【感想】『ぜんぶ壊して地獄で愛して』19話の解体新書

『ぜんぶ壊して地獄で愛して』19話の感想を紹介します。

もくじ

『ぜんぶ壊して地獄で愛して』19話の基本情報

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【18話のおさらい】

自らを慰めていた来未くるみを目にしたこころ

心は来未に愛し合おうと提案する。

心の愛撫に来未は満足できずにいた。

そんな来未達の前に直井と工藤の姿が。


【19話の基本情報】
  • 作者:くわばらたもつ
  • サブタイトル:レンチキュラー
  • 掲載:コミック百合姫2025年4月号
  • 出版社:一迅社
  • 発売日:2025年2月18日
  • ISBN:4910137390454
  • 判型:B5

単行本のISBM
1巻:9784758025904
2巻:9784758026932
3巻:9784758027779

『ぜんぶ壊して地獄で愛して』19話の内容


【19話の内容】

心が来未のことを知りたいと感じる話。


直井と心を仲裁するも、倒される来未。

困惑する心は現実から逃避した。

心に寄り添う明音あかねと工藤。


来未のことを知るため、心は1つの選択をした。


【19話の見どころ】
  • 心に優しく寄り添う工藤
  • 来未のお世話をする優しい直井
  • 心の葛藤・生い立ちを掘り下げた話

『ぜんぶ壊して地獄で愛して』19話の感想


【大まかな感想】
やっぱ、来未と直井だなー!
来未の隣は直井しか!!!なんですよ。
心の席、ねぇから。
まだ、大好きな来未にしがみつくのか。
来未のことを傷つけるだけなのに。
心に寄り添う工藤にゾクッとした…
工藤、頭良すぎるわ。


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サブタイトルの解説

『ぜんこわ』19話のサブタイトルは「レンチキュラー」。

意味は以下の通り。


*レンチキュラー

見る角度により、見え方が変わること。奥行き・立体感を感じられる。


1つ例を出すことに。


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これは『学園アイドルマスター』のウエハースに付いてきた月村手毬つきむらてまりのカード。


