4月にFebriで公開された岩見先生のインタビュー・一迅社プラスで公開された『ルミナス=ブルー』5話・ブログで『ルミナス=ブルー』の感想に関するコメントでとあることを思い出した。
それは『ルミナス=ブルー』2巻の感想を書いていなかったこと。
いろいろな出来事が重なり、『ルミナス=ブルー』の話を振り返りたいと感じるようになった。
『ルミナス=ブルー』2巻の感想に加え、作品の魅力・『今日はカノジョがいないから』との比較などについて語っていくことに。
『ルミナス=ブルー』2巻の基本情報・内容
タイトル | 『ルミナス=ブルー』2巻 |
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作者 | 岩見樹代子(@okome103) |
掲載誌 | コミック百合姫(@yh_magazine) |
出版社 | 一迅社 |
収録話数 | 6~9話・描き下ろし・あとがき |
発売日 | 2019年10月18日 |
ISBN-10 | 4758079862 |
ISBN-13 | 978-4758079860 |
サイズ | B6(12.8x1.5×18.2cm) |
『ルミナス=ブルー』2巻の感想
改めてじっくり読んでみると、各場面の見せ方・言葉選びのセンス・キャラクターの対立関係どれも最高だと思う。それ故に打ち切りは残念過ぎる…
打ち切られることなく、3巻・4巻と発売されていたら、『ルミナス=ブルー』は百合の入門・初心者向きの百合漫画と呼ばれる未来があったのだろうか。その世界線も見たかった。そのくらい、『ルミナス=ブルー』はよくできた百合漫画だと私は感じている。
特に印象的だった場面を1つ挙げるとするなら、このシーンが頭に浮かぶ。
寧々の雨音に対する感情があまりにも大きく、雨音の笑顔を独り占めするためにそんな言葉が出てくるのかよ…と言いたくなってしまう。見ていて、ゾクッとした。「ブスだったら良かったのに。」とか中々出てこない言葉でしょ。
美人な寧々にすごく汚い言葉を言わせるのがまた…綺麗な姿をしているからこそ、独り占めしたい気持ちが最高潮に達した時に出てきた言葉が破壊力を増していた。
『今日はカノジョがいないから』に比べ、場面を切り取って見せるという感覚が強い。誰かの目で撮ったベストショットを魅せるといった印象を受ける。1話における寧々と天音がアイスをシェアする姿を光が撮るシーンとか。
光と寧々がデートで雨音のバイト先に訪れるシーン・寧々が飼っている猫の小雨が光と寧々のやり取りを見るシーンとかも。
Febriに掲載されていた記事にあった通り、線の太さも違う。
『今日はカノジョがいないから』6巻と『ルミナス=ブルー』2巻を並べてみると、雰囲気の違いを感じることができる。『ルミナス=ブルー』は水彩画チックな面も。この辺は好みによって、どっちが良いかが変わってくる。
『ルミナス=ブルー』2巻を読んでいて思うことは見る・見られるの対比が秀逸だということだ。デートを楽しむ光と寧々を見る雨音・雨音に見られる光と寧々。寧々を見る光・光に見られる寧々。光と寧々を見る小雨・小雨に見られる光と寧々。
個人的に印象に残った寧々が雨音に対し、「ブスだったら良かったのに。」と感じるシーンも異なるものの対比が秀逸だった。雑誌に載っている笑顔を見せない寧々を見る雨音・雨音に見られる笑顔を見せない寧々。うちほが撮った笑顔の雨音を見る寧々・寧々に見られる笑顔の雨音。
笑顔と無表情・寧々と雨音の対比を1つの場面に上手く落とし込んでいる。それが寧々の葛藤をより魅力的なものにしていると思う。
光・寧々・雨音・うちほの四角関係は『今日はカノジョがいないから』に通ずるものがある。心の弱さ・どうしようもない一面・好きな人を独り占めしたい気持ちなどの描き方とか。雨音に対して大きな感情を抱くうちほが発する「不純」という一言も重みがあったな…
各描写からカメラ・写真が好きなのが伝わってくるのも良い。
語れば語る程、打ち切りで終わるのがもったいない・ハードラックすぎるという言葉が出てきてしまう。
5話が未収録なのも複雑だな。5話が収録されていたら、描き下ろしエピソードを収録する余裕があったのか疑問ですが。
光を登場させたのも大正解だと思う。光が最初に撮った寧々と雨音の2ショットが誕生していなかっただろうし。いろいろな写真が登場していたけど、やっぱりアイスをシェアする寧々と雨音なんですよ。
光がいなかったら、写真が題材から遠のきそうな気も。
最後に
『ルミナス=ブルー』はカメラという題材に加え、見る・見られるの対比と光達の四角関係の見せ方が秀逸な百合漫画。『ルミナス=ブルー』のDNAは『今日はカノジョがいないから』にしっかり受け継がれている。
読んでいて、『ルミナス=ブルー』が打ち切りの危機にあった時を思い出したな。百合展でサイン本を購入する権利に落選して凹んでいた時にさらなる追い打ちに。岩見先生が声を出した後、結野ちり先生とゆあま先生が百合姫で連載していた百合漫画が打ち切りの危機にあることを声に出したりといろいろあった。
岩見先生が『ルミナス=ブルー』が打ち切りの危機にあることを発したことがきっかけでゆあま先生の百合漫画を追うようになったりと、岩見先生と『ルミナス=ブルー』の影響は思っている以上に大きい。実際、ゆあま先生のYouTube配信を視聴したり、ゆあま先生のファンの方達とやり取りする時もあるし。
『ルミナス=ブルー』で知った方よりも『今日はカノジョがいないから』関係で知った方が多い。SNS上での岩見先生と『ルミナス=ブルー』の担当だったてふ氏のやり取りも印象的だったし。
KADOKAWAで活躍しているちり先生とも長い付き合い。
岩見先生達が声を上げたからこそ、気になった作品を1話からしっかり追っていこうという想いが強くなったし、百合姫と長く付き合っていこうと思うようになった。
百合を追っていく上で岩見先生による影響は本当に大きすぎる。
『今日はカノジョがいないから』・Febriに掲載された岩見先生のインタビューがきっかけで『ルミナス=ブルー』が再評価される機会が増えていって欲しいと願うばかり。
今読んでも『今日はカノジョがいないから』と負けず劣らずのクオリティだと思うし、百合ナビの百合漫画総選挙の上位にランクインしている百合漫画とも戦えるだけの魅力を兼ね備えている。
最高の瞬間を美しく魅せるという点は本当に素晴らしい。そう言いたくなる百合漫画だ。
岩見先生が『ときメモ』が好きなことをインタビューで話していたけど、私は『ときメモ』だと茜推し。
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