漫画・アニメにおいて、楽曲はキャラクターだと私は思っている。
優雨が生み出した楽曲の数々。晴のために作られた楽曲は晴のハスキー声に合わせて作られている。
キャラクターが魅力的でも肝心の楽曲がイマイチだと、ステージが魅力的に映らなくなる可能性も…
楽曲はキャラクターの個性を引き出しつつ、物語をより奥深いものにする役割を持つ。
『キミが吠えるための歌を、』1巻の段階では、晴は制服姿で歌っていたけど、晴が一体どのような衣装を着こなすかも楽しみですね。衣装もキャラクターと楽曲を彩る欠かせない要素だ。そう考えると、衣装も楽曲と同様にキャラクターの一種なのかもしれない。
音楽漫画は、キャラクター・楽曲・衣装・ステージ・物語などによる掛け算だと思うんだ。
多くの方が物語という名の時間が経過した先に待つステージは一体どのようなものなのか期待を膨らませるのではないだろうか。
キャラクターや物語が映える組み合わせが何通りもあることを考えたら、音楽漫画は夢がある。
『キミが吠えるための歌を、』における三角関係
『キミが吠えるための歌を、』1巻の表紙にも描かれている数々の三角形。
三角形は三角関係を連想させる。
『キミが吠えるための歌を、』における三角関係として、以下のものが挙げられる。
優雨をめぐって、晴と美雪が火花を散らす様子を個人的に見てみたい。
美雪は優雨と一緒に音楽活動を行うことを夢見ていると思うから。優雨の隣にいる晴を目にした美雪が一体どのような反応を示すのか。
一方、晴はRURIKOにあこがれている。優雨はRURIKOを目にした際、一体どのような反応を示すのか気になって仕方がないのだ。晴にとって一番の存在は自分ではないのかという想いが優雨の心に渦巻くのかどうか気になる。
三角関係は物語を豊かにしつつも、物語をより複雑なものにする。それに伴い、キャラクターの深みが増していく。キャラクターの葛藤や対立を感じやすくなる。
ましてや、優雨にとって、美雪は目標となる存在の1人。理由は優雨の母親は美雪の才能を見出し、美雪に対する教育に熱心だからだ。優雨は、母親に認めてもらうために美雪に負けないくらいの魅力があることを証明しようとする。
晴と優雨の脇を固めるキャラクター達は晴と優雨の魅力を引き出すだけでなく、晴と優雨の目標を示していることを実感した。また、強い個性を持っているのではないかという期待を抱かせる。美雪達が一体どのような活躍をするかも『君が吠えるための歌を、』における楽しみの1つ。早く、美雪とRURIKOが物語に本格的に関わって欲しい。
三角関係によって生み出される豊かな物語はまるで色とりどりの光を放つプリズムのようだ。『キミが吠えるための歌を、』1巻に描かれている三角形はプリズムを彷彿させる。
三角形のプリズムは1人1人の色や個性を映し出す!!
三角関係を描いた物語は多岐にわたる。『マクロスフロンティア』『マクロスΔ』『アクエリオンEVOL』など。『マクロス』シリーズに携わっている河森監督は三角関係を巧みに表現する印象が強い。『アクエリオンEVOL』に関しては四角関係ですが。
部屋という名の秘密基地
晴と優雨の部屋はまるで秘密基地のようだと感じた。
作中において、晴はクローゼットに段ボールを敷き詰めて作った秘密の収録部屋と言っていた。「私のお城」だと晴が念を押していたのも印象的。
晴がクローゼットに誰も入らないように念を押していたこと・秘密の収録部屋というセリフ・私のお城というセリフはクローゼットの存在感を引き立てている。心無い言葉から身を守るための殻の側面も併せ持っていそう。
誰も知らない空間でいくつもの歌ってみた動画が晴によって投稿されていることを考えると、晴だけの秘密基地だなと感じさせる。こういった空間は個人的に好き。『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場する後藤ひとりがギターヒーローとして動画投稿をしていたのを思い出しますね。
曲作りをしている晴はどこか楽しそうだ。夢見る晴は可愛いし。
子供の頃、押し入れにお気に入りの物を置いて、居心地の良い空間を作っていたことを思い出したのはここだけの話だ。クローゼットを開けると、秘密の空間が広がっているのって夢がある。『ドラえもん』でドラえもんが押入れで寝ていた様子を見て、押入れやクローゼットのような空間に秘密基地的なものを見出していた。
また、晴の部屋にRURIKOのポスターが貼ってある。ポスターからRURIKOが晴に強い影響を与えたことを察することができるのではないだろうか。
優雨の部屋は作曲するための環境が整えられていた。優雨は自分の部屋でいくつもの楽曲を世に送り出しているんだろうなと。個人的にカッコいい部屋だなと感じた。
