【感想】『Dear My Teacher』11~夢と現実~

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『Dear My Teacher』11の感想を紹介します。

もくじ

『Dear My Teacher』11の基本情報・内容

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タイトル『Dear My Teacher』11
作者アジイチ(@ajiichi_nomoto
サークル名味市
ジャンル百合・オリジナル
イベントコミティア152
発売日2025年6月1日
サイズB5

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『Dear My Teacher』11の感想

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薫の親友・喜美子のカミングアウトにより、薫がどん底に突き落とされる姿は見ていて、心が痛む。


薫は今の状況から逃れるためにインターネットで正解を探していたけど、どのWebサイトを閲覧しても、どのキーワードで検索しても、見つからない。


みことに気持ちをぶつける薫は本当に見てられない。みこととの絆が壊れない確かな証が欲しいと願っていたけど、それを壊しかけたのが薫自身。薫の行動に困惑するみことが印象的だった。本当に、2人とも救われて欲しい…


いいところで終わっていたな。次巻に続くように持っていくのは、個人的にあり。


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表紙は薫が喜美子に対する嫉妬心をみことにぶつけている様子を彷彿させる。


薫の心に渦巻いていた「羨ましい」という想いから「妬ましい」という想いに変化した瞬間は、生々しい。


「羨」は羊のごちそうを見て、よだれを流す様子を意味するとか。手に入れたくても手に入れられない様子を上手く表現した漢字だと思う。


「妬」は積もり積もった感情といった意味を持つ。


『Dear My Teacher』11は「嫉妬」に加え、「結婚」「絆」「繋がり」といった言葉を連想させる。


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結婚といえば、『できそこないの姫君たち』の七姫たちのウェディングドレス姿が頭に浮かぶ。


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『白き乙女の人狼』におけるユキとアキのエピソードとか。


喜美子の結婚自体、おめでたいこと。心を許せる存在に巡り合えた喜美子は幸せに満ち溢れている。素直にお祝いの言葉を伝えられなかったであろう薫は、喜美子とどのように別れたのか覚えていなかったようだ。


「結婚」とは、縁組が固く結ばれるといった意味を表す言葉。めでたい状態をずっと保ち続けるといったところか。「糸」が夫婦の絆を固く結びつけるものといった印象を受ける。


「絆」という文字も、2つに分かれているものをつなぎ止めるといった意味合いを持つ。「結」同様、「糸」がある。


薫はみこととの絆が壊れないことを証明するためのものを望んでいたけど、それは一体何?結婚指輪?チョーカー?ネックレス?ブレスレット?アンクレット?ピアス?婚姻届?名字?戸籍?キスマーク?赤い糸?それとも?


みことと薫は何年もかけて愛を育んできたのに対し、喜美子は結婚相談所で出会って5ヵ月でゴールイン。この事実も薫の心にダメージを与えたのかもしれない。自分たちは何年も育んできたのに。


何年もかけて培ってきたラインに一瞬で到達されるどころか、追い抜いていくような感じなのかもしれない。


薫、喜美子とどんな会話していくんだろうという疑問が。みことが喜美子とコンタクトを取り、薫を救うための光を掴むのかな。


みことが夢に向かって突き進んでいる裏で、残酷な現実に道を阻まれている薫。キラキラした一面が際立つから、薫の葛藤・嫉妬も際立つ。いろいろなものの対比が上手く表現された1冊に仕上がっているのではないだろうか。


最後に

夢を見るみこと・現実を見る薫を描いた『Dear My Teacher』11。薫に現実を見つめるきっかけを与えたのが、薫の親友である喜美子というのが…


薫の欲しかったもののすべてを喜美子は手にしたといったところだろう。それも、短期間で。


みことに自らの想いをぶつける薫は見ていて、痛々しい。気になるところで終わったから、早く続きが読みたいですね。


kindleなどでも、『Dear My Teacher』の配信が始まったので、気になる方はぜひぜひ。総集編はどれも読み応え抜群。


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参考資料

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・『Dear My Teacher』11

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・『Dear My Teacher』総集編(1)

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