【感想】『あさぎ色のサウダージ』17話~サクタロー先生が描く愛したくなるキャラクターについて~

『あさぎ色のサウダージ』17話の感想を紹介することに。


もくじ

『あさぎ色のサウダージ』17話の基本情報・内容

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タイトル『あさぎ色のサウダージ』17話
作者サクタロー(@sktr_sgt)
掲載誌カドコミ
出版社KADOKAWA
配信日2025年7月25日
カドコミhttps://comic-walker.com/detail/KC_005781_S?episodeType=first

あらすじ

母親に対する想いが心のダムから溢れ出し、家を飛び出したこよみ。まつりは連と一緒にこよみを探し出すことに。「東武動物公園駅」のプラットフォームでこよみは母親にアイを叫ぶ。


そして、まつりの前に因縁の相手が。果たして、蓮はまつりの力になれるのか。


『あさぎ色のサウダージ』17話の感想

駅のプラットフォームでまつりを呼ぶこよみに心を打たれた…


完璧に泣かせにいってるサクタロー先生。涙をこらえようとしているこよみを見ていると、心が締め付けられる。


プラットフォームで「ママー!!!」と叫ぶこよみのシーン、気合入っているなぁと感じたし、個人的にも推したい。背景の描き込み具合とセリフのインパクトがこよみの感情に合致している。奥行きと距離感、すごすぎるでしょ…


緻密な背景が世界を作る。妥協のない部分がサクタロー先生の漫画を読んでいて、好きだと感じる部分。


感極まっている感じとかがダイレクトに伝わってくる。


まつりの下へ行こうとして、転んだ時のこよみの表情…涙をこらえようとするところがさらに読み手の心を刺そうとする。目力がすごいこと。目は口程に物を言うというのをこよみの表情で表していたな。


こよみが転んだ拍子にまつりに渡す似顔絵をぐちゃぐちゃにした時の間も単純にすごい。自然な入りだったと思う。転んだ瞬間・持ち物が散らばったシーン・似顔絵をぐしゃぐしゃにした時の反応。それらがかみ合っていた。蓮とまつりが渡したアポロチョコレートまであるし。転んだ後も涙をこらえようとすることで、読み手の涙を誘うような。


『あさぎ色のサウダージ』17話が更新されたことに関する投稿がX上でおこなわれた際、「こよみはえらい子」という言葉やまつりに抱きしめられるこよみを目にした際、『あさぎ色のサウダージ』17話で特に見せたい部分は桐生から東京まで行こうとしたこよみなんだなと実感する。


こよみが持ってきた小物やアポロチョコレートは、不安を紛らわせるためのものだったんだろうなと。特に、アポロチョコレートはここぞという時に食べるものだったし。中身が空だったとしても、捨てずにいたのは不思議ではない。なぜなら、こよみがまつりから直接もらったものだから。捨ててしまうと、まつりと過ごした思い出が失われてしまう。捨てようにも捨てることができない。


似顔絵を渡したかったから、単身東京まで来たという理由が泣かせにくる。こよみの複雑なバックボーンも相まって、何とも言えない感情が引き出される。怒ろうにも怒れない。バックボーンや行動の動機は、キャラクターを愛したくなると感じる要素だなと。母親のことが純粋に好きで会いたいという気持ちを行動で示したこよみ。嫌いになるなんてムリ。


まつりと一緒にいたいと眠くなりながらも吐露するこよみを見てると、複雑になる。おそらく、直己はこよみと一緒にいる時間が少ないのだろう。一緒にいる時間が長いはずの直己ではなく、まつりを選ぶ。こよみの中で、答えは出ているのかもしれない。


まつりの似顔絵・蓮とまつりが渡したアポロチョコレート・TVに映った東京スカイツリー近くの場所に関心を示すシーン・こよみが特急りょうもうに目を光らすシーン。これらはすべて、こよみがまつりのことを深く愛していることを読み手に伝えていると思う。こよみは母親の愛情を欲している・一緒にいたいと心から願っている。だからこそ、家を飛び出した。


正直、こよみを見ていると、『となりのトトロ』のメイが頭によぎる。メイもまた、母親にとうもころしを届けるため、七国山病院へ単身向かい、迷子になった。母親が好きなことに加え、陰でサツキが涙を流していたのも単身向かった理由だと思う。母親を元気にさせると同時にサツキを笑顔にさせたいという考えもあったのかなと。降りる駅がわからなくなったのも、メイが道を間違えるシーンを想起した。


こよみにしろ、メイにしろ、素の一面やバックボーンを見せることで愛したくなる想いが引き出される。『クレヨンしんちゃん』でも、しんのすけが両親を救出するために単身、春日部から桐生に向かう姿も描かれていたな。小さい子供が親に会いに行ったり、助けに行ったりする姿はどうしても心を打たれる。


こよみがひとりぼっちで怖くなったと言った時、まつりがこよみと蓮を抱き寄せたシーンで蓮が自分もかと疑問に感じていたけど…


当たり前じゃ!!!


まつりを心配させよってからに…どうしてとか思う方があれだわ!!まつりにとって、家族と言えるのは蓮とこよみだけだから。たった2人の家族。いい年して迷子になるし。


直己の冷めた感じがヘイトを高めそうに。冷めた表情・冷たい口調・自分の父親に対する言い方・バックボーンが相まって、負の感情が引き出されるような感じがした。嫌われる方向に描かれているのかなと。こよみに優しい言葉を問いかけているように見えても、前後のやり取りから冷たさ・いじわるな感じを感じ取ってしまう。


数ページとはいえ、直己の存在感は十分過ぎる。その後の描かれ方で捉え方が変わるのかな。過去の過ちは許されることではないけど。


直己、まつりに会わせないためにこよみを強く束縛する気がする。それが返って、こよみの不信感を招いたり。似顔絵を渡されて、笑顔の一つでも見せるのかどうか気になる。


それにつけても、まつりに会いに行くこよみが印象に残る回だった。こよみ、蓮のことを気に入ってるな。


最後に

サクタロー先生、子供の見せ方が秀逸だと感じた。まつりに会うために単身、慣れない電車に乗り込むこよみは愛らしくも放ってはおけない印象を受ける。直己や祖父母の約束を破る程、こよみはまつりを愛している。


こよみをひとりにできないと感じ、特急りょうもうに乗り込むまつりは正真正銘、こよみの母親だ。


こよみはすべてを知るのかどうかわからないけど、直己ではなく、まつりを選んでいるような。


愛される存在と嫌われる存在の対比が印象に残る回に仕上がっていた。


参考資料

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【書籍・雑誌】


・『あさぎ色のサウダージ』1巻

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