お姫様になるのが怖い奏『できそこないの姫君たち』32話の感想

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『できそこないの姫君たち』32話の感想について語っていくことに。


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もくじ

内容


【32話の内容】
七姫が奏の一番そばにいたいことを知った奏が困惑する話。



【32話の見どころ】

  • 七姫が涙ながら奏に対する「好き」を告白するシーン
  • 七姫の告白に対する奏の返事
  • 七姫のキスを目にした美樹の反応

感想


【大まかな感想】
奏の返事、何それ…???いやいや、意味分かんない!分かんない!!奏が何言っているか分かんない!!!


最も、憧れのお姫様である七姫を最も近い場所で見続けることができ、最上級に幸せな状態が七姫の一言で崩壊したので、奏にとってはたまったものではないのは分からなくもないけどさぁ…ラストにおける奏の一言が七姫と読み手の心をグサッと刺していたと思うんだ。


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「好き」の違い

『でき姫』32話において、「好き」の違いについて描かれていた。七姫・奏・美樹・アキオの抱く「好き」が取り上げられていたのが印象的。それぞれが抱く「好き」として、以下のものが考えられた。


  • 七姫:恋愛感情
  • 奏:お姫様な七姫に対する憧れ・友情
  • 美樹:七姫に対する憧れ
  • アキオ:恋愛感情

七姫の抱く「好き」とアキオの抱く「好き」に奏が困惑していた。お姫様になりたくてもなれなかった奏。過去の出来事が災いし、奏は七姫の気持ちを正面から受け止めることができなかった。


一方、七姫はこれまでの出来事を通して、奏に対する「好き」が友情ではなく、恋愛感情から来るものだと自覚することができた。奏の一番そばにいたいと告白する七姫の表情を見ると、胸が締め付けられる…


『でき姫』32話の前半において、美樹が七姫と奏のやり取りを見てショックを受けるシーンも印象的でしたね。七姫の抱く「好き」が一体どのようなものなのか分かったのでしょう。最初から奏と勝負にならなかったという事実は美樹にとって辛すぎる。


奏に語りかける幼少期の奏

七姫に選ばれた奏。美樹でもなく、泉でもなく、奏だった。その事実は奏にとって受け入れがたいものだったのは奏のセリフや表情から察することができる。幼少期の奏は奏に対し、「お姫様に向いていない」と冷たく言い放っていた。それは同級生の美麗に言われた言葉。「お姫様に向いていない」という言葉は奏の心の中に深く根付いている。


現実の奏はお姫様に立候補していたのに対し、奏の心にいる幼少期の奏はお姫様に向いていないと後ろ向きなのは複雑…


奏の同級生はその出来事を忘れているかもしれないけど、奏はずっと覚えている。加害者側は他者を傷つけたことを忘れて伸び伸びと現在を生きているのに対し、被害者側はずっと覚えているといった事例は想像以上に多いのかもしれない。


傷つくことが怖いから、日常が崩壊するのが怖いから、奏は主役になろうとしなかった。七姫に告白され、恋人になった後に傷つくのが怖いんだ。七姫にふさわしくない気持ちというよりも自分が傷つくことが怖いという考えが強いのではないかという考えにたどり着く。


憧れの人をもっと近くで見られる尚且つ傷つくことのない友達というポジションは奏にとって居心地の良いものだったのでしょう。だけど、全ては奏の思い通りにいかなかった。


奏に必要なのは七姫から一歩引くことではなく、幼少期の頃のようにお姫様になりたいという前向きな想いだ。ずっとずっとお姫様になりたかった奏。七姫と対等になるということはお姫様になることを意味する。


幼少期の奏の理想なんて、七姫からしてみれば知ったことか・関係ないって気持ちでいっぱいなわけで。


人は誰だって主役になれる。なれない・向いていないって決めつけたら、終わり。


最後に

七姫の告白により、一番そばで七姫を見守り続ける奏のポジションが確実に崩れた『でき姫』32話。奏は七姫の告白を受け入れるか・拒むかどうかの選択を迫られたわけだけど、お姫様になる覚悟はまだできていなかった。過去のトラウマと自分自身の思い込みが邪魔をする。


奏が目にした幼少期の奏が冷たい表情から笑顔に変えられるのは奏自身ではないだろうか。


参考資料

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【書籍】

・『できそこないの姫君たち』6巻

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【Webサイト】

・できそこないの姫君たち ストーリアダッシュ - 竹書房

https://storia.takeshobo.co.jp/manga/himegimi/


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