【感想】魂がモノに宿る!『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻

『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻の感想を紹介することに。


もくじ

『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻の基本情報・内容

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タイトル『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻
収録話数6~11話・描き下ろし
作者しぼりかすこ(@miyama_kirazu)
掲載誌コミック百合姫
出版社一迅社
編集部のTwitterアカウント@yh_magazine
発売日2025年7月17日
ISBN978-4-7580-2940-7
サイズB6

あらすじ

町乃が愛してやまない恋愛シミュレーションゲーム『セレスティア』から飛び出したソフィアたち。ゲームの世界から飛び出した彼女たちに困惑しつつも、町乃は気持ちを深めていく。町乃とソフィアの前に悪役令嬢のオリヴィアが現れる。


魔法保険医のアウロラも参戦し、町乃はアウロラのお願いを叶えることに。果たして、町乃の下に5人のヒロインが集まるのか。


『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻の感想

オリヴィアが町乃とソフィアの手を素直に取れないのは、町乃が悪いんだよ!!


選べなかったこと・選ばなかったこと。それら全てが罪なんだ。デレた時のオリヴィアが可愛すぎるぅぅぅ……


ソフィアとアウロラも可愛いんだけど、なかでもデレた時のオリヴィアが可愛すぎた。厳しい世界を生き抜くオリヴィアがたくましいけど、放ってはおけない感じがまた…しぼりかすこ先生、オリヴィアが好きすぎるでしょ!!


クールな表情とデレた時の表情のギャップがたまらないし、繊細な一面を見せられると心が締め付けられる。町乃を拒絶しようにも、拒絶できないオリヴィア。愛ゆえに、町乃から完全に離れることができないというのがまた…


エプロン姿のオリヴィアも可愛い…お好み焼きの描写、気合入っていたな。美味しく見せようというのが伝わってくる。カバー裏で見せたオリヴィアの関西弁も悪くない。


アウロラの約束を果たした町乃を見た後のオリヴィアのセリフは、胸を抉る。そのアウロラのエピソードも心温まると同時にいろいろ考えさせられる…


オリヴィアがとにかく可愛い。それを強く思った2巻だった。


『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻の考察

恋愛シミュレーションゲームから飛び出したヒロインの気持ちを確かめつつ、充実した日常生活を送る町乃の姿を描いた『現実世界でも幸せにしてくださいね?』。読んでいて、いろいろ感じることがあったので、個人的に思ったことを整理することに。


以下のことを取り上げていこうかなと。


  • 付喪神
  • 画面の向こう側とのコミュニケーション
  • 好感度ゲージ
  • ソフィア・セレナ・セレスティア
  • オリヴィア・ノクス・エトワール
  • アウロラ

付喪神

モノには魂が宿る


とあるインタビューのなかで、ハーバード大学のロブソン教授は「モノには魂が宿る」という考え方について触れていた。ロブソン教授は道教・中国仏教・禅に精通している。


多くの方がモノには魂が宿るという考え方を見聞きしているのではないだろうか。


町乃の前に現れたソフィアたち。彼女たちは付喪神の側面を持ち合わせているのではないかという考えが浮かんだ。付喪神、それは長く使い続けられた道具に宿った精霊である。近年では、『ポケットモンスター』に登場するイーユイ・ディンルー・パオジアン・チオンジェンといったものが付喪神に当たるだろう。


「セレスティア」に夢中になった町乃。好感度を全員MAXにするほどのハマり様。それも3日間寝ずにソフィアたちと接し続けていた。人からの借り物ではあるものの、「セレスティア」のソフトには、町乃の想いが強く宿っていたのかもしれない。


どうして、ソフィアたちが画面の向こう側から飛び出してきたか謎に包まれているものの、町乃のソフィアたちに対する想いが強く働きかけた可能性が十分考えられるのではないだろうか。


ゲームに愛着がわき、そのなかにいる人間たちに愛着がわく。想いが強ければ強い程、その想いが形となって現れる。その逆もしかり。


画面の向こう側とのコミュニケーション

多くのメーカーが開発・発売している恋愛シミュレーションゲーム。プレイヤーは画面の向こう側にいるキャラクターとコミュニケーションを図り、エンディングを目指していく。誰と運命を共にするか・どのような日々を過ごすかはプレイヤーの手に委ねられる。


