『ダメ犬彼女』1話の感想を紹介することに。
『ダメ犬彼女』1話の基本情報・内容
高校デビューを機に、垢抜けた倉持櫻子。ある日、櫻子を残酷な形で振った天野夕陽と再会することに。なぜか、櫻子にひとめぼれする夕陽。怒りが頂点に達する櫻子の心にとある想いが…
強い復讐心を抱く櫻子による夕陽の調教のはじまりはじまり。
『ダメ犬彼女』の作者はコミック百合姫で『ぜんぶ壊して地獄で愛して』を連載しているくわばらたもつ先生だ。KADOKAWAの百合アンソロジーに何度か参加している。
『ダメ犬彼女』1話の感想
『ダメ犬彼女』。個人的には、『ぜんぶ壊して地獄で愛して』と通底するものがあると感じた。主人公の櫻子のバックボーンをある程度取り上げることにより、『ぜんぶ壊して地獄で愛して』に比べ、フラットな感じで読めるようになっていたと思う。
あんまり言ってはいけない表現だと思うけど、夕陽って『ぜんぶ壊して地獄で愛して』の工藤恭華みたいなキャラクターだな!!
まったく一緒というわけではないけど、初見の時に夕陽は工藤恭華っぽさがあるなぁと感じたのは確か。自分の快楽を満たすために次々とパートナーを見つけていく夕陽は、ダメ犬彼女過ぎる。
櫻子が夕陽を飼い慣らすというよりも、夕陽が櫻子を飼い慣らしているような。まるで、櫻子が夕陽好みのご主人様になるよう調教されているような感覚を覚えた。櫻子が夕陽を飼い慣らす要素もゾクッとしたけど、発想を逆転させると、もっとゾクゾクした。
冒頭における櫻子の表情は、夕陽好みのご主人様に作り変えられている段階を描いているように思えてならないのだ。
今まで自らをバカにした存在を屈服・服従させるシチュエーションは、何とも言えない興奮を覚える。だけど、自分が主導権を握っていると思わせ、実は主導権を握られているシチュエーションにも興奮を覚えてしまう。
犬や猫、鳥など、ペットを飼う方は数多くいる。ペットのために仕事などを頑張り、ペットに安らぎを覚える。それはとても素晴らしいことだし、否定する気もない。
自身がペットを愛でているつもりでも、実はペットに飼い主が飼い慣らされているなんてことも。ペットを飼うということは、ある程度の自由が消えると同義。飼育が不十分だと、逃げ出したり、命を失うなどの事態に発展する場合がある。
夕陽は櫻子が待ち合わせ場所に来ていたことに気付いているし、櫻子を刺激するためにわざと別の女性と一緒にいるシチュエーションを見せていたに違いない。そう考えると、夕陽は中々の策士。本当のペットは夕陽ではなく、櫻子なんじゃ…
夕陽を飼い慣らすつもりが、夕陽の魅力にハマっているぞ。櫻子。高校デビューを機に、変わったつもりでいるけど、櫻子は夕陽に振られた時と何も変わっちゃいない。
友達と別れ、ショーウィンドウに映った自分の姿を見つめる櫻子は、高校生になって自分は変わったと言い聞かせていていることを表現していたのかなと。メガネを外し、髪を染め、長かった髪を短くする。櫻子の外面は、劇的に変化した。中身は伴っていないけど。
だから、夕陽にリードを握らされ、ペットの小屋につなぎ止められるんだよ。
櫻子が夕陽を飼い慣らすだけではなく、夕陽が櫻子に飼い慣らされる様子はゾクゾクする。
最後に
櫻子の復讐劇を描いた『ダメ犬彼女』。蓋を開けてみれば、櫻子は何も変わっておらず、夕陽に自分好みのご主人様に調教されていた。
ペット扱いされていたのは夕陽じゃないかと言いたくなる方も多いかもしれない。だけど、ペースを掴んでいたのは、櫻子ではなく、夕陽だ。夕陽の裏切りともいえる行為に翻弄され、怒りを募らせる櫻子。しびれを切らした櫻子は、夕陽の前に現れた。
すべて、夕陽の計算通りではないかと思えてならないのだ。ペットを飼うという行為。人間が犬や猫などを愛でているように見えて、ペットが飼い主の24時間を作り変えているようにも見える。飼い主とペット。主導権を握っているのはどちらなのか。
飼い主の視点だけでは、すべてを見ることができないのかもしれない。ペットの視点に立つことで見えることも。とはいえ、私もまだ真実にたどり着いていない。
これから、みなさんと一緒に櫻子と夕陽の物語における真実を見れたらなと感じている。どうでしょうか?一緒に『ダメ犬彼女』の世界を覗いてみないですか?
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