『今日はカノジョがいないから』30話の基本情報
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『今日はカノジョがいないから』30話の内容
『今日はカノジョがいないから』30話の感想
サブタイトルの解説
『今日はカノジョがいないから』30話のサブタイトルは「風意」。
「風意」は、ゆにの風羽子に対する意識を表しているのだろう。
サブタイトルの基になった単語は「諷意」なのかなと。
意味は以下の通り。
*諷意
ほのめかした気持ち。
遠まわしに示す。
ゆにが七瀬ではなく、風羽子のことが好きだということをほのめかした話に仕上がっている。
遠まわしというよりはハッキリと描いているような気がしないでも…
風羽子に対する気持ちと同時に七瀬から心が離れていることについて遠まわしに描かれている。
お姫様抱っこの話題でゆにが全然嬉しくなさそうだったのも印象的だ。
クラスメイトからの指摘に焦るゆに
七瀬がクラスメイトからゆにのことが好きなのか指摘されるシーンで時が止まった。
ゆに本人は困惑していたけど、私も困惑した。
その話題に切り込むかと。
以前のゆになら、七瀬と付き合っていることを皆に伝えたいと感じていたはずなのに。
今回ばかりは様子が違う。
ゆにが自分から七瀬と付き合っていることを明かそうとしなかったのは驚き。
『今日はカノジョがいないから』をずっと読んでいる方の多くは、ゆにの変化を実感できるのではないだろうか。
ひょっとしたら、七瀬はゆにと付き合っていることを皆に明かしたかったのでは…
打ち上げを楽しめていないゆにの手を優しく握っていたし。
それ以前に風羽子と接する前のゆにだったら、七瀬と付き合っているのではないかという指摘に難なく対処できたと思う。
クラスメイトから指摘され、ゆにが戸惑うシーンを描いたページの枠外を黒くすることにより、ゆにの葛藤をよりダイレクトに描かれていたような。
ゆにの顔を流れる汗と七瀬に向けた目がゆにの焦りをより際立たせている。
目が泳いでいるというやつだ。
『今日はカノジョがいないから』29話において、お姫様抱っこされたゆにの顔にモザイクがかかっていたのは衝撃的だったな…
『今日はカノジョがいないから』30話では、クラスメイトに見るなと心の中で思っているゆにの表情をあえて描かないことで相当酷い顔をしていたのかなといった想像を掻き立てる。
ゆにを着飾る王冠と「プリンセス」と書かれたタスキが浮気を続けるゆにを滑稽なものにしている。
何の文句もなく、王冠と「本日の主役」と書かれたタスキを着飾る七瀬とはえらい違いだ。
1番の友達と答えた七瀬は不満げだったな…
ゆにと付き合っているとクラスメイトの前で告白すれば、ゆには風羽子と接触しにくくなるだろうし。
ゆにと七瀬が付き合っていることを知ったクラスメイトがゆにと風羽子と接触していることを目にすれば、七瀬はゆにの浮気をいち早く知ることができる。
風羽子が打ち上げ会場から出ていくのも分かる。
大人数の人間が嬉々とした目でゆにと七瀬に注目する構図はあまり気分の良いものではないような。
ゆにが打ち上げ会場を出ていったのは、雪が七瀬に話しかけてきたのも大きそうだ。
モブキャラの1人が雪をウザいと言っていたけど、分からなくもない。
冷めた目でゆにを見つめる風羽子
打ち上げでクラスメイトの注目を集めるゆにと七瀬を見つめる風羽子の冷めた表情が美しい…
七瀬がクラスメイトにゆにのことが好きなのか指摘された際、ゆには風羽子に見ないで欲しいと言っているような感じもした。
近くにいるにも関わらず、助けようとしなかったのは七瀬にお姫様抱っこされたお仕置きなのかなと。
打ち上げ自体が酷くつまらないものだったことも風羽子を不機嫌にさせた理由の1つ。
クズを見るような風羽子の目がたまらなくて良いんですよ…心を切られるような…
まつ毛の描き込み具合が凄く、目に奥行きを出している。
風羽子の体温に飢えているゆに
ゆにが風羽子の体温と七瀬の体温の違いを感じている様子も印象的。
風羽子の体温は少し冷たいのに対し、七瀬の体温は熱っぽい。
手の感触を1ページ丸々使って表現している点が『今日はカノジョがいないから』30話における特徴の1つだ。
これまでの出来事を思い出し、風羽子の体温をいとおしく感じるゆにが可愛すぎる…そしてクズ過ぎる…
