【感想・考察】現実はマシュマロのように甘くない…『今日はカノジョがいないから』35話について

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突然ですが、問題です。


人が失ってはいけないものは一体何でしょう?


正解は夢。夢があるからこそ、人は生きている。人が夢を持とうとすると、儚。儚いとなる。


少しばかりお付き合い頂いたところで、『今日はカノジョがいないから』35話の感想を紹介することに。


もくじ

『今日はカノジョがいないから』35話の基本情報・内容

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タイトル『今日はカノジョがいないから』35話
サブタイトル儚常
作者岩見樹代子(@okome103)
掲載誌コミック百合姫2026年1月号
出版社一迅社
編集部のTwitterアカウント@yh_magazine
発売日2025年11月18日
ISBN4912137390168
サイズB5

あらすじ

キャンプの夜。ゆには七瀬と甘いひと時を過ごしつつも、七瀬の解釈違いの言葉に困惑することに…ゆにと七瀬の甘いひと時を目にした雪は嫉妬の炎をたぎらせ、自らの心の奥に芽生えた恋愛感情を自覚する。


一方、その頃。ゆにの想い人である風羽子は、真白と2人きりの時間を過ごしていた。果たして、クズ女たちが織りなす恋模様や如何に。


物語の核
  • 七瀬の解釈違いの言葉に困惑するゆに
  • 雪の七瀬に対する恋心
  • 真白に囚われた風羽子

「儚常」というサブタイトル

『今日はカノジョがいないから』といえば、岩見先生のセンスが光るサブタイトルも外せない。毎回、どんなサブタイトルになるのかなと楽しみにしていたりする。


『今日はカノジョがいないから』35話のサブタイトルは、「儚常」だ。無常と儚いをかけているのだろう。


「無常」とは、常に変化し続けることを意味する。ゆにの一番星が七瀬から風羽子に変わったように、七瀬の一番星が雪からゆにに変化している。七瀬の言葉をゆには素直に受けれることができない状態に変化していたのも印象的だ。雪が七瀬に恋をしているのに気づいたように。


この世界は常に変化し続ける。人間も常に変化し続けていく。ゆに達の日常は目まぐるしく変化していることを「儚常」というサブタイトルで上手く表現していたように思う。


不安定などをイメージさせる「儚」という文字が使われていたのは、ゆにの七瀬に対する環状の変化・七瀬に対する想いを拗らせる雪が自らの恋心に気づく様子などを表していたのかなと。七瀬がゆにと愛を深める様子を目にした雪は、七瀬に対する恋心が儚く散ったような。散り際の美しさが何とも言えない…


「儚」とは、人が夢を抱くと捉えることができる。雪の夢は七瀬の一番であり続けること。七瀬の夢は体育の道に進むこと・ゆにの一番星であり続けることだろう。風羽子はゆにのママであることだ。ゆにの夢は…おそらく風羽子の一番星であり続けることなのだろう。


七瀬にとっての一番星・朝日奈ゆに

ゆにと七瀬の2人だけの甘い時間はドキッとしつつも、複雑な感じが…


七瀬にとっての一番星が、ゆにであることが触れられていた。ゆにが一番星の理由として、七瀬が家族しか知らない秘密の場所へ招待したことだ。雪ではなく、ゆにに。七瀬が雪に対し、恋愛感情を抱いていないのがよく分かる。もし、雪に恋愛感情を抱いていたり、ゆにと同じくらい大切に想っていたとしたら、雪も連れてきただろう。


だけど、七瀬はそうしなかった。


家族としか来ていない場所に連れて行くなんて相当なこと。ゆにを家族として迎え入れる。七瀬が2人だけの時間を作ったことには、大きな意味がある。


焼きマシュマロやスモアを食べたりと、ゆにと七瀬は本当に楽しそうだった。マシュマロ、焼くと美味しくなるよね。スモアを見てると、『ゆるキャン△』を思い出してしまう。


ココアに浮かべたり、ヨーグルトに入れるなど、マシュマロの食べ方は多岐にわたる。一袋持っておくと、応用の利くお菓子といったところか。ゆにをフワフワしたマシュマロのように包み込むといった七瀬の愛を感じなくもない。ちなみに、ホワイトデー文化のきっかけになったのがマシュマロといわれている。


雪が七瀬の家族として受け入れられていないという現実は、雪にとってあまりにも辛すぎる。近くで支え続けていたのに…


七瀬の解釈違いに葛藤するゆに

七瀬の甘い優しさに触発されたせいか、ゆにが家族のことを打ち明けていたのも、『今日はカノジョがいないから』35話における見どころの一つだ。


七瀬なら分かってくれるかもしれない・話しても良いかもしれないと思い、ゆには七瀬に母親のことを語ったのだと思う。七瀬が家族と一緒に過ごす場所を紹介したように。2人だけの甘い時間がなければ、ゆにが七瀬に母親のことを語る機会を作れなかったような。


ゆににとって、家族のことを話すのはセンシティブなこと。全てを話して、七瀬との関係が大きく変化することを恐れていた。ゆににとって、勇気のいることだろう。だけど、母親と過ごす時間は嫌いではない。むしろ、大切に感じていた。


頑張った・偉いという七瀬の言葉は、あまりに解釈違い。画竜点睛を欠くを地で行くクズ女こと夏目七瀬ここにあり。肝心なところでポンコツ性能を発揮する。


聞いてなかったのか?バーベキューのお肉を皆が美味しいと言ってくれたのが嬉しいという言葉を。


別に、ゆには料理などの家事が大嫌いというわけではない。特に料理に関しては、好きな部類に入る。目の前の人を笑顔にできることにやりがいを感じているのだと思う。


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ゆにが母親にパンケーキを作ったエピソードにおいても、母親のわがままに呆れつつも応じていた。それは母親のことが好きだから。母親に美味しいって言ってもらいたいから。母親に喜んでもらいたいから。