こちらのカードは光る加工が施されている。

見る角度を変えてみることに。


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このように見る角度によって、見え方が変わる。

もっと言えば、裏返すと異なる絵柄が姿を見せる。


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作中では、人によって見え方が異なることが描かれていた。


具体的に言うと、来未・直井・工藤・心・明音が人からどう映っているかについて。


表向きは優等生だけど、追い詰められていた来未。

心から危ない人間扱いされている直井。

良かれと思った行動で人を追い詰める心。

直井同様、心から危ない人間扱いされている工藤。

心に苦手意識を与えている明音。


一見、優等生または問題児でも、見方によっては印象が全然違う。

多くの場合、凝り固まった見方・考えで物事を見てしまうのかもしれない。


客観的な評価を受けた心と明音がショックを隠すことができなかったのは印象的だ。


直井も心を客観的に評価し、苛立ちを隠さずにいられなかった。

心は友達という来未の言葉に疑問を浮かべていたのも印象に残る。


心の理解者

『ぜんこわ』19話における主役は心だ。

心の視点で物語が進行している。

心を客観的に評価する人間たちを描くことにより、心の心情・問題などを見ることができる。


心の理解者と呼べる人間が『ぜんこわ』19話で描かれていた。

理解者は以下の3人。


【心の理解者】

心は一体どのように映っているかについて知るため、1人1人見ていくことに。


心の母親

心の理解者、1人目は心の母親だ。

店の備品を勝手に持ち出したことを心に指摘していた。


普段なら絶対に行わない行動をしている心を心配していることが分かる。


極めつけは心が心の母親を突き飛ばしたことだ。

これまで、心は誰かに暴力を振るうことがなかったのだろう。


心の母親も戸惑いを隠すことができなかった。


普段とは違う行動をしていると指摘していたことから、心の母親は心のことをある程度理解していた。

来未に対して、恋愛感情を抱いていたのは分かっていなかったと思う。


心の母親は来未が起こした問題を知ったら、来未と心を引き離していた可能性が高い。


明音

心の理解者、2人目は明音だ。

仕事を卒なくこなしている心が問題を抱えていることを的確に指摘していた。


心のことを客観的に見ていただけではなく、来未のことを心より理解していたことも『ぜんこわ』19話を読めば分かるのではないだろうか。


明音の指摘。心にこうかばつぐんだ。

作中のセリフから明音が心をよく見ていたのが分かる。

心のこだわり・独占欲の強さを感じるシーンは多い。


【心のこだわりが分かる描写】
  • 来未との時間を邪魔されるのが嫌な点
  • 明音のいたずらに嫌悪感を示す点
  • 飼育小屋にいるウサギを触らせない点

描き下ろし漫画においても、心が来未に対して重い感情をぶつけていたのが印象に残る。


心は顔に表情が出やすい点を指摘されていたことを察するに、心は対人関係を築くのが苦手なのが分かる。

表情が出やすい点は相手に気持ちを伝えやすい反面、トラブルの原因にもなりやすい。


図工の作品を勝手にいじる…って…

明音、ダメだよ。こんなことしちゃダメだよ。


心が明音に対する苦手意識を抱いていたことを告白するシーンが面白い。

ハッキリ言われることが苦手という人は想像以上に多いと思う。


心のこだわりの強さは分からなくもない。

来未が心とのやり取りを忘れていたことに不満げな感じを出していたのもこだわりの強さの表れなのかなと。


私は覚えているのに、どうして来未は覚えていないんだ!という想いでいっぱいだったに違いない。


来未が明音に相談したのは、一歩引いた場所から周りを見ていると判断したからではないかと解釈している。

心は自分のことばっかりだし…


最も、明音の間違いは心の相談できる相手は明音だけしかいないと言ったこと。

心の相談を工藤も受け付けている。


工藤

工藤は心にとって1番の理解者。

心の母親も明音も目じゃない。

ハンパな奴は工藤にやられちゃいな!


「なんなのあの人」という心に答える。

心の1番の理解者だよ。


心を全否定せず、懐に入り込む。

見ていて、ゾッとする…

優しい言葉1つ1つが逆に怖い。


直井、よく工藤に引き込まれなかったな。

大抵の人間は工藤に運命を狂わされる。

来未一筋の心も隙を見せていたし。


心に近づいたのは優しさからではない。

目的を達成するため。

直井と一緒にいるために心を利用する。


工藤がいじめグループのリーダーだったのも納得だ。

頭の切れる一面と人心掌握術を持っている。


弱者に寄り添い、協力するメリットを提示する。


共通の目標を作ることも工藤のやり方。

直井が来未を介抱していた時、工藤は心をじっと見ていたし…


工藤の接し方を一度整理してみることに。


【工藤の接し方】
  1. 心に関心を持つ
  2. 心に共感する
  3. 心の考えを指摘する
  4. 心に提案をする
  5. 心に協力する理由を伝える
  6. 戸惑う心に大丈夫だと念を押す

