【感想】『ぜんぶ壊して地獄で愛して』4巻~来未の選択・心の選択・工藤の選択~

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来未と直井の距離が良い感じになってるなぁと感じた。直井が来未のためにアイスを買ってくるシーンは個人的に好き。描き下ろしエピソードでも来未と直井のやり取りから安らぎみたいなものを感じさせる。来未と直井は本当に楽しそうだった。


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メロンブックスでの購入特典であるリーフレットには、来未の卒業アルバムに関するエピソードが収録されている。こちらのエピソードにおいても、来未と直井はどこか楽しそうな時間を過ごしているような気が。


直井が来未に卒業アルバムを見せなかったのは、小学校時代・中学校時代ともに楽しい日々を過ごすことができなかったからではないだろうか。卒業アルバムを見るたび、嫌な日々を思い出すと。恭華と過ごした日々とか。


来未が直井のことを想像しながら自分自身を慰めたことが直井と心のどちらが来未に微笑んだかが明確になった。


動物園のエピソードもそうだけど、カバー裏のお笑いを題材にした描き下ろし漫画においても来未と心の価値観がまるで違うのが分かるのではないだろうか。もっと端的に言えば、心は来未にとってつまらない人間。刺激が足りないのだ。


明音との会話においても、心はこだわりが強すぎる人間だということがよく分かる。そのこだわりの強さが周囲の人間との間で溝を生じさせる。こだわりを持つことは大事だけど、強すぎると対立を生む。


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17話の扉絵は心のこだわり・独占欲の強さの権化といった感じがする。過去に描かれていたアイドルオタクになった心とかが凄くマッチしていたな。


心の来未に対する想いは恭華につけ込まれそう。心と恭華の利害関係は一致してそうだし。


3巻から登場した恭華について思うことが。


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恭華は来未同様、周囲の人間によって追い詰められた人間だというのがよく分かった。カンニングしただけでとか言っていたけど、その辺が来未との決定的な違いだと思う。カンニングとは、不正行為の1つ。ズルいという意味がある。


カンニング1つで学校の成績・内申点が大きく変わる可能性があるだけではなく、高校ないし大学受験の結果・国家試験の結果などにも影響を与える。そういった部分も分かっていない恭華はカンニングに対する意識が軽すぎる。


来未との違いは過ちを犯す前にブレーキをかけられたかどうか。直井と一緒にホテルの鏡を楽しそうに破壊した来未だけど、1話の時にブレーキを掛けられるだけの良心が残っていた。それが来未と恭華との決定的な違いではないだろうか。後は思い上がりが過ぎるところも。


クラスメイトにハワイのチョコレートをあげていたのは見栄から来ているのかな。恭華がカンニングで成績上位を取れば、周囲の人間から注目される気が。そうすることにより、恭華は孤独にならずに済む。よほど、仲の良い人間ならまだしも、見るからにそうでもなさそうな人間に中々買えないチョコレートをあげるだなんて。


来未や直井の家庭環境も悲惨だったけど、恭華の家庭環境も想像以上に悲惨な気が。表面上は綺麗でも恭華の人格を歪ませている点で…


恭華が小学校時代にいじめを行っていたのも何となくわかる気がした。母親に大事にされなかったこと・兄や姉の存在の大きさ・父親とコミュニケーションを取る機会が極端に少ない事実が恭華を追い詰める。


恭華に集まっていた人間はいじめから逃れるため・仲良くしていたら得だからといった理由で近づいていたような気も。どこまで行っても独りぼっちなのを考えると、恭華は哀れだ。


姉妹間・兄弟間における扱いの違いはかなり辛いものがある。ましてや、精神的に未熟だった恭華にとっては尚更。クラスメイトたちも見返り目的で集まっているのが分かっていたからこそ、恭華は誰も信じられなくなり、直井の言動に勘違いしてしまった気が。


好きな人に愛されない辛さなどが分かるからこそ、恭華は心に対して的確な言葉を投げかけたり、全体を俯瞰して見れたりするのだろう。愛に飢えているから、転校するだけの実行力もある。


来未と直井のクラスメイトになった工藤恭華。手ごわそうです。


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