ロマンチックなシーンを美しく描くところも『今日はカノジョがいないから』で好きな部分。
風羽子に甘えるゆにはまるで赤ちゃんのようだ。
上目遣いで風羽子を見つめるゆにが可愛い…
風羽子がゆにの首に手をかけているのも印象的だと思うんだけど。
風羽子が少し力を加えたら…
ゆにと風羽子のやり取りだけを見ていたら、純愛に見えなくもない。
聖母風羽子が我が子であるゆにに最大級の愛情を降り注ぐ。
安らぎを感じる者と安らぎを与える者という関係性をゆにと風羽子のやり取りから垣間見た。
心の鎧を脱ぎ捨てた風羽子が心の鎧を脱ぎ捨てたゆにを優しく包み込む姿を見た時、「美しい」という一言がまず出てくる。
目は口程に物を言う
「目は口程に物を言う」
いろいろなところで耳にする言葉ではないだろうか。
目の描写1つでさまざまな場面を感じ取ることができる。
『今日はカノジョがいないから』30話において、風羽子のメッセージを受け取った時のゆにの目が好き。
驚きと喜びが入り混じった表情を感じ取ることができるのが特徴的だ。
目を大きく見開くゆにの瞳とまつ毛が美しい。
まぶた・涙袋・まつ毛の伸び方・眉毛を丁寧に描くことにより、ゆにの目をより大きく、より魅力的に描かれていたと思う。
目に奥行きを出すだけではなく、立体感も表現されていた。
1つ1つの描写を細部まで描き込むところは岩見先生の凄い所の1つ。
目に光を上手く入れることにより、ゆにが喜んでいるということを感じやすくしているのかなと。
光を活かした描写も『今日はカノジョがいないから』の演出に深みを持たせている。
とんでもないラスト
ラストの描写は『今日はカノジョがいないから』30話の目玉となる部分だ。
ラストの描写と同じくらい目玉となる部分は前述でも触れたゆにが風羽子を求めているところ。
『今日はカノジョがいないから』30話のラストを見て感じたことは…
風羽子!誰なの!?その女は!!!
ゆにのママになるとか言っておいて、ゆにの知らない女と逢引きですか。ホントに…
ガッカリだよ!!!
ゆにという者がいながら、他の女と愛し合うというのか!?
風羽子、恥ずかしそうにしているし…一体何をされたんだ…
新たに登場したキャラクターは眼鏡美人の女性だった。
トキシックな感じを醸し出す耳のピアスと知的な雰囲気を感じさせる眼鏡がマッチしていた。
ゆにの心が風羽子に傾いている時にまさかの新キャラ登場とかヤバすぎるでしょ…
ゆにの怒りのボルテージがMAXになっているし。
キャラクターの相関図を載せることに。
情報量が多すぎる!31話で新キャラの詳細が明らかになることを考えたら、より一層複雑になりそうだな!!
風羽子の体温を求め、寒空の下にいるゆににとって、風羽子が謎の眼鏡美人の女性と一緒にいるという事実は裏切り行為も同然といったところか。
風羽子はゆにの恋人じゃないという点は謎の眼鏡美人の女性につけ込まれる部分だと思う。
「恋人じゃないなら、放っておけ」とか言うのかな?
場合によっては、ゆにが独りになりかねない。
四角関係が続くのかなと思わせてからの新キャラが電撃参戦というサプライズがシンプルに嬉しい。
大阪のエピソードの時、「女性と一緒に寝るのは初めてではないでしょ」というゆにの問いかけに対し、風羽子は否定しなかった。
最後に登場した謎のキャラクターはかつての風羽子が一緒に寝た相手なんじゃ???
打ち上げのやり取りが一瞬で霞んだ。
『ルミナス=ブルー』以降、物語の構成がより洗練されていると思う。
最後に
『今日はカノジョがいないから』30話はゆにの変化に加え、ラストにおけるサプライズが印象的な話だった。
まさかのサプライズにより、物語はさらに複雑になりそうと考えると、ゾクゾクしてしまう…
予想外の事態に直面したゆにが一体どのような選択をするのか。
モブキャラ・背景など、細部まで描き込まれているのは本当に凄い。
しかも、モブキャラ・背景などが物語・キャラクターの魅力を引き上げる。
話の引きも強く、次回以降も読みたいと感じさせる点は本当に良かった。
百合ナビの第6回百合漫画総選挙で13位にランクインしていたのもめでたい。
次回以降も爪痕を残せるのか気になるところ。
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