給湯器の故障は蓮にとって最大の誤算だった。蓮は銭湯・温泉が本当に大嫌いなんだろうな…
冒頭から乗り気じゃなかったし。1話を思い出させる。蓮とまつりのテンションが真反対。周りの人間の多くが傷つけるつもりじゃないのに蓮を傷つけてしまう。蓮を最も傷つけたのがまつりだなんて…
あまりにも辛すぎる。分厚い服を着こなし、前かがみになっていたのは周囲の視線から逃れるため。
蓮は自分自身を情けないと言っていたけど、そんなことはない。そんなことは。銭湯におけるまつりの行為は私も嫌だと感じてしまう。
以前、歯が欠けた時に家族から口の中を見せるよう言われた時、すごく嫌がった。修学旅行の時、民宿でお風呂に入っていたら同級生に覗き見られて嫌な気持ちでいっぱいになった。比べられるものではないけど、蓮のことをあれこれ言っていた他の入浴者たちの言葉・まつりの言葉は見ていて辛くなった。
決してまつりが嫌いだとかそういう話ではない。蓮のことを完全に理解できているわけではないけど、蓮に放たれた痛い言葉1つ1つが辛くなる。気にしていることを言われるのに加え、まつりにキツく当たって、自己嫌悪に陥ると。
私は蓮が情けなくなんてないと声を大にして言いたい。
まつり達の言葉は辛いけど、もっと辛いと感じるのは蓮が自分自身のことを心から好きになれていないこと。鏡に映る自分の姿を見て、にらみつけるって何…
鏡と砂時計の描写で蓮が自分自身のことを好きになれていないことを生々しく表現していたと思う。砂時計の描写はシャワーヘッドから滴り落ちる水滴のような感じも。蓮の涙を彷彿させる。
冷たく、狭いインターネットカフェのシャワールームが蓮の避難所。シンプルに辛すぎる。私は温泉とかがすごく嫌いなわけじゃないけど、インターネットカフェのシャワールームのような誰にも見られていない場所に安心感を覚えることがある。
インターネットカフェのような場所は束の間の休息が得られる反面、孤独を強く感じる場合も。便利だから行くけど。
街の電飾は蓮の逃げ道を奪っているような感じがして辛い。
蓮が抱えている辛さは蓮本人じゃないと根本的に解決しないような。まつりは反省して、支えになれるけど、根本的な部分はやっぱり…上手いこと言えない。
16話以降で自分自身のことをもう少しだけ好きになれた蓮が見られるのかなとか感じた。
本人は傷つけるつもりはないのに、他人を傷つけてしまう面はサクタロー先生が携わった『君と綴るうたかた』を思い出すな。
だけど、『あさぎ色のサウダージ』と『君と綴るうたかた』はベクトルが全然違う。共通している部分があるとするなら、物語や愛すべき人達を好きな人がいる点。
『あさぎ色のサウダージ』が好きな方なら、『君と綴るうたかた』の物語を難なく読み進められる。逆もまた然り。繊細な心理描写・感情表現を大きく描いた話を楽しみたい場合、『BanG Dream! It's MyGO!!!!! 雨にそよいで晴れを請う』も刺さる気がする。漫画担当がゆあま先生じゃないかと言いたくなる方が多いかもしれないけど。
サクタロー先生、人を描くこと・生きることを表現するのにこだわっている印象が強い。どの作品も人生を主眼に置いているのが特徴的だった。
『あさぎ色のサウダージ』。ここに来て、ドえらい話持ってくるわ。
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