後、優雨の部屋には、美雪の写真が飾られていたのもポイントだ。美雪の写真から優雨にとって美雪がかけがえのない存在だということを察することができる。優雨のパーソナリティーを語る上で美雪が欠かせない。優雨は美雪ならこう歌うかもしれないと思い、作曲を行っていた。美雪ではなく、晴のことを考えながら作曲するようになったのは優雨にとって大きな変化。
2つの部屋はスケールや置かれている物などが異なっているけど、どちらも夢があるなと感じたのは確かだ。自分だけの秘密基地って良いですねぇ。
少なくとも、部屋はキャラクターのパーソナリティを伝える方法の1つだと私は解釈している。
こだわりのおてて
作中における晴と優雨の手の描写もこだわりが詰まっている。晴と優雨の初ステージにおいて、晴が心の南京錠と鎖を引きちぎろうとする描写とかこだわりが詰まっていないですか?晴が体育の授業でペアを組む際、優雨が優しく引き寄せるシーンとかも良いですね。
晴が心臓の当たりに手を持っている時の描写が特に好き。想いをぶちまけたい!言いたいことが上手く言えない!といった感じがして。
樫風先生は『ロンリーガールに逆らえない』などにおいても、手の描写にこだわりを見せていた。実際、手に関する同人誌を過去に発売していたし。
手の描写には、さまざまな役割がある。
手の描写1つで数多くのものを表現できる。
『プレバト!!』に出演している野村重存先生は『プレバト!!』内で手の描写が難しいことを言及していた。難しい理由は以下の2つ。
手はいろいろな動きをする。指の曲げ伸ばしや指を開いたり閉じたりする動作など。手の関節が多いため、動作が複雑になる。関節の角度によっては、動作や場面に違和感が生じることも…
関節が多いということはその分、骨も多い。
樫風先生は手の描写を用いて、キャラクターの感情や場面転換などを伝えている。時には、ドキッとする瞬間も…
『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズのディレクターとして知られている桜井政博氏もYouTubeの動画内でキャラクターの動作について言及していた。
手の動きをより印象的なものにするためには、肩や肘、体幹など、全身の動きも重要になってきそう。
関節の位置によって、立体的に見える。『キミが吠えるための歌を、』2話で晴が本気で歌っていた時も立体的に映っていた。
以前、樫風先生が描いていた『ラブライブ!スーパースター!!』の千砂都ちゃんがブレイキンのフットワークを行う姿も立体的だった。手の動きだけでなく、首や体幹の動き、股関節や膝の角度、足首の位置、髪の毛の流れる方向、目線などで立体感が表現されていたと思う。手や足の位置からフットワークができるだけの空間があるなどの想像ができる。
フットワークを模倣した時は想像以上に痛かった思い出が…模倣したり、フィギュアを動かさないと分からないことがある。
握ったり、つまんだりする動作には、いくつものパターンが存在する。キャラクターの動作や場面を伝える際、握る動作をどのように描くかなどが重要になってきそうですね。
握る動作で物の質感なども感じられるし。
『キミが吠えるための歌を、』を読んでいて、描き文字やエフェクトで手の動きや力の入れ具合なども分かりやすく伝えていると感じた。
キャラクターの動作を表現する際、関節の動きや筋肉の役割だけでなく、肌の動きとかも意識することが大事だと思う。樫風先生が描いた手の描写を見ると、肌の動きも表現されていたのが印象的だった。関節をどのくらい動かすかで肌の見え方が変わってくる。手の描写って本当に奥が深いですね。
晴と優雨を支えるサブキャラクター
『キミが吠えるための歌を、』には、可愛いサブキャラクター達が登場する。それが晴と優雨のクラスメイトだ。1巻時点で名前が明らかになっている五十嵐さんはとってもキュートなギャル。個人的に『キミが吠えるための歌を、』を読む上でチェックしておきたいキャラクターだと思っている。樫風先生の描くギャルが可愛いんですよ。
漫画やアニメを楽しむ際、どんなサブキャラクターが出るかも楽しみの1つ。物語に彩りを与える。樫風先生の『ロンリーガールに逆らえない』しかり。スクールアイドルを支える女の子達が登場する『ラブライブ!』シリーズしかり。
『キミが吠えるための歌を、』は一体どのような漫画と捉えているか
『キミが吠えるための歌を、』はこのような百合漫画だと捉えている。
樫風先生の好きなものをたくさん詰め込んだ百合漫画。
百合・音楽・ボカロP・動画投稿・ピンク髪の女の子・黒髪ロングの女の子・おてて・狼・秘密基地(押入れ・楽曲を制作する部屋)といろいろなものが1つの物語に詰め込まれている。樫風先生の趣向や経験が反映された一作だ。
物語を追っていくと、YouTubeでの配信や百合ナビでのインタビュー内容などを想起することも。
