【感想・考察】自分の生きる世界を見つける物語『あさぎ色のサウダージ』2巻・3巻

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『あさぎ色のサウダージ』2巻・3巻の感想を紹介することに。


もくじ

『あさぎ色のサウダージ』2巻・3巻の基本情報・内容

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タイトル『あさぎ色のサウダージ』2巻・3巻
作者サクタロー(@sktr_sgt)
掲載誌カドコミ
発行KADOKAWA(https://www.kadokawa.co.jp/)
編集企画カドコミ編集部
発行人山口直久
編集野口昌保(@editor_NGUCHI)
収録話数
  • 2巻:7~12話
  • 3巻:13~19話
発売日2025年11月26日
ISBN
  • 2巻:9784041168837
  • 3巻:9784041168844
サイズA5
印刷所TOPPANクロレ株式会社(https://www.toppan-colorer.co.jp/)
製本本間製本株式会社(https://www.homma.co.jp/index-ie.htm)
装丁多和田耕平デザイン事務所(多和田耕平+宮下華子)

あらすじ

初めての同人誌即売会で挫折を味わった蓮とまつりに運命の出会いが。漫画家としての未来を歩むことになる。そんな蓮とまつりの前にまつりの1人娘・こよみが現れる。まつりの過去に蓮とまつりはどのように向き合うのか。



物語の核
  • 決して消すことができないまつりの過ち
  • 漫画家の階段を昇る蓮とまつり
  • 蓮とまつりが家族になるまでの道のり
  • 誰にも言えない蓮の葛藤
  • 運命の子・こよみ

補足

2巻・3巻同時発売。初回出荷分には、封入特典としてイラストカードが付いてくる。



自分の生きる世界を見つける物語

自分の居場所を見つけ、家族になった蓮とまつりの特別で何気ない日常でラストを迎えたときのカタルシスが沁みる…


サクタロー先生の漫画やキャラクターは、温かみがある。


居場所が見つからない蓮と居場所を失ったまつりが自分の生きる世界を見つける物語が、『あさぎ色のサウダージ』だと感じた。


蓮もまつりも決して独りじゃない。理不尽が多く、生きづらい世界の中にも光がある。自分を見つけてくれる人がいるということを全編を通して描かれていたような。


まつりが蓮を見つけ、美穂が蓮とまつりを見つけ、こよみがまつりを見つけ、蓮とまつりがこよみを見つけるといった具合に。


人と人とのつながりを丁寧に描いているからこそ、蓮達のやり取りから発せられる温かみとかをよりダイレクトに感じることができるのかなと。


ラストにおける蓮とまつりを見ていると、何気ない日常を過ごせることが幸せなことなのかなと実感する。こよみの存在が物語に動きやダイナミックさ、サプライズといったものを与えている。こよみが漫画の連載を続けた蓮とまつりを祝福するシーンも見ていて、癒された。


暗闇のなかで足掻き続け、自分の道を切り開いたからこそ、蓮とまつりは祝福を受けることができたのかなと思わなくも。


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夜が明け、桜が吹き荒れる始まりの橋で遠くを眺める蓮とまつりを描いた表紙・桜色が使われたロゴを見ると、明けない夜はないといった感じを受けた。漫画家として一歩を踏み出し、家族というかけがえのないものを手に入れた蓮とまつりを祝福しているかのよう。


桜を見たまつりが蓮に自らの過去を話すシーンもあったな。


暗い夜を描いた1巻の表紙とは対照的といった印象も。


人間の人生を丁寧に、温かく、優しく描くという点がサクタロー先生の漫画に通底する部分だと、私は考えている。


愛する我が子のために

愛する我が子のために過去と向き合い、自らの想いをぶつけたまつりが最高にロックだった。カッコいいキャラクターを魅せるという点もしっかり押さえられていたような。


自分のことよりも大切な人を傷つける人間を許せないといった感じが。


普段は優しく、笑顔を振りまいているからこそ、ここぞという時にキレたまつりのインパクトが大きくなる。


直己はまつりが1人で何もできないと言っていたけど、人間は1人で生きてはいけないし、直己こそ1人で何もできないという。


こよみが1人どこかへ行った時も、何かを言う前に飛び出すまつりこそ、こよみの親にふさわしい。電車のなかでまつりが蓮とこよみを抱き寄せるシーンも個人的に好き。蓮が僕も?とか言っていたけど、「当たり前じゃ!」って言いたくなった。こよみと同じくらい心配かけるし、エナドリに頼るし、タバコ吸ってたし。