何らかの拍子で通常のプレイではたどり着くことができないであろうルートに突入した町乃。町乃の「セレスティア」はエクストラターンに突入した。


『現実世界でも幸せにしてくださいね?』は愛されるキャラクターづくりを大事にしている百合漫画だと感じた。他の百合漫画も愛されるキャラクターづくりを大事にしていると思うけど、恋愛シミュレーションゲームを題材にしている以上、愛されるキャラクターづくりは至上命題だと思う。


恋愛シミュレーションゲームのプレイヤーは主人公の視点に立ち、作中に登場するキャラクターとコミュニケーションを図る。パッケージを手に取ったり、シナリオを進めたりするのを促すためには、攻略対象のキャラクターが魅力的かどうかが重要だ。キャラクターが魅力的でなければ、そのキャラクターのシナリオを進めないし、パッケージを手に取らない。


プレイヤーを能動的にするためには、キャラクターが魅力的かどうかが重要になってくる。1人でも多くのプレイヤーを増やすため、メーカーは個性あふれるキャラクターを何人も用意する。お姫様のソフィア・ツンデレ悪役令嬢のオリヴィア・ネコ耳魔法保険医のアウロラ・姫に仕えるメイドのルナ・オリヴィアに仕える騎士のカーラといった具合に。


1人でも良いなと思えるキャラクターがいたら、プレイヤーはパッケージを手に取り、シナリオを進めていく。目当てのキャラクターのシナリオを進めていくなかで、他のキャラクターたちに感情移入し、興味を引かれる場合もある。その結果、他のキャラクターたちのシナリオを進めていく場合だって。キャラクターを輝かせるのが個性であり、その個性を活かせるシナリオ。声優さんの演技もキャラクターを輝かせるうえで欠かせない。


攻略対象のキャラクターが複数人いることにより、作品の世界を伝える際にプレイヤーを飽きさせないといったメリットも。1人のキャラクターで作品の世界をすべて伝えることもできなくはないが、シナリオが長くなる可能性がある。場合によっては、シナリオの途中で投げ出されてしまう恐れも。


シナリオが長くなるのを防ぎつつ、多くの人の琴線に触れるようにするために、攻略対象のキャラクターを複数人用意するのは理にかなっている。攻略対象のキャラクターというよりも、愛すべき人たちといった方がしっくりくる。


恋愛シミュレーションゲームはただ単に選択肢を選ぶだけではなく、キャラクターとのコミュニケーションを通し、キャラクターに愛着などの感情を抱くことができる。プレイヤーが作品の世界に登場する1人の人間になりきり、その世界を疑似体験できるのが恋愛シミュレーションゲームの魅力なのかなと。RPGや格闘ゲームとかでも同様のことが言えそうですが。


数あるゲームのなかでも、恋愛シミュレーションゲーム・ビジュアルノベルは、キャラクターとのコミュニケーションが魅力だということを『現実世界でも幸せにしてくださいね?』を読んでいると実感する。もっとも、キャラクターとの関係性が何かしらの働きをするゲームが恋愛シミュレーションゲーム・ビジュアルノベル以外にもありますが。


「セレスティア」の主人公の顔がハッキリ描かれていなかったのは、プレイヤーが感情移入しやすくするため。主人公の顔をハッキリ描いてしまうと、そのビジュアルと全然似ていないプレイヤーは、主人公に感情移入しにくくなる可能性がある。恋愛シミュレーションゲームのなかには、主人公の顔をハッキリ描かないものが多いのかなと。アニメ化とかした際に主人公の顔が描かれることがあるけど、分からないことが多かったりする。この辺はゲームによる。


好感度ゲージ

「セレスティア」には、好感度のゲージが存在することが描かれていた。好感度に応じて、キャラクターの関係性やシナリオに影響することが作中の描写から想像できる。町乃はこともあろうにソフィアたちの好感度をMAXにしていた。


町乃が特定の誰かを選ばず、好感度をMAXの状態にし続けたことも、ソフィアたちが現実世界に飛び出した原因なのかもしれない。ソフィアたちの魅力を饒舌に語った町乃の想いが強かっただけではなく、ソフィアたちの想いも強すぎた。双方向の好感度がMAXを突破した瞬間、本来では想定されていなかったシナリオを作り出したと。想像力ないし創造力のなせる技なのかもしれない。