ハスキー声に悩まされていた晴が優雨と出会い、本気で歌う姿を見ていると、『ロンリーガールに逆らえない』のDNAが息づいていると思う。『ロンリーガールに逆らえない』10話で本番になると緊張してしまう彩花が空の力を借り、体育祭の大一番で全速力で走り出していたし。
『キミが吠えるための歌を、』は樫風先生にしかできない百合漫画だと私は考えている。趣向ややりたいことがいっぱい詰め込まれた結晶のような漫画が私は好きですね。
『キミが吠えるための歌を、』1巻の帯
『キミが吠えるための歌を、』1巻の帯は優雨が晴の歌を好きだと言った時、晴の音楽が始まったことが表現されている。
帯に描かれている音波は晴の歌声なのかな。
どのような百合漫画なのか簡単な説明が記載されているのもポイントだ。
裏はこんな感じ。
優雨と2人なら、今まで抱えていた想いを歌声にできるという晴の想いが表現されている。
載っているコマは初ステージの描写ですね。
『キミが吠えるための歌を、』1巻の背表紙
『キミが吠えるための歌を、』1巻の巻数表記は円形イコライザーだ。イコライザーとは、特定の周波数の音の出力を調整する機器のこと。ノイズやハウリングを対策するために用いられる。ググると、円形イコライザーのイラストがいくつも出てくる。さながら、1巻の音を出しているといったところか。優雨は晴の声に合わせて、作曲を行う。
タイトルロゴは表紙と同様。晴の赤と優雨の青が取り入れられている。
晴と優雨の2ショットが描かれているのもポイントだ。表紙と同様のイラストですね。
一迅社のロゴが新しくなっている。
新しくなる前の表記はこちら。
『現実世界でも幸せにしてくださいね?』1巻・『無力聖女と無能王女~魔力ゼロで召喚された聖女の異世界救国記~』1巻も『キミが吠えるための歌を、』1巻と同様、新しい一迅社のロゴが印刷されている。
ロゴの変更は一迅社に限った話ではない。個人的には、角川スニーカー文庫の背表紙とか大幅に変わったと思う。後は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』とか。背表紙に描かれている電話が変更されている。単行本のデザインは漫画や出版社の歴史を感じることができる部分だ。単行本を購入する際は細かなところまで気づきたいところ。
背表紙関係で言えば、ゆあま先生の『君と綴るうたかた』6巻通常版の背表紙も中々ズルい。「愛してる」って…
背表紙から読者を泣かせますか???表紙や帯も物語やキャラクターを豊かにする余地がある。
『キミが吠えるための歌を、』1巻のカバー裏
『キミが吠えるための歌を、』1巻のカバー裏には、表紙のボツ案が掲載されている。一体どのように変化したのか気になる方は確かめてください!
また、樫風先生による『キミが吠えるための歌を、』の制作秘話が読める。『キミが吠えるための歌を、』をもっと楽しみたい方はぜひぜひ読むことをおすすめする。
『キミが吠えるための歌を、』1巻と同時発売された短編集
『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』とは
『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』は樫風先生が発表した読切漫画・『ロンリーガールに逆らえない』の同人誌原稿・『ロンリーガールに逆らえない』の描き下ろし短編を収録した短編集だ。
『ロンリーガールに逆らえない』の同人誌である『結局そんなきみが好き』や『marking』を買いそびれた方・アンソロジーやまんがタイムきららフォワードを持っていない方などにもってこいの1冊に仕上がっている。
さまざまな出版社を跨いでいるため、『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』はいわば『ラブライブ!』シリーズにおける伝伝伝のような1冊と言えるだろう。ちなみに、伝伝伝は古今東西素晴らしいアイドルを集めたDVDBOXとのことだ。
『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』の推しポイントは以下の通り。
『ロンリーガールに逆らえない』本編終了後におけるエピソードが数本収録されている。『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』で初公開されるエピソードも…!!
電子書籍でしか読めなかった百合漫画も楽しめるのもポイントだ!
前述でも触れたキャラクターの変身・覚醒は『知らない私も好きですか?』『レンズ越しに鬼はいない』で垣間見ることができる。お酒を飲んだ時と飲んでいない時のギャップを『たすけて!お酒初心者です!』『お酒の味より甘いもの』を楽しめるし。
収録されている百合漫画を全部楽しんでくれ!!