母を求めて

『あさぎ色のサウダージ』2巻・3巻における主役といえば、こよみも忘れちゃいけない。サクタロー先生の描くこよみが本当に可愛かった。本当にいい子。


こよみがプラットフォームでまつりに向かって大声で叫ぶシーンとか特に印象的だった。道に迷い、どんな危険が待っているか分からない道中を独りで向かうとか…


こよみを見ていて、『となりのトトロ』のメイや『よつばと!』のよつばをイメージさせる。母を求めて1人遠くの場所へ向かう姿とか物語に動きを出すアグレッシブな姿とか。


よくよく見たら、1巻に収録されている6話にこよみの姿が…2巻以降を読み進めると、6話に描かれているこよみの捉え方も変わるかもしれない。


こよみに会うために自分でなんでもやろうとしていたのかと…


まつりと直己のどちらがこよみの親にふさわしいかをこよみ自ら言っていた気がする。


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久しぶりに食べたアポロチョコレートが美味かった。


サクタロー先生のメメント

『あさぎ色のサウダージ』はサクタロー先生のメメントといった印象を受ける。メメントとは、ラテン語で「記憶」「記念の品」といった意味がある。サクタロー先生がこれまで積み重ねてきた経験や記憶、思い出、好きなものを詰め込んだ物語だと思う。


『となりのトトロ』や『よつばと!』を感じさせる演出とか蓮が買い集めてきたCDのジャケットの数々、コミティアの描写、蓮のバイクとか。いろいろな過程を経てきたからこそ、『あさぎ色のサウダージ』という一つの作品に昇華されたのかなと感じた。


蓮を見ていると、サクタロー先生にどこか似てるなと何度か。


蓮が保管していた漫画を描くための道具も一つのメメントと言っても良いかもしれない。サクタロー先生という人間をよく表した一作だ。作者と作品を切り離して考えろ的な言葉を目にするけど、切り離して考えるのは無理だよ。やっぱり作品に出る。百合とか日常といったジャンルに限らず。もちろん、漫画やアニメ、ゲーム、映画といった媒体に限らない。


運命の同人誌即売会

蓮とまつりがコミティアに参加するエピソードがあったけど、サクタロー先生に転機が訪れたイベントの一つがコミティアだったのかなと思わなくも。


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コミティアで挨拶しに行った時、本当にお世話になりました。


行くと楽しいんですよね。コミティア。いろいろな出会いを味わえるイベントだと思う。始まりの瞬間とか会場での賑わいとかも上手く再現されていた。始まりのアナウンスとともに皆で拍手する瞬間が祭りの始まりといった感じがして、好きだったりする。


編集の美穂とのやり取りでストーリーが良いけど、話が弱い的なやり取りも個人的に印象に残った部分。ストーリーと話をセットで考えることが多かったから。ストーリーが弱いけど、話は良いみたいなことあるのかなと疑問に感じたりも。


ストーリーは良いけど、話にもう一声が欲しいと思うことはよくよく考えたら、いろいろな作品で感じることが多いなと。


色がついた特典について思うこと

メロンブックスでの購入特典は、イラストカード。


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2巻の東京ビッグサイトと3巻の東京スカイツリーといった具合に蓮とまつりの運命の転機となった場所が描かれている。多くの人が集い、出会う場所である東京ビッグサイト。無機質だけど、多くの人を照らすモノリスを感じさせる東京スカイツリー。


1巻の時と違い、色がついているのがポイントだ。蓮とまつりの運命が大きく変わり、何気ない日常を過ごせるようになった変化を表しているのかなと感じた。漫画家としての道を歩み、こよみと過ごす時間を手にした蓮とまつりの人生に彩りが添えられた。


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初回出荷分の封入特典だけど、2巻は蓮とまつりを形づくったもので構成されている。いろいろな経験や思い出を経て、蓮とまつりが巡り会い、新たな道を切り開いている様子が表現されているのかなと。『あさぎ色のサウダージ』におけるシンボルである東京スカイツリーもしっかり描かれているのもポイントだ。


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3巻はタキシードを着こなした蓮と綺麗なドレスを着こなすまつりの2ショット。蓮とまつりがさまざまな経験を経て、家族になったことを感じさせる。サクタロー先生の蓮とまつりに対するはなむけの言葉といったところだろうか。


最後に

自分の居場所が見つからない2人の人間が自分だけの居場所を見つけ、家族になっていく様子を描いた『あさぎ色のサウダージ』。


蓮とまつりはさまざまな出会いと再会を経て、変化・成長し、自らの未来を切り開いた。蓮とまつりを見ていると、決して独りではないと感じさせる。


作中に登場するこよみの存在が話に動きや力を与えていた。蓮とまつりを優しく受け止める美穂を見ていると、この世界も捨てたものではないなと思ったりも。


優しく描かれた人間達の人生がいくつも重なり合う話が魅力的な一作だと感じた。サクタロー先生の活躍をまたどこかで見ることができたらなと。


参考資料

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・『あさぎ色のサウダージ』2巻

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・『あさぎ色のサウダージ』3巻

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