井澄が話し合いのカギだと感じた『白き乙女の人狼(ウェアウルフ)』26話の感想

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藍が人狼に狩られ、3回目の話し合いが幕を開けた。


現状、残っている生徒の人数・翠の主張などを加味すると、3回目の話し合いのカギは井澄が握っていそう。


灯・葵・さくらの3人。それに対し、翠・錫・橙子の3人が灯達と対立しているように見えた。


翠と橙子は少なくとも葵に疑惑の目を向けている。錫も翠と同じ考え方だろう。なぜなら、錫は翠とずっと同じ時間を過ごしてきたのだから。


灯達の人間関係を追っていくのも楽しいけど、話し合いにおける駆け引きや人狼は一体誰なのかを考えるのも楽しいなと感じる。


『白き乙女の人狼』は漫画とゲームを融合させた百合漫画という考えが強いですね。王月先生はゲーム会社に勤めているだけでなく、アジイチ先生もTRPGや麻雀に造詣がある。人狼HOUSEの代表であるクマ氏も協力している。王月先生が全体のシナリオを練り、アジイチ先生が漫画でシナリオの解像度を高めていく。


灯は葵を信じ切れるのかどうか・葵は一体何を語るのか・井澄はどちらのグループに力を貸すのか。読み手の関心を引く要素が1話の中に散りばめられている。ゲームをプレイしている感覚が強い。


葵と翠の対立・さくらの葵を守りたい想い・灯の中で芽生えた葵に対する葛藤に目が行きがちだけど、井澄の出番の少なさになぜか目が行ってしまう。


正直、そんなことになった自分が驚いている。


井澄が全体の様子を見ていることに徹しているからこそ、私は井澄に対して違和感を感じたのだろう。


井澄の判断1つで灯達のグループはもちろん、翠・錫・橙子の運命が決してしまうようで…


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1話で井澄が灯達とぶつかった際、灯と葵がキスをしていたら一体どうなっていただろうか。個人的には、粘膜同士が触れると、首に紋章が浮かび上がるのではないかと解釈している。井澄の行為がわざとだとしたら、


人狼ゲームは突き詰めれば、多数決ゲームの要素が強くなる。いかに味方を作り、いかに盤面をコントロールするか。4回目の話し合いが起きたとしても、盤面を上手くコントールすれば、人狼は退学に追い込みたい相手を次々と追放できるのではないだろうか。


翠の言うように葵が人狼だとした場合、3回目の話し合いで葵を退学に追い込まなければ、翠が人狼に勝つ可能性は限りなくゼロになってしまう。


ただ、翠が言っていることで違うなと思った部分がある。


それは葵が灯を守ったのは本心で守りたいと思ったから。葵は灯に恋をしているのが明確だ。1話の内容に加え、2巻に収録されている描き下ろしエピソードでも葵の灯に対する恋心について掘り下げられている。


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3回目の話し合いで葵が退学になってしまうと、葵は灯とずっと一緒に入れなくなる可能性が浮上する。だからこそ、3回目の話し合いで疑惑の目が向けられた葵は動揺を露わにしているのだ。


そして、葵が隠していたことは藍の部屋に行ったことだけではない。灯に恋をしていることも灯本人に隠していた。


灯が真実を知ることに対し、怖さを抱いていたのも印象的。葵は人狼かもしれないという想いが徐々に膨らんでいったのだろう。葵が明らかに不利な状況に立たされている分、灯は信じる選択を即決できなかった。


恋は灯達の運命を狂わせたと言っても過言ではない気がする。白蕾学園で3年間を過ごすためには、大切な人を信じ続けるだけでなく、自分を見失わないこと・自分自身を大切にすることが求められるのかもしれない。後は誰と一緒にいたいかも重要だと思う。特に、話し合いを勝ち抜けるためには。一緒にいたいと感じた相手と協力し、敵を追放する。


翠は恋に対して否定的だったけど、私は翠の考え方を否定したい。大切なのは、誰と一緒に同じ時を過ごしたいか・誰と一緒に何をしたいかが重要だということを。


3年間の中で大切な人を最後まで信じ続けられるかどうかが白蕾の花嫁になるために求められる要素だと私は考えている。


人狼ゲームに限らず、あらゆる場面において信頼が求められる。3回目の話し合いは灯にとって重要なターニングポイントになるのだろう。大切な人である葵を選ぶのか・翠の考えに負けてしまうのかの2択を灯は迫られている。葵を信じなかったら、灯はさくらから反感を買い、最悪の場合は孤立してしまう可能性も…


11話の時、灯は白蕾学園内で恋をすることに価値があるのかと藍に問いただした。藍は分からないままだと答えていた。


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私は恋をすることに価値があると答える。


紫音の恋は成就しなかったものの、灯との別れ際に晴れやかな表情を見せていた。紫音のその後は26話の時点では分からないけど、紫音は灯と出会って良かったと思える未来を謳歌していることを願いたい。


ユキとアキも白蕾学園を去った後、幸せそうな表情を見せていた。人狼によってユキとアキの運命は大きく狂わされることになったものの、アキがユキに恋をしていたことは決して間違ってはいない。


人狼を追放することは先送りになったけど、ユキがいなかったらアキは一体どのような未来を過ごしていただろうか。


翠は錫がどこの誰だか分からない人間と一緒になるのをただ指をくわえて見ているだけなのかと言いたくなる。


翠が白蕾学園に入学した理由も高校3年間という猶予期間を得るためだし。


葵は紫音に恋が全てを奪うと言っていたけど、恋は時に力を与える。事実、灯が退学するかどうかの瀬戸際の時、葵は灯を救うために力を与えた。


灯が葵を信じると即決できなかった事実は葵にとってショッキングな出来事だったに違いない。


25話のラストの際、自信満々に葵を信じると言っていたのに…


翠と葵のやり取りを見れば見る程、葵は人狼なのかという疑問が大きくなった。


もしかしたら、葵ではなく、井澄なのかなという想いが強くなった。1話で灯にぶつかりそうになったのもわざとだとしたら…柳にトドメを刺したのは井澄だったし。


3巻に載っていた井澄のプロフィールに興味深いことが。聞き上手な性格とあった。灯達の話をじっくり聞き、自分が生き残るための術を組み立てる頭脳が井澄にあるとしたら。


26話は井澄の存在がどうも浮いて見える話だと感じた。


参考資料

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【Webサイト】

白き乙女の人狼 ストーリアダッシュ

https://storia.takeshobo.co.jp/manga/werewolf/

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