『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』1巻の基本情報
【基本情報】
- 作者:五十嵐純
- 配信媒体:カドコミ
- 出版社:KADOKAWA
- 公開日:2025年2月7日
- ISBN:9784046845504
『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』は「エス」を題材とした百合漫画だ。
「エス」は戦前における女学生同士の親密な関係。sisterの頭文字から来ている。
作中で吉屋信子先生の『花物語』が物語に大きく関わってくる。かすみがお姉様とやり取りを行うきっかけになった本。だけど、『花物語』を読んでいなくても、十分楽しむことができる。
「エス」と聞くと、『紡ぐ乙女と大正の月』を思い出した。
『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』1巻の感想
ありかなしかで言ったら、あり。「かすみのお姉様は一体誰なんだろう?」「かすみとお姉さまの関係性は一体どうなっていくんだろうか?」といった興味をそそられる。
かすみ達の心理描写も丁寧に描かれているせいか、作品の世界観に没入することができた。
顔が見えないからこそのドキドキ感・1巻ラストのサプライズは個人的に刺さった部分。
『花物語』を読んでいると、もっと楽しめるのかなと感じなくもない。人によっては『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』を読んだ後、『花物語』を読む方もいるのかな?
『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』に関わる花
『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』に関わる花は以下の2つ。
- バラ
- スミレ
バラ
バラは作中で目にする機会が多い。かすみのお姉様が出した手紙・かすみのお姉様がプレゼントしたブローチといった具合に。
ちなみに、バラの花言葉は以下の通り。
- 愛
- 美
- 情熱
- 可愛い人
愛を伝える花といったところか。手紙・ブローチで愛を伝えるといった具合に。ブローチに関してはかすみのお姉様のメタファーといった印象を受ける。
また、バラの色・本数によっても花言葉が変わる。青いバラの場合、花言葉は「奇跡」とか。「可愛い人」も1巻の表紙に描かれているピンクのバラの花言葉だ。
キャラクターの名前はバラの品種にちなんでいることが作中で言及されていた。『金田一少年の事件簿』でもバラの品種にちなんだキャラクターが登場していたのに加え、物語を追っていく上で重要なカギとなっていたな。
桃香が自分の名前について言及していたけど、桃もバラ科の植物。他にも、桜や梅、イチゴもバラ科の植物だ。
スミレ
かすみのお姉様はかすみに対し、すみれと呼んでいた。作中では、スミレの花が描かれている。
スミレの花言葉は以下の通り。
- 誠実
- 謙虚
- 小さな幸せ
- 真実の愛
スミレは田畑の脇などに生える植物だ。かすみのお姉様は、厳しい環境下でも可憐で健気に咲く姿に元気をくれるとかすみに対して言っていた。お姉様のためにレターセットを贈るなど、かすみは健気な一面を見せていたのが印象的。
図書館での出会いはかすみ達にとって小さな幸せといっても過言ではない気が。
バラ同様、花の色によって花言葉が変わる。
最後に
『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』は『花物語』がきっかけで「エス」に魅せられた2人の少女のやり取りを描いた百合漫画。1巻では、想像力を膨らませる描写・ラストに用意されたサプライズ・かすみの葛藤など、見どころがいくつもある。
前から作品について走っていたけど、X上で行われているTwitterで百合読書という企画で発売当日に買っていなかったのに気づき、書店まで買いに走った。話を読み進めて見ると、夢中にさせる魅力があるなと私は感じた。
気になる方は一度手に取ってみてください。
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