料理で目の前の人が笑顔になることの幸せを、ゆには誰よりも理解していた。偉いとか頑張ったといった次元ではない。お互いに助け合い、安らぎを感じている。父親や愛するペットとは別れたものの、確かな幸せが朝日奈家にある。


偉い・頑張ったという七瀬の言葉を受け入れたら、ゆにと母親の関係性を否定してしまうことになる。偉い・頑張ったって…まるで、ゆにが母親に家事を押し付けられている・イヤイヤやっているということになってしまう。


偉いとか頑張ったって、本当に何様なんだ???って言いたくなる。


最も、多くの方が七瀬のような言葉を発してしまうのかもしれない。ゆにの言葉の表面をさっと撫でるだけだと、本当にゆにのことを理解しているとは言えないのだと思う。ゆにと七瀬の生活環境や生き方なんかが大きく異なる。住む世界が全然違うといった印象を受けるのだ。


母親との関係性を否定したくないからこそ、ゆには話題を変えた。七瀬には、母親との関係性・自分が望んで家事を行っていることを理解してくれないだろうといった諦めがあったのかもしれない。七瀬にとっては、ある意味辛すぎる。七瀬本人が気付くかどうか分からないけど。


ゆににとっての一番星・瀧風羽子

ゆにと七瀬のキスシーン、ドキドキする。だけど、風羽子がいるのに何事だ!という感情も湧き出てくる。七瀬の母親の言葉や七瀬の愛情を正面から受け止められないゆに。サブタイトルの「儚常」にあるように、ゆにの心は確実に変化している。七瀬のことが好きだけど、素直に喜べない。


ゆににとっての一番星・お月様は瀧風羽子ただ1人だ。


ゆにと七瀬を照らす月が綺麗だった。


2人きりの時間を過ごすゆにと七瀬が美しい。だけど、風羽子のことを考えるゆにがクズすぎる…恋人が目の前にいるのに…


七瀬を一番星として見ている雪の女王・雪

ゆにに嫉妬している雪がヤバい。デリカシーがないとかゆにに感じていたけど、個人的には「お前が言うな!」って言いたくなる。雪は何度もゆにと七瀬が一緒にいるのを邪魔している。特にバーベキューでの行動を傍から見ると、デリカシーがないと感じた方も一定数いたかもしれない。


幼稚園の頃からずっと一緒だった雪が選ばれず、高校の時から一緒だったゆにが選ばれるのは無常としか…現実というのは、あまりにも残酷すぎる。「儚常」というサブタイトルにピッタリだ。


ちなみに、ホワイトデーに渡すマシュマロには、「あなたが嫌い」といった意味も込められているとか。くちどけの良さから、長続きしない・すぐに忘れるといったマイナスのイメージが「あなたが嫌い」といった意味合いにつながっているそうな。


七瀬の一番でいるためには、七瀬に近づく人間を排他するって中々のクズだなとしか言いようがない。雪みたいなことをやっていた人間を目にしたからこそ、雪に対する感情に変化が。本人の名誉のために言わないけど。


七瀬に近づく人間から七瀬を奪うその姿は、まるでアンデルセン童話に登場する雪の女王のようだ。風羽子の愛読書はグリム童話だったな。童話の要素を作中に上手く落とし込んでいるところも、『今日はカノジョがいないから』の魅力だと感じている。


雪が地面に落ちたマシュマロを七瀬にもらったヘアピンで潰していたけど、マシュマロはゆにのメタファーなのだと思う。「ゆにが嫌い」という感情をマシュマロにぶつけている。


恋愛感情に気付いた雪の表情が何とも言えない……


七瀬にもらったヘアピンを乱暴に扱っていたのは、七瀬に対しても怒りを感じていたから。可愛さ余って憎さ百倍といった言葉があるように、雪はどうして私の想いに気付いてくれないのとヘアピンに語りかけていたのだろう。


ヘアピンは七瀬のメタファーといった側面を持ち合わせているような気がした。


岩見先生の描く雪の感情は、本当に生々しい…


人間、自分が一番でありたいというのを雪を通して描かれているように感じた。七瀬の一番であり続けるためなら、手段を選ばない。


ゆにを守るために真白に身を捧げるいばら姫・風羽子

風羽子が真白と一緒にいるのは、ゆにを守るためなのだろう。真白はゆにと一緒に遊ぶ気満々だった。自分に逆らうと一体どうなるのかを分からせるため。見せしめとして、ゆにに手を出そうとしていたのかもしれない。


風羽子はどんなことがあっても、ゆにを守ろうとしている。ゆにのママとしての役目を全うしているのがよく分かる。


最も、真白と浮気しているのに変わりはないけど。ゆにを守るためにクズになる風羽子。この作品には、クズばかりが…時折、ゆにのことをクズ呼ばわりして良いのかと迷ってしまう時がある。この辺は岩見先生や編集の方達の懐の深さとしか。


幼い頃の風羽子に一体何をしたんだ?真白は。自らの欲求を満たしていたのだろうけど。考えれば考える程、ロクでもないことしか出てこない。


純粋無垢な女の子を自分の色に染め上げ、汚し尽くすことが真白の趣向なのだと思う。これまでの言動を振り返ると、綺麗な名前に反して、良い趣味をしてると思う。作中に描かれていたプール。既視感が…


最後に

『今日はカノジョがいないから』35話は雪の七瀬に対する恋心・七瀬の家事を頑張ったという言葉に困惑するゆになどが描かれていた。


それぞれがまるで明後日の方向を向いていたような気が。真白に囚われている風羽子をゆには救い出すことができるのか気になるところ。

参考資料

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