以下の作品が収録されている。
『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』の特典
『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』の特典は描き下ろしイラストカード。
彩花を空が温めている様子が描かれている。彩花は嬉しそうだし、空も彩花の温度を感じることができて幸せそうだ。
『ロンリーガールに逆らえない』6巻が重版された時、メロンブックスで『ロンリーガールに逆らえない』1~6巻を購入した際に付いてきたイラストカードが復刻された。赤い糸で彩花と空は結ばれている。彩花と空はもう二度と離れることはない。
『ロンリーガールに逆らえない』の復刻特典で思い出したこと
『ロンリーガールに逆らえない』の復刻特典で思い出しましたが、6巻通常版の発売を記念したイラストカードが最初に配布された時に『ロンリーガールに逆らえない』の推しちゃれ・『キミが吠えるための歌を、』の連載について発表された。
『ロンリーガールに逆らえない』のグッズの登場と『キミが吠えるための歌を、』の告知は正直、テンションが上がりましたね。
『キミが吠えるための歌を、』を読んだ後に『ロンリーガールに逆らえない』を
『キミが吠えるための歌を、』を読んだ後におすすめしたい百合漫画が前述で何度も取り上げている『ロンリーガールに逆らえない』だ。
文武両道の桜井彩花は本番の弱さが災いし、高校受験に失敗。結果、滑り止めの学校に通うことに。ある日、彩花は担任の江川先生と不登校の生徒を説得できたら、好きな進学先を推薦してもらう約束を交わすことになった。しかし、その秘密を説得相手である本田空に知られてしまう。
彩花は空の「お願い」を毎日1つ聞くことに。偶然から始まった秘密のラブコメディが幕を開ける!
『ロンリーガールに逆らえない』はX(旧Twitter)で投稿されていた『桜井さんと本田さん』をベースにした百合漫画。コミック百合姫での連載にあたり、大幅にブラッシュアップされているのがポイントだ。『ロンガル』の略称で親しまれている。6巻の重版時点で25万部を突破。2021年に百合ナビで開催された百合漫画大賞2021で1位を獲得している。
推しポイントとして、以下のものが頭に浮かぶ。
彩花と空の繊細な心理描写が丁寧に描かれているのに加え、空は一体どのような「お願い」をするのかドキドキワクワクさせる要素を兼ね備えている。話を重ねるごとに彩花と空は少しずつ変化していくところにも注目だ。見守りたくなる百合がそこにある。
『キミが吠えるための歌を、』『ロンリーガールに花束を 樫風短編集』と一緒に『ロンリーガールに逆らえない』も楽しもう!!
ちなみに、英語版・韓国語版・繁体字版・タイ語版がある。韓国の2022RIDIBOOKS COMIC AWARDにおいて、『ロンリーガールに逆らえない』はベストGL賞を受賞している。
スペインのPlaneta Cómicが『ロンリーガールに逆らえない』のライセンス許諾を発表。『ロンリーガールに逆らえない』の輪がさらに広がっていくのはワクワクしますね!
樫風先生のYouTube配信を見る限り、スペイン語圏の方も見かけたので、Planeta Cómicの発表を見て、大喜びした方も想像以上に多い気がする。
ちなみに、『ロンリーガールに逆らえない』1巻と同日に発売された百合姫コミックスは『セメルパルス』1巻・『ゆめぐりゆりめぐり』2巻・『モデルちゃんと地味マネさん』2巻。『ロンリーガールに逆らえない』の連載スタートした翌月に『セメルパルス』が連載開始された。『ロンリーガールに逆らえない』が連載開始前後は百合姫の中で大きな動きがあった時期なので、『ロンリーガールに逆らえない』は思い入れ深いですね。
最後に
音楽を通して、結束を強め、夢に向かって突き進む晴と優雨の百合を描いた『キミが吠えるための歌を、』。
互いに弱さを見せ、それを否定せずに正面から受け止める晴と優雨。メジャーデビューという名の夢に向かう晴と優雨は輝いて見える。青春しているのが伝わってくる。
こだわりの描写がたくさん詰まっている。
音楽というジャンルはキャラクター・楽曲・ステージ・衣装・企画・物語など、さまざまな要素があり、組み合わせや見せ方次第で魅力的なステージができあがると思う。大きな可能性を秘めたジャンルだというのが私の意見。
音楽は人に元気をくれる。だからこそ、心に響くようなステージを樫風先生がたくさん描くことに期待したい。
樫風先生が約2年温めてきた『キミが吠えるための歌を、』という原石を大事にしていきたいですね。
できれば、『キミが吠えるための歌を、』が好きな方やこれから『キミが吠えるための歌を、』を読む方と一緒に晴と優雨の物語を楽しんでいけたらなと願うばかり。
それでは、最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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