心と協力関係を築くためにいくつもの段階を踏んでいる。

工藤がいかに恐ろしい人間なのか分かるのではないだろうか。


心の置かれている状況・痛みを自分のことのように受け止める。

共通の目標を持っているという考えを示し、提案する。


心の答えを引き出すために傾聴する姿勢を見せているのもポイント。

人の心を掴む方法を心得ている。

目標を達成するためなら、ありとあらゆるものを利用する。


直井に対しては、お金という名のニンジンを垂らしていた。

来未と一緒に暮らすためにバイトを探していることを目にし、被虐の快楽と引き換えにお金を渡すという契約を提示する。


さらにお金を出すという念を押すことで直井の心を揺さぶっていたのも印象的だった。


言葉のトーンも上手く使い分けていたのも工藤の恐ろしいところ。

時に優しく、時に恐ろしく。


的を得た言葉を発することにより、工藤の発する声の威力が増幅される。


実際、心があと一歩のところで引き込まれそうになっていた。

苦しみの原因・来未達の三角関係を見抜いたことからも工藤が客観的に物事を分析できる人間だということが分かる。


工藤が心に自分の首を掴ませ、大丈夫だと言ったシーンは見ていて、ゾッとする。

心に生々しい感覚を教えるなんて…


間違いなく、生々しい感覚と記憶が心にインプットされたと思う。

工藤の表情がくわしく描かれていない分、怖さが際立つ。

自分のペースに持っていき、悪魔の契約を結ばせるとは。


心を引き留めなかったのは、心が工藤と協力すると踏んだからだろう。

心を追えば、心が工藤を拒み、協力関係を築けない可能性がある。


同じ目線に立ちつつも、主導権を握る。

工藤は心が来るのを待ち続けるのか気になるところ。


来未の理解者

来未の理解者は直井。

少なくとも心ではない。

来未が心ではなく、明音に相談していたことを考えると、心は来未のことを全然理解していなかったことがよく分かる。


体調を崩した来未を直井が気遣う姿が尊い…


清々しい朝における来未と直井の時間は束の間のひと時といった印象を受ける。

直井はマジで優しい。


工藤のことが気に入らない来未が可愛いと思う。

お似合いのカップルかと言いたくなった。


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来未と直井のやり取りを見ていて、アイスを買ってきた自分がここにいる。


アイスを渡す直井がかっこいいし、それを嬉しそうにする来未が可愛い…


『ぜんこわ』19話における癒しだよ。

不穏な展開と安らぎのバランスが絶妙過ぎる。


直井が工藤のことを言及しなかったのは、来未を巻き込まないためだと感じた。


危険を冒したお金儲けをしている直井を来未が引き留めるのは目に見えているし。


最後の賭け

心がまさかの提案をするとは。

きっかけは明音なのだろう。

明音から来未がずっと思いつめていたことを知らされ、心はショックを隠すことができなかったし。


大好きな来未がいなくなりそうと言っていた心を見ると、精神的に参っているのがよく分かる。


心の大好きな来未なんて、最初からいなかったのに。

来未のことを知ろうとする心から決意の表れを感じることができる。


心に影を落とすことにより、迷いや覚悟を感じやすくなっている。

心が決断を下すまでの過程も丁度良く、バランスが良い。


ラストの描写から察するに、心はまだ淡い希望を抱いていそう。


心から見た来未はやけに美しいような。

自分の理想像を来未に押し付けていたということか。


最後に

心の視点で描かれた『ぜんこわ』19話。

心の葛藤・決断に加え、明音から見た来未・心についても触れられていた。


そして、工藤の恐ろしさも…

工藤はその時が来るまで待っているような。

見れば見る程、工藤の恐ろしさにゾッとする。


「アニメ化してほしいマンガランキング2025」にノミネートされたのに加え、百合ナビの第6回百合漫画総選挙においても上位に食い込んでいる。


ひと夏の恋を描いた『君と綴るうたかた』と根強い人気の『きたない君がいちばんかわいい』も「アニメ化してほしいマンガランキング2025」にノミネートされていたことを考えると、票が割れそうだ。


『ぜんこわ』の動向にも目が離せない。


参考資料

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【書籍】

・コミック百合姫2025年4月号

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『ぜんぶ壊して地獄で愛して』1話を試し読みできるWebサイト


・pixiv百合姫

https://comic.pixiv.net/works/9628?srsltid=AfmBOooF3H00yn2RohUtKltk9_-uIB9uaH4Q76Da4o-SRpac2OWkFtDB


・ニコニコ静画

https://manga.nicovideo.jp/comic/65189


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