全存在かけて、翠を否定したい。
白蕾学園の外が地獄かどうかを決めるのは、お前じゃない。
卒業した後に幸せになれるかどうかは、灯達次第。
人の心を読み取れるとか、単なる驕り。自分自身にうぬぼれているだけに過ぎない。人の心なんて、完璧に理解できるわけない。幻想にすがって生きていくことが不幸だなんだとか、翠が言っていたけど、お前が言うなと言いたくなる。
翠が人狼であろうとなかろうと、翠の言っていることはただの自分勝手。退学が決定すれば、政略結婚から逃れられるし。もし、そのために他人を巻き込もうとしたなら、自分勝手としか言いようがない。翠の母親のようにはなりたくない。翠はそう言っているように見えた。翠の父親は翠の母親を利用したのだろう。白蕾の花嫁と結婚したというステータスが欲しかったのかもしれない。
翠の言う幸せを掴み取った人間がいる。
ユキとアキ。退学になったものの、ユキとアキは新たな人生を歩んでいる。鳥かごの外で幸せを掴み取っていると言えるのではないだろうか。
いずれにしても、翠の退学が決定し、白蕾学園に平和が訪れた。灯達の日常は何気ない日常を過ごすことになる。これでめでたし、めでたし。
わけないじゃないですか。翠の発言には、疑問がいくつかある。
翠は、紫音が灯に告白した時に紫音が灯に恋をしていたことを初めて知ったのだろうか。人の心が分かるというのなら、その前から紫音の恋心に気付いていたはずだ。告白した瞬間が紫音における幸福の絶頂なのか。紫音の恋心は、近くで見ていたらすぐに分かるんじゃ???
翠が人狼だというなら、翠は解毒剤をどうやって手に入れたのだ。
極めつけはアキの部屋にあった白い椿の造花。翠は枯れる前に気付いてくれて嬉しかったと言っていた。枯れるとは一体どういうこと?劣化を気にしないといけないけど、枯れるなんて言葉を使うだろうか。
白い椿の花言葉は「完全なる美しさ」。造花により、完全なる美しさを表しているといったところか。椿が散る時、花首から落ちる。造花が蕾だったのは、散る前の蕾が愛らしく、最も美しい様子を表しているのかなと感じなくもない。
それに、灯達を救済すると言った翠がわざわざ分かりやすい証拠を残すのか。お粗末にも程がある。
造花であるにも関わらず、枯れる前と言っていたことを考えると、翠が人狼とは思えなくなってきた。
灯は部屋にあった白い椿と言ったけど、アキの部屋にあったとは一言も言っていない。気付いたのは灯ではなく、アキ。ひょっとしたら、翠はアキの部屋にあった白い椿の造花とは別の椿のことを言っていたのかもしれない。灯がアキの部屋に入る余裕なんてあったとは思えないし。
まだ終わってはいない。人狼はまだ生きている。
藍が資料室で目にしたのは、話し合いの結果なんじゃ。学園の秘密ってもしかして、純潔を失った時に黒百合の紋章が浮かび上がる薬の作り方のような気がする。その材料はとんでもないものの気がしてきた。
藍は資料室に手がかりを残している。そこに全ての答えがありそうだ。
人狼は井澄のような気がする。井澄が探しているものがあるとするなら、姉のこと。井澄の姉は一体どこで何をどうしてるんだろう。井澄の姉が黒百合の紋章が浮かび上がる薬に関係しているなら、それはそれでヤバい気がする。純潔を失った時に黒百合の紋章が浮かび上がる薬が白蕾の乙女に関係しているとすれば…
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