好感度ゲージを実装した恋愛シミュレーションゲームは、いくつか存在する。コナミの『ときめきメモリアル』やセガの『サクラ大戦』がその一例だ。戦闘から恋愛まで自由度の高さで知られている『高機動幻想ガンパレード・マーチ』やUIのデザイン性の高さでも知られている『ペルソナシリーズ』なども、キャラクターの繋がりがゲームの進行に影響を与えるシステムが用意されている。


好感度のゲージをMAXにするということは、いくつもの出来事を経験するということ。ゲージが上がり幅に差はあれど、どのゲームにおいても、MAXにする上でそれなりのシナリオが用意されているのではないだろうか。


ゲームのステータスもプレイヤーの愛を表すもの。要は町乃の想いを表すものだ。


ソフィア・セレナ・セレスティア

作中に登場するヒロインの1人・ソフィア。真っ直ぐな想いを抱く聖母のようなヒロインだ。町乃の前に現れた最初のヒロインでもある。オリヴィアよりも早く、一歩を踏み出したことからすべてが始まった。魔力を持たないものの、国を救ったとか。優しさを持ちつつも、積極的に迫っていたのが印象的だ。最も、町乃の困惑した表情が予想外だったようですが。


ソフィアは「叡智」を意味する言葉。女性の名前にも用いられる。セレナはスペイン語で「晴れ晴れとした」という意味を持ち、月の女神であるセレーネを彷彿させる。セレスティアは「天の」「神々しい」といった意味を持つ言葉。天の女神・ソフィアといったところだろうか。


「セレスティア」において、国を救う女神といった存在なのかもしれない。


ソフィアが最初に町乃に見せた想いがシナリオに大きくかかわってくるような。


オリヴィア・ノクス・エトワール

町乃の前に現れた2人目のヒロイン・オリヴィア。ツンデレ悪役令嬢である。町乃のセリフから、オリヴィアのルートに入るためには厳しい条件が設けられていることを察することができる。


オリヴィアという名前はオリーブが語源といった記事を目にする。語源関係は調べるのが大変なので、そういった説もあるのかと捉えるようにしている。オリーブは聖書に登場する植物。平和などを象徴しているとか。花言葉は「平和」と「知恵」。現代社会をたくましく生きるオリヴィアは、知恵を振り絞っていると言っても過言ではないような。


ノクスはラテン語で夜だ。ちなみに、朝がマーネ、昼間がディエース。2019年に放送された『グランベルム』を視聴していた方なら、ノクスは知っていそう。エトワールはフランス語で星を意味する。夜の一番星・オリヴィアといったところか。


オリヴィアの言う約束がシナリオのメインとなってくるのだろう。


アウロラ

魔法保険医のアウロラは、町乃の前に現れた3人目のヒロインだ。長命種と呼ばれる存在。人間よりも長く生きる。長く行き過ぎたがゆえに悲しい別れも。薬草学などに長けている。猫耳が特徴的で、猫の姿になることができる。


彼女の命の長さは、作中のエピソードに深みを与えていた。認知症の女性が自分の娘のことを…は辛すぎる…生きるとは一体何かについて考えることが1つのテーマになっていたのかなと。


アウロラとは、ローマ神話に登場する曙の女神だ。太陽神のアポロンの妹とか。ブロンドの髪の持ち主。作中に登場するアウロラも金髪でしたね。曙とは、夜明けを意味する。長く行き過ぎたアウロラはいくつもの別れを経験し、陰を落としていたものの、町乃との出会いによって彼女の人生に再び夜明けが訪れたようだ。


アウロラの食べる姿は癒される。百合姫にアウロラあり、きららになでしこあり。


最後に

オリヴィア・アウロラの登場が描かれた『現実世界でも幸せにしてくださいね?』2巻。オリヴィアの町乃に対する複雑な想いに加え、アウロラの長く行き過ぎたが故の葛藤・アウロラの恩返しについて描かれていた。


オリヴィアの葛藤に胸を締め付けられつつ、アウロラのエピソードに心温まりつつも生きることについて考えることも。


ルナとカーラのシナリオでは一体どのようなやり取りが繰り広げられるのか気になるところ。後、ソフィアの恋心も…


参考資料

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